【黄禹錫】そういえば「摺り合わせ」って韓国語で何というのかな.

まず前回書き残してしまった国家生命倫理審議委員会の件から.





国家生命倫理委,再検討に着手
(毎日経済新聞 11/29)

黄禹錫(ほゎん・うそく)教授チームの卵子採取論乱に関連して,国家生命倫理審議委員会(委員長:ヤン・サムスン)が疑惑全般に亙り総合再検討に着手することにした.


生命倫理委員会は29日,ソウル・光化門の韓国メディア財団で歓談会を開き,黄禹錫教授チームのみならず卵子採取機関であるミズメディ病院,黄教授チームの研究を承認した漢陽大学病院機関倫理委員会(IRB),およびソウル大獣医学部IRBなど関係機関に関連資料や意見の提出を要請することを決定した.


生命倫理委はこれら関係機関から提出された資料を集中的に検討した後,来る12月13日に正式全体会議を開き,今回の事案についての最終結論を導出することにした.


ヤン委員長「過去を反省し,今後の望ましい研究倫理を確立する為には,国家最高審議機構である国家生命倫理審議委が最終的・究極的結論を出すことが重要だ」として「この為に関係機関資料を再検討することにした」と説明した.


生命倫理法施行令7条によれば,国家生命倫理審議委は生命倫理事項を審議する為に疑問点や必要な事項を関係機関や関係当局に資料または意見の形で提出するよう要請できることになっている.


だがヤン委員長は「国家生命倫理審議委は捜査機関のように黄教授やミズメディ病院の盧聖一(の・そんいる)理事長など関係者を直接呼んで尋問したり書面で調査したりする権限は無い」として,関係者に対する直接調査や尋問または書面質疑を行う意向の無いことを明確にした.


ヤン委員長は「従って,関係機関に対する資料提出要請に対し,再調査だとか尋問・召喚といった用語を用いるのは適切ではない」として,こうした表現を用いないよう念を押した.


ヤン委員長は特に「黄教授の倫理問題は既に国内レベルを超え,世界的な問題となっているだけに,グローバルスタンダードの倫理規定レベルに敵って適っているかどうかを論じたい」とした.



現状を見る限りでは,「国家最高審議機構である国家生命倫理審議委が最終的・究極的結論を出す」というのは とりもなおさず「既に保健福祉部の手に負えないところまで来てしまっている今回の一件の揉み消しに国家生命倫理審議委が乗り出す」という意味だとしか受け取りようがありません.
先日も触れた黄らの卵子入手ルートについてのシロ判定にしても,ソウル大内部の謂わば内輪の組織(上の記事で謂う所のIRB)が「倫理上問題なし」としたのを保健福祉部がそのまま鵜呑みにする形で下した判定に過ぎず,とても調査と呼べた代物ではなかったのでしたし.


12/13に開かれるという正式全体会議で全く同様のシロ判定が繰り返されて一件落着という方向に事態が進むことを,保健福祉部や昨日の朴基栄のような人物らは望んでいるでしょうが,彼らの思惑をよそにMBCをはじめ一部メディアのほうは「安易な幕引きを許さず」という構えのようです.
今日のお昼に上がって来ていたニュースに こんなのが:




「黄禹錫論乱」の端緒を開いたMBC「PD手帳」が,今回の事態に経過を説明する記者歓談会を 2日午後3時 MBC経営センター 大会議室で開く.


個別の時事番組が 特定事案の取材に関連して 記者らを集め歓談会を開くこと自体,極めて異例の事だ.


崔スンホ・チーフプロデューサは2日,「オーマイニュース」との電話インタビューで「11月22日に『黄禹錫神話の卵子疑惑』編を放映して以後 現在に至るまでの取材過程と経緯を明らかにする場となるだろう」と述べた.特に論乱の増幅している幹細胞審議検証過程について提起された疑惑が集中的に説明されるものと見られる.


崔チーフプロデューサは「最近 幹細胞検証過程に関連して,とんでもない話が出て来ている」として「盧聖一・ミズメディ病院理事長が検証の為に制作陣に提供した幹細胞の遺伝子変形まで取り沙汰されていた(訳註:何を指すのか不明だが,どうも黄禹錫関係者サイドがまた何か変な言い訳でもしたと言いたいらしい)が,それは自分たちの論文成果そのものを否定していることにならないか」と述べた.


また「制作陣が仕事にならないほど問い合わせの電話が多いため,記者らを集めて気になる点にお答えする予定」だとして「黄教授側が再検証に応じるか応じないかの結論を出さないうちは続編放映に対する決定も出来ない」と付け加えた.


この日の会見には,崔チーフプロデューサのほか「黄禹錫編」取材を担当している韓ハクス・プロデューサが参席した.




MBC側が「PD手帳」の「卵子疑惑」特集の続編放映に向けて社内で既に腹を決めたようだという件については一昨日にも触れた通りですが,それにしては上の記事の記者会見中の「黄教授側が再検証に…」云々といった崔スンホの発言があるのは変な話にも見えます.…が,実はこれには相応の事情があるようです.以下,昨夜流れていた記事ですが,これもオーマイで 上の記事と同じ記者が書いています:




「黄教授,PD手帳と検証契約書を交わしていたのが 1次検証以後 突然2次検証拒否」 ──「PD手帳」,取材日誌公開…幹細胞5個中 一致しないものがあった (オーマイニュース 12/01)

黄禹錫・ソウル大碩座教授チームの研究倫理論乱が 研究成果の真偽をめぐる攻防へと拡がりを見せる中,MBC「PD手帳」と黄教授チームが複製胚芽幹細胞(訳註:クローンES細胞のこと)の検証の為に契約まで行っていたことが明らかになった.


しかし,1次検証の終わった後,その結果を信頼できないとして2次検証を要求した黄教授が,その11日後に立場を翻し,現在まで2次検証に応じていないと「PD手帳」チームは明らかにした.「PD手帳」制作陣はこうした内容の含まれた取材日誌を1日公開した.


「PD手帳」と黄教授側が契約書まで交わしたうえで実施した1次検証は,国内の研究機関2ヶ所で行われていたことが明かされた.黄教授チームが培養に成功した複製胚芽幹細胞と,体細胞(原文註:母根毛根細胞)の遺伝子(原文註:DNA)が一致するかどうかを確認する為に実施された1次検証の結果,幹細胞5個ライン中 信頼に足る水準のDNAが検出されたのは1個で,不確実ながらDNAデータが出たのが1個,残りはDNAが検出されなかったと伝えられた(訳註:同一の細胞を元に培養で増殖した細胞は何個あっても「1個ライン」と数える).


このうち信頼に足る水準のDNAが検出された幹細胞の場合,患者の体細胞のDNAとパターンが一致しないという分析結果が出たというもの.このことは分析に用いられた幹細胞がクローン胚から培養された幹細胞ではないことを意味する.


PD手帳-黄教授チーム 共同1次検証結果 一致しないことが明らかに


取材日誌によると,制作陣はさる6月から9月まで黄教授の「Science」論文が虚偽である可能性についての情報提供と証言を相次いで受けた.その後10月20日,アメリカ・ピッツバーグ大のジェラルド・シャッテン教授の研究室に派遣されている研究員2名にインタビューを行っており,研究員の一人から2005年の論文についての「重大な」証言を得たというもの.


制作陣によれば,2005年「Science」に掲載された論文の共著者でもある この女性研究員は,自らの身元を明かさないでくれるかと3度も念を押した上で証言を行ったという.制作陣は10月31日,黄禹錫教授に直接会って卵子問題や研究員の証言などについて質問,この時黄教授が制作陣と共に論文疑惑を検証することで合意したという.


これに伴い,制作陣は11月6日,幹細胞を受け取りに出向いたが黄教授は不在.その場にいた李ビョンチョン教授とカン・ソングン(12/06追記:漢字標記「姜成根」)教授が幹細胞4点を与えると言った.しかし2005年「Science」に発表された何番目の物かについては特定してくれなかったという.制作陣は検証の為に何番目の幹細胞ラインなのか重ねて確認を要請したが,黄教授チームが拒否,結局この日は幹細胞は受け取れなかった.


その後(11月7~11日),共同研究者として参与中の安圭里(あん・ぎゅり)ソウル大医学部教授側から,「PD手帳」の検証過程を看視監視し双方の意見を調整する裁判官的人物を立ち会わせようとの提案があり,再び弾力を得た(訳註:11/06の時点でのライン特定に関する押し問答以来 暗礁に乗り上げていた事態が打開の方向に向かった,の意だろう).安教授側は名望のある弁護士K氏を調整(訳註:「調停」かも)裁判官的人物に指定し,制作陣も同意した.


黄教授側では11月12日,検証結果に関連して,契約書を書くよう要求した.「検証結果が論文と同一ならば放送はしないこと,論文と違っていたなら1週間以内に2次検証を済ませること」という要旨だ.この日双方は契約書を完成し,制作陣はカン・ソングン教授から幹細胞5個ライン(原文註:2, 3, 4, 10, 11番)と幹細胞に(訳註:幹細胞製造用に,だろう)体細胞を提供した患者らの母根毛根細胞(原文註:頭髪)と体細胞を各々5個ずつ受け取った(訳註・12/03追記:この箇所,記者が取材日誌を読み違えている可能性が高い.毛根から採取したのが体細胞そのものなので「各々5個ずつ」ではない).当時の過程は 安教授側の指名した弁護士K氏と ソウル大医学部側科学者教授が参観した.


「黄教授,1次検証受け入れ拒否…2次検証要求 のちに翻す」


検証結果の出た11月17日,双方の関係者らと監督役の弁護士が立ち会う中,結果を検討した.黄教授チームからは黄教授をはじめソウル大医学部のソン・ミョンフン基調室長(訳註:「基調」は漢字標記不詳につき訳が正しいかどうか自信なし)や黄教授の代理の尹某氏が,「PD手帳」からは崔スンホ・チーフプロデューサと韓ハクス・担当プロデューサが参席した.しかし黄教授がこの席で「検証結果を信じられず,検証機関を信頼できない」として2次検証を要求,制作陣もこれを受け入れ 1週間以内に(訳註:2次検証を)済ませることで合意した.


その後,11月28日 黄教授の代理の尹某氏と制作陣・弁護士が再度会ったが,黄教授は代理人を通じて「2次検証には臨まない」と通告して来た.2次検証を要求してから11日後のことだ.そこで制作陣は「1次検証の結果だけで放送を行えば国民的混乱が懸念される」という点を表明したが,黄教授側は2次検証に応じない立場を崩さなかったというものだ.


結局 制作陣は11月30日,黄教授側に1次検証結果を信頼できない理由でもインタビューで話してくれるよう要請したが,黄教授の拒否により実現しなかった.再検証要請と2次検証拒否時1次検証結果に対する反論だけでも話してくれるよう(訳註:この箇所 意味不明瞭だが,「どうしても2次検証に応じられないというなら…反論だけでも」の意か)要請する公文を黄教授側に追加で送った.だが,制作陣によれば 1日現在,黄教授側からこれに対する回答は無い.


PD手帳「あくまで再検証に応じないなら今まで取材した内容を放映」


崔スンホ・チーフプロデューサは「オーマイニュース」との電話インタビューで「黄教授側が再検証をあくまでやらないというなら,今まで取材した内容を放映するしかない」と述べた.


黄教授側が引き続き再検証に応じないのを見た「PD手帳」側は,1次検証結果の信頼性を問う為,1日午後,国立科学捜査研究所を尋ねた.1次検証で出たデータについての解釈を問う為のもの.これについて金ヒョンギ・プロデューサは電話インタビューで「今日は協議だけでこれといった話は出なかった」と述べた.


「オーマイニュース」はこうした主張に関連して,この日の午後 黄教授側の立場を訊く為に再三に亙り電話連絡を試みたが,結局連絡はつかなかった.



[全文]「PD手帳」取材日誌



  • 2005年6月1日: 情報提供者Aさん,PD手帳 情報提供欄に 自らの身元を精確に公開し 初の情報提供.

  • 6月~7月: 情報提供者Aさんに数回会い,情報提供内容確認.情報提供の内容は「黄禹錫教授の研究に 売買された卵子や研究員の卵子が使用されていた点と,2005年 Science論文が虚偽である可能性」.

  • 8月: 情報提供者Bさん,「研究に使用された卵子疑惑」について証言.

  • 9月: 情報提供者Cさん,「2005年のScience論文が虚偽である可能性」について証言.

  • 10月20日: 米・ピッツバーグで,2005年のScience論文の共著者である研究員Kさんに会う.自らの身元を保護してくれるかと 三度念を押した後に,2005年の論文についての重大な証言.他にピッツバーグで研究員Pさんに会い,卵子提供の有無についてインタビュー.

  • 10月31日: 黄禹錫教授 正式インタビュー.この時 卵子問題についての質問と共に,ピッツバーグの研究員Kの証言内容について尋ねる.2005年論文疑惑について,PD手帳と共に検証することで合意.

  • 11月6日: 幹細胞を受け取りに行くも黄禹錫教授は不在,李ビョンチョン教授とカン・ソングン教授がいた.幹細胞4点をくれたが,それが2005年のScience論文に発表された何番目なのかは特定してくれなかった由.取材陣は検証の為に何番の幹細胞ラインなのか確認してくれと重ねて要請するも,黄教授チームはこれを拒否.結局幹細胞は受け取れずに帰る.

  • 11月7日~11日: 安圭里教授側から,検証過程を看視監視し 双方の意見を調整する裁判官的人物を参与させようとの提案.安教授側は名望ある弁護士K氏を指定.PD手帳チームはこれに同意.

  • 11月12日: 黄教授側からは契約書を書くことを要求.「検証結果が論文と同一なら報道をしないことと,論文と違っていたなら1週間以内に2次検証を済ませること」という内容.契約書を完成.
    ソウル大 獣医学部 黄禹錫教授チームのカン・ソングン教授から,幹細胞5個ライン(2, 3, 4, 10, 11番幹細胞ライン)と,同一患者の母根細胞を受け取る.この時,過程を監督する弁護士と ソウル大医学部の科学者教授が全過程を参観.

  • 11月17日: 検証結果 出る.黄禹錫教授チームに会う.黄禹錫教授チームからは黄教授とソウル大医学部のソン・ミョンフン基調室長,黄教授の知人の尹某氏が参席.PD手帳チームから崔スンホ・チーフプロデューサと韓ハクス・プロデューサ参席.監督役の弁護士が参観.黄禹錫教授は「検証結果を信じられず,検証機関を信頼できない」と表明.契約書どおり黄教授側から2次検証を要求.PD手帳チームはこれを受け入れ,1週間以内に済ませることで双方が合意.

  • 11月28日: 黄禹錫教授の代理人・尹某氏,PD手帳の崔スンホ・韓ハクス両プロデューサ,監督役の弁護士が再度会う.黄教授は代理人を通じて「2次検証に臨まない」と通告.PD手帳チームは,1次検証結果だけで放送した場合 国民的混乱が懸念されるという点を力説.黄教授側は2次検証はしないという立場を固守.

  • 11月30日: 黄禹錫教授側に,1次検証結果に対する立場(原文註:検証結果を信頼できない理由)インタビュー要請.黄教授側 拒否.PD手帳,公文で再検証要請,並びに再検証拒否時1次検証結果に対する反論だけでもインタビューしてくれるよう要請.


この記事を信用する限り,11月に入りMBC側が黄禹錫と直接コンタクトを取るようになって以後,黄の言動が急に怪しくなっているように見えます.訳すだけでくたびれてしまったので その辺については論評抜き.というかもう「見ての通り」としか言いようが無い.


MBCの取材班って,今年6月の段階で既に黄の周辺を嗅ぎ回っていたわけですね.研究成果そのものが虚偽である疑惑についてもその頃既に掴んでいたと.


私が韓国人を誉めるのは極めて異例の事ですが(笑),こうやって取材の経緯を洗いざらいオープンにした上で 誰がウソを言っているのか白黒はっきりさせようじゃないか,という態度は メディアのありようとしては好感が持てます.未だに取材テープの有無すら明かそうとしない上に「法的措置を取る用意」とやらも何処かに置き忘れたままの 某国の自称クォリティペーパーとは大違い.



同日18:55追記: 上の2番目の記事中にあった MBC側の会見の件ですが,つい今しがた上がって来たばかりのPRESSianの記事が報じていました.第2弾放映は早ければ6日.今回のは黄禹錫のScience論文の真偽如何がメインコンテンツになりそうとのこと.



(12/06 誤字訂正)
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by xrxkx | 2005-12-02 18:14 | ◆ 黄禹錫 / 卵子売買