参考:韓国記者朴某氏による正式版記事
 「何だ,まだジェネジャンネタをやってるのか」とか言わないでねT-T.実際いつまでもこの話題ばかり採り上げてもいられないのですが,乗り掛かった船ですから 目ぼしい関連文書は全部記録に残しておくことにしようかと思います.今回の騒ぎの発端となった 例の朴某氏の記事ですが,正式に本人の名前入りで記事として配信された方も 歴史論争の部分だけ訳出しておきます.「ジェネジャン」関連で一体何本の記事が流れているのか私も把握し切れていないのですが,ともあれ もともとblogに載っていたほうの記事と比較して,どこが書き換えられたのか,逆にどこがそのまま生かされたのか確かめてみると面白いかも知れません.

●「ペ・ヨンジュンに騙されている」発言の真実は? ─OhMy News 01/31 (原文

 番組収録に参加した韓国人留学生の趙某氏(19・♀)の「日本女性はペ・ヨンジュンに騙されている」とかいった類の発言があったようで,それを韓国の一部ニュースポータルが──それも例の朴某氏のblogに載った記事だけを元ネタにするという随分安直なやり方で──面白おかしく書き立てて,それを読んで腹を立てた韓国人たちがその趙某氏に対する個人攻撃を始めている─という話,前にも少し触れました.
 今回の騒ぎの発端である朴某氏のblogを見る限り,朴氏としても 自分の書いた文章がきっかけで趙某氏があの韓国社会お得意の《魔女裁判》の標的にされてしまっていることに 少なからず責任は感じているようで,そのため 標題を見ても分かるように この記事は彼女の「騙されている」発言の真意がどこにあるのかといった話が主体になっており,doronpaとの論争はむしろ脇に追い遣られた形なのですが─
 問題は「望ましい韓日関係」というテーマで始まった第2部だった.「不思議な国・韓国」なる代表的な日本の極右サイトの管理者「doronpa」が日本側パネラーとして出演したのだ.
公然と「独島(訳註:竹島のこと)は日本領」だと言い,「挺身隊は金を貰ってやって来た売春婦であり」「韓国と日本は正当な手続きによって併合した」と主張する彼と,論戦は避けられなかった(原文註:「下の囲み記事参照」).
 収録分は4時間だったのに,2時間に圧縮されて放送された.韓国人強制徴用問題などセンシティブな箇所は多くがカットされた.一番重要な韓日間の近代史については15分そこそこにとどまった.
 で,以下が その「下の囲み記事」の部分.

●日本極右派と正面衝突 ─第2部討論でdoronpaと繰り広げた論争
 第2部のテーマは「望ましい韓日関係」.私は右派が何名か出演するだろうなと思っていたのだが,極右サイト管理者・doronpaがゲスト出演(訳註:正しくはdoronpa氏は「ゲスト」ではなく,この朴氏と同じ資格の一般パネラー)するとは夢にも思わなかった.だが,日本の右翼と接する機会のあまり多くない私にとっては,日本の右翼が一体どんなことを言うか聴いてみる良い機会だった.
 「doronpa」がまず口火を切った.韓日合邦に関して,彼は人口成長に関するグラフを見せるや,こう語る.
 「韓国人たちは日本によって植民地時代を経験したと主張しているが,それは事実と異なる.合邦と植民地は次元が異なる.まずこのグラフを見よ.このグラフは1910年から1945年まで(訳註:前回書かなかったが,実際にdoronpa氏が示したグラフは 1944年までで終わっている)の朝鮮半島の人口成長に関するグラフだ.飛躍的に人口が増えているのが分かる」
 そうして次のグラフを取り出す.反対に人口が激減した中南米のグラフだ.
 「16世紀,インディオがスペインをはじめとする諸国に侵略されたとき,人口は急激に減った.普通,植民地というのは人口が急激に減るものと相場が決まっている.経済発展および近代化の上で日本が朝鮮に対して多くの政策を施行したことが分かる」
 さして民族主義者というわけでもない私だが,あんなグラフ一枚で全てを説明してしまう右翼の単純さにカッと頭に血が上った.20世紀初頭の朝鮮の状況と 16~17世紀のスペインの中南米征服とを同列に論じる無知さ加減と来たら….さらには朝鮮人強制連行について「そんな事実は無かった」と言う.それなら実際に連行されてあらゆる苦難を経て来た在日同胞1世らは一体何なのか?


日 右翼「韓日合邦は朝鮮が望んだこと」

 そうして「韓国と日本は ただの一度も戦争をしたことは無い」として「お互いの同意によって併合したもの」だと述べる.韓国側パネラーたちが興奮した.興奮したら負けだとは分かっていながら興奮してしまう.
 「野中(訳註:前回は「河野」と書いてあった箇所.93年の河野談話と混同したのだろうが,ここは「野中」が正しい)前官房長官が昨年のインタビューで証言した内容がある.彼は「自分が幼い頃,家の近くの武器工場で働いていた,朝鮮から強制徴用されて来た数多くの労働者たち」とはっきり述べている.日本の政治からも認めている事実を,そうした状況に合わないデータを持ち出して語るのは矛盾ではないか」(原文註:この箇所は放送ではカットされた)
 しかし彼は突然別の写真を取り出す.パゴダ公園の三・一節記念塔にお辞儀をしている日本の高校生たちの写真.広島のある高校の修学旅行で起きたことだとして,今韓国では日本の学生たちに強制的にお辞儀をさせているという,多分に感情的な話を持ち出す.そうして付け加えるのだ.
 「日本は朝鮮を植民地にしたのではなく,当時朝鮮の総理だった李完用氏が合邦に署名をしたのだ.正当な手続きによって結ばれた合邦条約であるのに,何故そう興奮するのか分からない.韓日合邦は朝鮮が望んだものではないか」
 一緒に参加していた留学生・朴某氏(訳註:たぶん例の「栗本慎一郎」のこと)や 二十歳(訳註:韓国では数え年で年を数えるのが通例)の趙某嬢の顔が紅潮する.朴某氏は次のように指摘した.
 「(原文註:写真のような)感情的な例を挙げて,あたかもそれが全てであるかのように説明してしまっているが,日本人たち個人個人の誤った行動だって数え切れないほどある.それに,李完用は韓国の歴史に於いては売国奴と規定された人だ.その人が何故売国奴となったと思うか?」


「韓日合邦は朝鮮民衆が望んだものではない」

 挙句の果てに 一緒に出演していた日本人ゲスト・風間君も彼の発言に対して「朝鮮民衆全体が望んだわけではないかも知れないではないか」と述べる.私も一言言わずにいられない.
 「お前は小泉がブッシュに日本をくれてやったら良いと思うか? 当時の韓日合邦が朝鮮の全民衆の意思だと? あなたは被害者の立場や気持ちについて考慮することを望むが,お前は全くそんなマインドになってない.
 立場を変えて考えてみよう.最近アメリカの右翼らがしばしば広島・長崎の原爆について「戦争を早期に終わらせ,むしろ日本を救ったのだ」と騒ぎ立てているが,そういう言葉を広島の原爆で家族を失った人々が聞いたらどんな気持ちがすると思うか?」
 対話の接点そのものが無い.(訳註:凡そ対話相手というものの中には)tolerance(原文註:寛容)を施すべき相手とそうでない相手とがいるものだが,この人は勿論後者だ.「右翼は話が通じない」とはしばしば聞いていたが,こういうマインドを持った人々なのかと思うと恐ろしくすらあった.最後に尋ねた.
 「あなたは日本と韓国が良い方向に進んで行くことを希望するか?」
 「出来れば,ね」
 そうして付け加えるのだ.
 「でも,いつも反日感情ばかりを述べるあなた方がいるから難しいんじゃないだろうかね」
 呆れて物も言えない.勿論最後には木村祐一がdoronpaの意見に反駁した.
 「より良い方向に進んで行く為の討論に,頭から何か設定しておいてから話すのは穏当か? 過去のそうした歴史があったにせよ,うまくやって行こうという趣旨で こうやって集まって話をしているのに,対立ばかりしていては何にもならないではないか?」
 観客席から拍手が起こる.勿論結論は「韓流ブームで始まった韓日関係を肯定的に導いて行こう」といった感じで終わったのだが,どうにも気が収まらない.これだから韓国人は熱情的だと言われるのかな,とも思う.
 紆余曲折の末,4時間に及ぶ収録が終わった.放送用モニターを見ていた妻が近付いてきて,エレベータのほうへと消えて行く彼(訳註:doronpa)を見ながら「あなたの勝ちよ.あんな人(原文註:doronpa)の言うことは気にしないで.私もびっくりした」と興奮した声.
 私は平均的な日本人も妻と同じような気持ちがしただろうと信じている.そうでなければ,日本で暮らして行くのはあまりにも難しくなるだろう.「クール」さに命を賭ける若者らは一体韓日の歴史についてどれだけ知っているだろうか?
 ヨン様に熱狂する韓流ブームが恥ずかしいと感情的に吐き捨てる彼らが,このまま歴史を知らないままで成長してしまったら,そうして偶然に「doronpa」のような類の人間たちが提示する偏ったデータや感情的な写真を なるほどそうか,と受け入れてしまったら,と考えただけでもぞっとする./パク・チョルヒョン記者
 常日頃からそうだし,番組中でもそうだったと思いますが,doronpa氏の言う「強制連行など無かった」というのは,あくまで「徴用は当時日本国民だった朝鮮人の国民としての義務だったに過ぎず,所謂『強制連行』とは違う」と言っているに過ぎない.徴用で日本に来た朝鮮人ならたくさんいたでしょう.そういった事実そのものを否定したり隠蔽したりしているわけでも何でもないのですが,それが どうもこの朴氏をはじめ韓国人たちには分からないらしい.
 余談.これと全く同じ図式の 一種の詭弁が,所謂「従軍」慰安婦なるものについても存在します.「『従軍慰安婦不在説』という妖怪」(藤岡信勝 「『自虐史観』の病理」,文藝春秋,pp.139--160)を参照.
 また,「強制連行が無かったというなら在日一世は一体何なのか」というのも,二重の意味でナンセンスです.
 ひとつには,言うまでも無く上述の「徴用は強制連行とは違う」という点.
 もう一つには,「在日一世の多くは徴用が始まる前に自ら日本に渡って来た」という点.彼らの場合は要するに単なる出稼ぎ労働者でしかない.彼らの味わった苦労というのは,日本本土の 例えば東北から東京に出て来た出稼ぎや集団就職──戦前どころか高度経済成長期あたりまでザラにあった話だ──の人々が味わったそれと同列に論じられるべきものであって,「戦争」だ「侵略」だ「植民地」だなどといった話とはもともと無関係のはず.多くの韓国人にはそこが全く分かっていない.

 さらには,この朴氏をはじめ韓国人たちが徹頭徹尾「合邦は朝鮮が望んだこと」だったかどうかに固執しているのも,はっきり言って馬鹿げています.朝鮮の民衆が併合を望んだかどうかなどは,日韓間の外交行為の正当性・合法性とは何の関係も無いことだからです.
 こうした考え方が 軍事政権期に学生運動の連中の間で大いに幅を利かせた所謂「民衆史観」の残滓の然らしめる所なのか,それとも こういう発想の出来る国民だからこそ「民衆史観」などというものが幅を利かせるに至ったのか,どちらが卵でどちらが鶏なのかは 私の知る由もありませんが,どちらであるにせよ,「民衆の意思」なるものが 国家の全権を代表して外国との交渉に当たる自国政府の権能や責任能力に優先すると考えている国民なればこそ,今になって「日韓基本条約無効論」などという笑止千万な主張も出て来る道理.
 例えば,「日米修好通商条約は日本の全民衆が望んだものではないので不当だった」などと大真面目で主張する日本人が もしいたら,是非ともお目に掛かりたいものです.幕末当時日本が欧米列強と結んだ不平等条約を,明治新政府は徹頭徹尾「日本を欧米並みの国にすること」──軍事力・経済力の面で列強に追いつくことと,国際法を遵守する国だと列強から認められることとの両面で──によって達成したのは周知の事実.どこかの国民のように不当だ無効だと駄々をこねたりはしなかった.
 ついでながら,日本としては別に韓国政府が「大韓帝国は日本と合邦すべきか否か」を問う国民投票でも何でも気の済むまでやってくれて構わなかった筈ですが,当時朝鮮にそんなことが出来るだけの民主的な政治形態があったのでしょうかね.現代に於いてすら 独裁と衆愚政治の両極端しか知らず,その真ん中を経験したことが無い かの半島に,です.

 ちなみに,どうも朴氏をはじめ番組収録に参加した韓国人たちは「李完用が韓国で売国奴と呼ばれていること,およびその所以」についてdoronpa氏が知らないと思っているふしがある.
 この話題,朴氏は 彼がdoronpa氏のblogに残したコメントの中で蒸し返しているのですが,そこで彼は今度は「小泉」ではなく「岸信介」を持ち出しています.日米安保条約締結を念頭に置いて言っているのは明らかでしょうが,私がdoronpa氏になったつもりで答えるなら
  1. まず,安保条約締結当時の日本は 併合された当時の韓国のような《破産国家》ではなかったので,アメリカと併合する動機が皆無.こういう仮定の質問には意味が無い.
  2. それを承知で敢えて言うと,もし岸信介が日本をアメリカに献上したとしたら大抵の日本人は「岸め,何て事をしてくれたんだ」とは思うでしょうけれど,それはあくまで岸さんに言うべき話であって,アメリカを恨むのは筋違い.
といったところ.
 第一,「被害者の気持ち」をそれほど強調するなら,「李完用の気持ち」も少しは考えてあげたらどうでしょう.「朝鮮の民衆全てが併合を望んでいたわけではない」のと同様,李完用だって何も好き好んで日本との併合を進めたわけではなかったでしょう.破産国家・朝鮮の宰相としては他に方法が無かったというだけの話.彼は彼で当然ながら断腸の思いだったはず.それが韓国人には分からない.
 無理もないでしょう.日本による「植民地支配」さえ無かったら韓国は自力で近代化できたはずだ,などという絵空事を本気で信じている韓国人も少なくないそうですから.「光復」後,北でも南でも 歴史研究に於けるそうした風潮というのは──日本統治の全否定の為に── 一種の国策として進められて来て,何とかして自国の歴史の中に「近代の萌芽」を見出そうとして知恵を絞ったようですが,結局全て失敗に終わりましたね.このことは機会があれば改めて採り上げようと思います.

 「日本は韓国と戦争など一度もしたことが無い」というdoronpa発言についても,韓国の方々はことのほかお気に召さなかったようですが,れっきとした条約のもとに行なわれた正当な外交行為の結果である併合を「強占」などと呼んでいることのほうが異常なのです.

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 あれやこれや書いて来ましたが,書き直した正式版の方も,結局その根底にあるのは「被害者の気持ち」論以上の何物でもないという点に於いて「下書き」段階から何も進歩していないと言って差し支えないでしょう.彼ら韓国人がこういう態度から抜け出さない限り,日韓近代史の再評価だの「未来指向的日韓関係」だのは望むべくもありません.

 最後に付け加えておきますが,書き直したバージョンのほうでは,例の水野教授の件がバッサリ切られていますね.反対に,前のバージョンでは出て来なかった「趙某嬢」が,今回は朴氏と一緒にdoronpaの「妄言」に憤る愛国的韓国人(笑)として登場しています.おおかた「ペ・ヨンジュンに騙されている」発言のせいで韓国国内で叩かれた彼女の名誉回復(?)をさりげなく狙ったつもりなのだろうけれど,その辺は歴史論争そのものとは無関係ですし,多くの日本人にとってどうでも良いことでしょうから,説明は省きます.
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by xrxkx | 2005-02-04 05:27 | ◆ ジェネジャン騒動