カテゴリ:時事ネタ一般( 139 )
加藤紘一北京詣でのこと
 何だかんだでまた2日も空けてしまいました.ニュース読みが追いついていませんので先週のネタですが──
加藤紘一氏が20日から訪中 「親中派」アピール ─朝日 06/09
 自民党の加藤紘一元幹事長が20日から21日にかけて中国を訪問する。曽慶紅(ツォン・チンホン)国家副主席ら要人との会談を調整中で、小泉首相の靖国神社参拝などをきっかけに冷え込んだ日中関係打開の糸口を探る。加藤氏は胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席とも交流がある「親中派」。8日から訪中している橋本元首相とあわせ、ベテラン議員による日中関係修復の動きが強まっている。
 加藤氏には、加藤氏が属する小里派の園田博之衆院議員のほか、無派閥の野田聖子、堀内派の望月義夫の各衆院議員、旧橋本派の山崎力、北岡秀二の両参院議員が同行する。加藤氏は、こうした同行議員の人選を、やはり「親中派」の古賀誠元幹事長と青木幹雄参院議員会長に依頼していた。小泉首相や、首相の靖国参拝を支持する安倍晋三幹事長代理らとは一線を画する姿勢をアピールする狙いがありそうだ。意見交換したい、としている。
 よりによってこんな時期にいそいそと北京詣でに出掛け「親中派」なんぞをアピールしたがる人物が 何を頼みとし 何を当て込んでいるかなど,わざわざ説明するまでもないでしょう.もともと加藤氏は靖國参拝そのものに否定的な立場で,昨年10月にもこんなことを言っていたのでした(記事が既にリンク切れしていますので 個人的にスクラップしておいたのを貼ります):
靖国参拝「外交上正しくない」 中国で加藤紘一氏 ─朝日 2004/10/22
 自民党の加藤紘一元幹事長は21日、北京で開かれた中国国際戦略学会で講演した。小泉首相の靖国参拝について「サンフランシスコ平和条約で明らかなように、14人のA級戦犯がすべての戦争責任を負う。78年に靖国神社が14人を合祀(ごうし)して以降は、首相が正式に参拝することは外交上正しくない」と述べ、自重すべきだとの考えを示した。
 加藤氏は「首相自身は日本人の民族感情の問題だと考えているが、中国人から見ると、歴史認識と戦争責任の問題だ」と指摘。参拝は「条約を尊重するかどうかの観点から考えるべきものだ」と語った。
 「サンフランシスコ平和条約」「靖國参拝」「戦争責任」などに関する加藤氏の認識は 現在も当時と全く変わっていないようで,同氏のwebサイトに「緊張状態の続く日中関係」なる文章があります(今年05/30収録されたビデオメッセージをテキストに起こしたもの).敢えて全文を引用しますと──
 前回、4月25日、ゴールデンウィーク前ですけれども、このビデオメッセージで日中間の問題について触れました。その後、中国の方のデモも小康を得て、まあこれで少し大丈夫かなあというふうに思えた局面もありましたけれども、呉儀副首相の突然の帰国などを巡って、またあまり油断してはいけない緊張のある状態が続いていると思います。
 
 私は、呉儀副首相が突然帰国したというのは、やはり外交儀礼上、問題だと思います。しかし、同時にそれを知りつつ日本に強いメッセージを更に中国が送り続けてきているほど、中国内部では最近の日中関係にかなりの神経を尖らせているのではないかと思います。
 
 我が方からは、中国には経済援助をしたじゃないかということを言います。3兆円の援助をしたじゃないか、それを中国は表立って感謝しないという論調もいろんなところに見えます。そうしたら、今度は中国外務省の報道官が、この間の戦争で被害を受けたのは1000億ドル(10兆円の金額ですが)、そして、間接も入れると50、60兆円になるとか、それから戦争で傷ついた中国人は合計3500万人になるとか、お互いにあまり口にしてはいけない、したくないようなことばを言い交わすようになってしまいました。

 私は、日中間はこの関係が良くならないと、アジアの発展とか世界の政治の安定とかにいろいろな問題が起きるというような、先々に向かっての大きなビジョンを語り合うのならいいのですけれども、昔のことをお互いに言い出しながら数字を並べ合う、今不幸な事態になってきたと思います。

 このためには、やはり日本国内で戦争の総括というのが十分にできない状況の中で、極東裁判の結果をサンフランシスコ条約11条で日本が受け入れたという歴史的な事実をしっかり踏まえて、また日中間の過去の問題はサンフランシスコ平和条約ですべて言い尽くし、主張し、そして受け入れたんだという事実をしっかり踏まえてわが国は対応すべきだと思います。

 靖国神社というのは、そのサンフランシスコ条約において、日本が認めた戦争責任というものを日本が今後ともしっかり守っていくか、そういう国際的な信用の問題だと、私は思います。改めて申しますが、靖国神社に総理大臣が今後参拝されることは、あくまでも慎重であって欲しいし、この問題の解決はA級戦犯の分祀か慰霊のための別の追悼施設をつくる、この2つの道しか私には解決の道がないように思われます。
 やれやれ.この際面倒を厭わず久々に「いちいちツッコミ」をやることにすると,
私は、呉儀副首相が突然帰国したというのは、やはり外交儀礼上、問題だと思います。しかし、同時にそれを知りつつ日本に強いメッセージを更に中国が送り続けてきているほど、中国内部では最近の日中関係にかなりの神経を尖らせているのではないかと思います。
 本気で「外交儀礼上、問題だと思」うのであれば,日本の国政に携わる者として真っ先に為すべき事は,支那人に代わってその《駄々っ子の論理》を日本国内に吹聴して回ることでもなければ,いそいそと支那に出向いて駄々っ子のご機嫌を伺うことでもありません.大いにその非を鳴らし最後まできちんと責任を取らせなくてはなりません.
昔のことをお互いに言い出しながら数字を並べ合う、今不幸な事態になってきたと思います。
 「昔のこと」は「お互いに言い出し」ているわけでも何でもなく,支那が一方的に言っているにすぎません.しかも支那は日本との国交「正常」化に当たって対日賠償請求権を放棄しているのですから,今更「昔のこと」をユスリタカリのネタにするなどは論外.
 一方で,日本から支那への援助は「昔のこと」ではなく──呆れたことに──現在進行形の問題です.
このためには、やはり日本国内で戦争の総括というのが十分にできない状況の中で、極東裁判の結果をサンフランシスコ条約11条で日本が受け入れたという歴史的な事実をしっかり踏まえて、また日中間の過去の問題はサンフランシスコ平和条約ですべて言い尽くし、主張し、そして受け入れたんだという事実をしっかり踏まえてわが国は対応すべきだと思います。
 まさにそのサンフランシスコ平和条約11条の定めるところに従って,日本は東京裁判に於ける「戦犯」に対する刑の執行も──東京裁判自体の正当性如何はともあれ──受け入れ,その後の免責も行なっているのですから,その「罪」なるもの──もしあったとしても──は国内的にも国際的にも既に解決済みの問題です.戦犯の赦免等に関する経緯は 例えば
加藤紘一氏、「靖国参拝」を批判 in 北京 (娘通信♪ 2004/10/22)
などに非常に簡潔にして要点を押さえたまとめがありますので ご参考に.
 ついでながら,支那人が本当に日「中」間の過去の問題がサンフランシスコ平和条約で「すべて言い尽く」されたと考えているのかどうかは 支那人自身に訊いてみないと分かりませんが,もしそう考えているのであれば「日華条約無効論」などという珍妙な代物が今頃になって出て来る筈はありません.何せ日「華」条約はサンフランシスコ平和条約を踏まえた上で 「中華民国」──何処かの土匪とは違って れっきとした国連安保理常任理事国の一つであるところの──との間に締結されています.
靖国神社というのは、そのサンフランシスコ条約において、日本が認めた戦争責任というものを日本が今後ともしっかり守っていくか、そういう国際的な信用の問題だと、私は思います。
 サンフランシスコ平和条約を穴が開くほど読み返しても,日本が「戦争責任」なるものを認めるなどという文言は出て来ません.「戦争責任」などという言葉がこうやって定義も曖昧なまま一人歩きして来たことが 戦後の支那・朝鮮による対日タカリの構造を生み出した元凶であるという認識すら この人には無いのか,それとも確信犯的に「戦争責任」なる曖昧な語を用いているのかは 私の知る由もありませんが.
 また,所謂「A級戦犯」が祀られている靖国神社を首相が参拝することが 日本という国の「国際的な信用」に差し支えると言うのであれば,なおさら加藤氏の説く所とは正反対の道を進むべきでしょう.例えば先日の森岡発言に倣って「戦犯はどう遇されたか」をきちんと対外的にアピールし,その国際的な名誉の回復を図らなくてはなりません.
補遺.森岡発言中,「もはや罪人ではない」の「もはや」が一部メディアにより意図的に削られた状態で流されたことがありましたが,あの「もはや」にしても
「『いつから罪人ではなくなったか』については様々な解釈があろうが,それはともかく」
と読んでおきたいところ.日韓基本条約第2条に謂う所の
千九百十年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される。
というのと同じ理屈です.東京裁判の持つ非合法性・不当性に関する議論は当然行なわれるべきだと私も考えますが,それとは別に,戦犯の名誉回復は「東京裁判の諸判決を受け入れ」たままでも可能であるという点は ここで改めて強調しておく価値があろうと思います.
 再三にわたって述べて来たように 首相の靖國参拝に関する支那や朝鮮の容喙にこそ問題はあるのですから,日本側が「慎重」であらねばならない理由など一つもありません.必要なのは「慎重」さではなく,他国の詰まらぬ干渉を断乎撥ね退ける気構えです.

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 最初の加藤訪支ニュース中の
小泉首相や、首相の靖国参拝を支持する安倍晋三幹事長代理らとは一線を画する姿勢をアピールする狙いがありそうだ。
のくだりなどは朝日クォリティの真髄でしょうが,所属政党・会派を問わず ヒモ付きの議員がこうやって自ら他の議員らと「一線を画」してくれることは ギャラリーとしては話が分かりやすくなって助かります.
 こうした人物に選挙で票を投じ彼らを国会に送り出しているのは他ならぬ私たち有権者なのだという点について,私たち国民一人一人が猛省し危機意識を新たにする必要があるでしょう.極論すれば,
支那人ごときの買弁に成り下がるような政治家には投票するな
の一言を全国の有権者が実践するだけで日本の政界から支那の影響力は排除できるということです.
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by xrxkx | 2005-06-13 20:44 | 時事ネタ一般
町村ごますり発言のこと:もっとどんどん言ってやって
 相変わらず靖國にまつわる支那の対日干渉が後を絶たない昨今ですが,こう新ネタが次々に出て来るようだと,ほどほどにフラストレーションの溜まって来た所で覚え書き程度に書き散らしておかなくては書けなくなってしまうので,暫くそういう書き方をします.差し当たり野田毅氏の件.順に記事を追うと,
「ドタキャンでなかった」 呉儀副首相帰国で野田氏 ─共同 06/03
【北京3日共同】中国を訪問中の野田毅元自治相(日中協会会長)は3日夜、中国の呉儀副首相が5月の訪日時に小泉純一郎首相との会談を中止し繰り上げ帰国したことについて「(中国が)土壇場でキャンセルしたわけではない。日中外交当局間では、前から分かっていたことだ」との見解を示した。
 野田氏によると、先月16日に小泉首相が靖国神社参拝を継続する意向を表明した直後、中国政府が日本側に呉副首相の訪日日程繰り上げを打診。その後「騒ぎを大きくしないよう当局間で話し合った」(同氏)結果、23日の首相との会談以前の日程は予定通り消化することで折り合ったという。
 これが事の発端だったのでした.「騒ぎを大きくしないよう」も何も,あの「騒ぎ」は支那が一方的に起こしたものですが,それを抜きにしてもなお,いま読み返しても意味不明の発言ではあります.
 いま仮に,支那が日本側に「呉儀訪日日程の繰上げを打診」して来たのが「先月16日に小泉首相が靖国神社参拝を継続する意向を表明した直後」だとする野田氏の発言が事実だとしましょう.呉儀の日本滞在は17日から23日まででしたので,支那サイドとしては呉儀訪日そのものを取り止めることも出来た筈ですが,何故そうしなかったのか.
 或いは,呉儀にその気さえあれば来日後でも日程の調整を行なう時間的余裕は幾らでもあった筈ですが,河野洋平だの経団連の奥田だのに会う時間は取れても首相との会談は出来ない,などという支那の言い分を外務省が唯々諾々と聴いていた,などという事が実際あり得るのか.
 第一,本当に日支外交当局間で事前の折り合いがついていたのだとすれば,呉儀の帰国を当日まで伏せておく理由もなければ,「急な公務の為」などと嘘をついて引き揚げる理由も無い.
補遺.06/03といえば野田氏が曽慶紅と会った当日です(日経 06/03毎日 06/04)日経にせよ毎日にせよ,曽慶紅がいつも通りの中共のお家芸であるところの「歴史認識」絡みの対日干渉を繰り返したという話ばかりで,野田氏自身が曽慶紅に何を話したのかについて一切触れておらず,呉儀のドタキャンの件も出て来ませんが,発言のタイミングから察する限りでは ここで野田氏が支那から何か言い含められたと見ておくのが無難でしょう.
 果たせるかな町村外相は上の野田発言を全面否定したのでしたが,
外相が野田氏発言を否定 中国副首相の帰国問題 ─共同 06/06
 町村信孝外相は6日の講演で、中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談をキャンセルし帰国した問題をめぐり、訪中した野田毅元自治相(日中協会会長)が「日中外交当局間では前から分かっていたことだ」と指摘したことについて、「(当日の)朝9時すぎに初めて知ってびっくりした。事前に知っているはずがない」と全面否定した。
 外相は野田氏の名前は挙げず「最近、自民党の議員が中国へ行った(際の発言)」としてこの問題に触れ、「不愉快な話だ。ああいう形で中国に無用にごまをする人がいるから日中関係がおかしくなる」「伝統的な日中友好派の人の行動は理解できない。どうしてあそこまでへりくだらないといけないのか」などと不快感を示した。
この「ごますり発言」があちこちで拍手喝采を浴びていたのは皆様既にご存知の通り.この発言が野田氏には余程癪に障ったと見えて,翌7日には町村外相に「反論」します:
中国副首相の会談キャンセル、野田氏が外相発言に反論 ─読売 06/07
 自民党の野田毅・日中協会会長は7日の自民党総務会で、中国の呉儀副首相が小泉首相との会談を直前になってキャンセルした問題に関連し、「町村外相が私のことを名指しして(批判を)言っている。私は訪中して向こうのトップと話をしたが、呉儀副首相の話は一切出さなかった」と述べ、不快感を示した。
 町村外相は6日の講演で、「自民党の国会議員が中国に行き、『外相は事前に(呉儀副首相が小泉首相との会談を)キャンセルすることを知っていたはずだ』と言ったが、事前に知っているはずはない。中国にごまをする人がいるから日中関係がおかしくなる」と述べていた。
外相発言に不快感=野田元自治相 ─時事 06/07
 自民党の野田毅元自治相は7日午後、町村信孝外相が靖国参拝問題に関連して「中国の要人に無用にごまをする人がいるから日中関係がおかしくなる」などと発言したことについて、「外相が一番冷静にならなければいけない。日本の外交はこのままでは駄目になる」と強い不快感を示した。国会内で記者団に語った。
 奇妙な「反論」もあったものです.まず
「町村外相が私のことを名指しして(批判を)言っている。」
 上の共同電にはわざわざ「外相は野田氏の名前は挙げず」とあります.私が知る限り,町村外相が野田氏を名指しで批判したという記事は1本もありませんでしたが,野田氏には何か思い当たる節でもあるのでしょうか? それは措くとしても,
「私は訪中して向こうのトップと話をしたが、呉儀副首相の話は一切出さなかった」
というのは東問西答も甚だしい.もともと6日の町村外相の発言は
「呉儀の訪日日程繰上げについて外務省は事前に知っていた」
なる野田氏の主張を否定するものに過ぎず,
「野田氏が呉儀の一件について支那人と何か喋ったか」
などはハナから触れてもいません.なのにこういう発言が飛び出すあたり,やはり何か心当たりでもあるのかと勘繰りたくなりますが,折角の機会ですので 野田氏にはこの際
「『呉儀の訪日日程繰上げについて外務省が事前に知っていた』なる消息は何処から得たものか?」
くらいは明らかにして見せて戴きたい所ではあります.
「外相が一番冷静にならなければいけない。日本の外交はこのままでは駄目になる」
とのことですが,町村外相と野田氏とを比べてどちらが「冷静」さを失っているか,どちらが日本の外交を駄目にしているかについては おそらく国民の大方の判断は野田氏のそれとは異なるでしょう.
 一野党党首に過ぎないジャスコなどは論外としても,与党議員が勝手に北京に御用聞きに出掛ける事態が後を絶たない現状は異常です.経済産業省や防衛庁などが相手国大使館にアタシェを置いたりする類はまた別でしょうが,靖國やA級戦犯といった《国家としての原理原則》の部分に関しては,国家としての意思表示の権限は官邸-外務省ラインに一元化されなくてはなりません.勝手な「議員外交」などは政府の足を引っ張るばかりで有害無益です(どうやら朝日はそうは考えないようですが).これについては先日の武部幹事長なども同様.河野洋平などに至っては党籍剥奪モノ.
 脱線.本来なら小泉総理も自民党総裁の職権に於いて所属議員の勝手な外国訪問は控えるよう通達くらいは出すべきでしょうし,それに従わない議員は次回の選挙での公認を取り消すくらいの断乎たる措置を取ってでも党内の引き締めを図るべきなのでしょうが,もともと自民党というのはそんな事が出来るほど一枚岩の政党でもありません.
 この点では民主党も同じ.あるいは民主党のほうが《非自民の寄せ集め》である分だけもっと重症かも.出来ることなら一度自民・民主両党が同時にscrap & buildをやって,ちゃんと政策や国家理念を同じくする人どうしだけでくっついてくれると,有権者としては非常に投票しやすくなるのですが.
 安倍晋三氏が8日に記者会見の席で
「元外相だが現在は三権の長の立場だ。外交権は行政の長にあるのだから(議長は)もう少し慎重に考えていただきたい」
と述べた由(産経 8日).至言と言ってよいでしょう.これについて翌9日に今度は森前総理が自派の総会で
「議論するのはいいが、先輩を非難することはできるだけ避けるべきだ」
と「クギを刺した」そうですが(朝日 9日),もはや「先輩」を立てていれば万事丸く収まるなどという話ではなくなっていることが森氏には分からないようです.
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by xrxkx | 2005-06-10 17:03 | 時事ネタ一般
シンプン号事件 所感:現場の権限拡大を
 シンプン号の件も ニュースとしては とうに旬を過ぎたでしょうから,一言だけ.

 韓国が不法操業漁船を国ぐるみで匿おうとする態度を取っている以上,ああいう事件は今後も頻繁に起きることになるでしょう.
 問題は再発防止の為の措置の取り方にあります.日本側が取り得る最も手っ取り早く有効な対処法は,現場で取り締まりに当たる海保に 当該船舶の取り扱いに関して従来よりも大きな権限を持たせることである筈.
「臨検を拒否して逃走する漁船については 現場の判断により 武器使用(撃沈含む)を認める」
といった程度のことは今すぐにでも実行に移すべきでしょう.これを出来るだけ低いレベルで,言い換えれば出来るだけ現場に近い部署で判断できるようにしておかないといけない.今回の場合でしたら 少なくとも第7管区海上保安本部までの判断で事を処理できるようでないといけません.海保の本庁まで一々話を持って行かないと処置を決められない体勢だと,必ず官邸や外務省の横槍が入る.
 昨年11月の支那の原潜による領海侵犯事件の時にも似たようなことを書いた覚えがありますが,あの時と今回の件とを較べれば なるほど
  • 当該船舶は軍艦ではなく漁船
  • 日本のEEZ内での不法操業ではあるが領海侵犯ではない
  • 今回日本側で対応したのは海自ではなく海保
  • 今回は日本側要員が当該船舶に乗り移るところまでやっている
等々 細かい違いは勿論多々あるものの,
「相手が逃げようとするのを只追いかけることしか許されていない」
「逃げられてしまえば現場の人間にはどうすることも出来ない」
という部分に於いては何ら差が無い.結果として常に日本側が安易に譲歩する形での外交決着に落ち着く,という事の繰り返しでした.
 上述のような現場での対処の仕方に関する議論が政府内で全然出て来る様子が無いということは,日本政府が旧態依然事なかれ主義を捨て切れずにいる証拠といわざるを得ません.外務省などには今回の一件の「日韓首脳会談への悪影響」を懸念する向きもあったようですが,今回の事件は一言で言うなら日本の警察権の及ぶ海域内での韓国人による不法行為の取り締まりに過ぎなかったのであり,その性格からして 対韓外交上のイベント──首脳会談であれ何であれ──と秤に掛けること自体どうかしているのです.
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by xrxkx | 2005-06-10 11:14 | 時事ネタ一般
【靖國】何だか現役の宰相より「戦争犯罪人」の孫のほうが余程立派だなぁ
 何とまぁ,これが6月に入って以来最初の投稿です.
 取り上げるべき事柄なら それこそ山のようにありましたが,正直言ってここ数日来《書くモティベーション》を著しく削がれていました.まぁ,もう少しはっきり言うなら書く気を失せさせてくれる2大要因は靖國とシンプン号──より正確にはそれらに対する政府の対応──だったのですが.
 ああいうネタを扱おうと思うと えてして文体が悲憤慷慨調に陥りがちなのですが,徒に日本政府の弱腰外交や国家戦略の欠如を嘆き憤ってみせるだけの三文壮士的な文章なら 既に世間に幾らでも転がっていますから,敢えて屋上屋を架するには及ばないでしょう.如何に商売でやっているわけではないとは言っても,わざわざ読みに来てくださる方々に そんな代物をお見せするわけに行きませんので,書き手の心理上そういう文章しか書けそうにないときは 思い切って休むことにしました.おそらく今後もそういうことは度々あるかと思いますが 何卒御寛恕の程を.

 で,靖國のこと.昨5日の毎日の記事には
首相との直接交渉では進展しないとみた中国が、自民党の有力者を次々と北京に迎え入れ、結果的に首相を「浮いた存在」にする作戦に出ていることが要因の一つ。靖国問題で首相をけん制しようという自民党内の反小泉勢力の思惑も重なり、首相を後押しする声は小さくなってきた。
必ずしも親中派ではない有力者が再考を促すことによって、参拝継続に意固地になっているのは首相だけという構図ができつつある。
とありましたが,小泉首相さえその気になれば「後押しする声」なんぞは幾らでもあった筈なのです.先日の森岡発言などはその最たる例でしょうが,それを踏まえるどころか
「(A級戦犯を)戦争犯罪人だと認識している」
「A級戦犯のために参拝しているのではない。多くの戦没者に敬意を表している」
「私は戦争への痛切な反省を表明している。靖国神社を参拝することが靖国神社の考えを支持しているととらないでほしい」 (以上 朝日 06/02
と,この程度の答弁しか出来ないのでは….
おまけ.森岡発言については細田官房長官も大慌てで
「一衆院議員として自分の思いを発言したのだろうが、事実関係に種々誤りも含まれており、論評する必要はない」
「政府の一員として話したということは到底あり得ない。過去の(政府)見解と大いに異なる」 (以上 北海道新聞 05/27
などと「火消し」に回っていたのでしたね.細田氏もこうまで言った以上は,少なくとも件の森岡発言のどこが「事実関係」に関する「誤り」の部分なのかくらいは今からでも具体的に示す責任があるでしょうし,その上で もしも寧ろ「過去の政府見解」のほうに問題ありという結論に至れば これをきちんと撤回するのも内閣の大番頭たる者の務めでしょう.
※参考)森岡正宏のホームページ:「A級戦犯」をめぐる私の発言の真意と波紋

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 先月末に「靖國と遺族とでA級戦犯を自発的に分祀」するよう求める中川秀直案を靖國側も拒否東条英機の孫もこれを否定しているというのは近頃稀な痛快事ではありました.
「(東条家が分祀に応じるという話は)全くのうわさで、応じていない。よその国から言われて(分祀に応じない考えを)撤回するような問題ではない
「極東国際軍事裁判(東京裁判)は勝者の一方的な裁判で納得していない。A級とかB級とかC級とか言うが、便宜上、連合軍が裁判でつけたのにすぎない。この裁判史観を認めることは先の戦争が侵略戦争だったことを認めることになる
 何せ朝日から持ってきたものですので文面がどこまで信用できるか分かりませんが,少なくともこれらの発言は現在小泉首相に最も足りないものが何であるかを端的に語っているように思えます.

 以前からある「公人か・私人か」などといった形式論や その焼き直しとしての「個人の信条」論が 既に支那の干渉を跳ね除ける上で何ら効力を持たなくなっていることは 周知の通りです.そして,政府が責任を靖國側に丸投げする形での「自発的」分祀案も,上のように靖國・遺族側に拒絶され お蔵入りとなりました.
 差し当たって今年8月の靖國参拝に関する限り,小泉首相の取り得る選択肢は
  1. あくまで8・15に参拝.
  2. 日程をずらして参拝.
  3. 支那に屈服.「任期中は靖國参拝をしない」と明言.
くらいでしょうが,
  1. 8・15参拝を強行した場合も 勿論ただ参拝すればよいというものではなく,その後で予想される中共からの様々な非難や干渉に毅然たる対応を取れるかどうかが問題.参拝を強行した後で言い訳に奔走,というのが最も良くない.
  2. 次に日程ずらしについてですが,中共にすれば今回の靖國カードは《王手》を掛けに来ているでしょうから,今までのように「8・15を避けるなら まぁ勘弁してやろう」という具合には出ないでしょう.もうそういう誤魔化しで対処できる時期は過ぎたと思います.
  3. 「参拝やめた宣言」について.どうせ小泉首相の任期もそう多くは残っていませんので,下手に参拝を強行して 後にまた無用の外交的譲歩を引き出されるくらいなら いっそこちらのほうがマシですが,これは小泉首相の性格から考えてあり得なそう.
 小泉総理に 上の東条英機のお孫さんの せめて1/10の気骨があれば 第1案を立派にやり通せそうなものを,と思うのですが,無理でしょうね.
 中川秀直の言い草を借りるわけではありませんが,いっそのこと靖國と遺族が相談して自発的に靖國の門前に「小泉純一郎氏,参拝お断り」という立て札でも立てることにしたらどうでしょう.小泉氏本人も実際のところは《参拝せずに済む口実》を欲しがっているかも知れません.第一,「A級戦犯は戦争犯罪人だったと認識」しているような宰相は靖國に相応しくありません.そういう方には千鳥ヶ淵で十分です.
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by xrxkx | 2005-06-06 21:04 | 時事ネタ一般
中川秀直「A級戦犯分祀」論のこと
 昨日まで 締め切りの迫っている仕事に追われており,何とか片付いたと思ったら また風邪を引いてしまったようです.これで4回目だぞ,今年….
 何しろ前回更新したのが呉儀のドタキャンの時ですから,その後上がって来たネタなら目白押しだったのですが,身体のほうがついて来ません.薬のせいで眠いし.まぁ仕方ない.

靖国「A級戦犯分祀を」自民・中川氏が強調 ─読売 05/30
 自民党の中川秀直国会対策委員長は29日のフジテレビの報道番組で、小泉首相の靖国神社参拝問題の解決方法について、「ご遺族と神社側が話し合い、A級戦犯の分祀や分霊を自発的にやることが望ましい」と強調した。

 また、中川氏は、小泉首相が20日の参院予算委員会で「個人の心情として参拝している」と答弁したことに言及したうえ、「大平、鈴木元首相がこういう形で参拝した時、中国はあまり問題にしなかった。その状態に戻す意思表示と取れる」と述べた。

 1985年の中曽根首相の公式参拝以降、中国側が参拝を問題視するようになったことを踏まえ、小泉首相としては、私的参拝を強調することで中国側の理解を得たい考えがあると指摘したものだ。

『分祀』『常任理』一体で 靖国問題 / 中国に解決策訴え ─東京新聞 05/30
 自民党の中川秀直国対委員長は二十九日、フジテレビの政治討論番組で、小泉首相の靖国神社参拝問題について「靖国を一方的な問題にされては困る。国連安保理常任理事国入りでは、中国はドイツなどにはイエスと言うが、日本には言っていない。これらの問題はセットで解決したらいいのではないか」と述べ、中国が日本の常任理事国入りを支持することと一体で解決を図るべきとの考えを示した。

 その上で、中川氏は「A級戦犯とされている人たちも遺族も、(犠牲となった)兵士たちに済まないと思っていると思う。遺族と総代が話し合って、賢明な判断で分霊というか分祀(ぶんし)を自発的に行うのがいいのではないか。それで中国も日本の常任理事国入りをイエスと言う」と強調した。

 また、小泉首相のことしの参拝については「時期も含め適切に判断するのではないか」とした上で、「(私人として参拝した)鈴木善幸首相の時代に中国が抗議をしなかったことは一つの手掛かりとなる」と述べ、「私人」の資格での参拝を明確にすることで、中国側の理解を得られる可能性があるとの見方を示した。
 この中川秀直発言のダメダメな点を挙げよと言われたら,以下の3つに集約できるでしょう:
  1. 靖國参拝という純然たる日本の国内問題を 常任理事国入りという純然たる外交問題と「セットで解決」しようとする不定見.
  2. 所謂A級戦犯「分祀」を行なうに当たって 一宗教法人である靖國やら遺族らやらに「自発的」にやらせようとする,民間丸投げの無責任.
  3. 鈴木善幸時代の私的参拝まで話を戻せば支那の「理解」を得られるなどという,何の保証も無い希望的観測.
 1については それこそ先日の森岡発言に象徴されるように,日本はサンフランシスコ講和条約締結時に東京裁判の諸判決を受け入れている.刑もその通り執行されている.その赦免・復権についても同条約の定めるところに従って執り行っている.既に返し終えた借金の証文をいつまでもヒラヒラさせる馬鹿も無い.
 森岡発言について補足.「あんた何様? 日記」さんのところに,森岡氏から直接回答を戴いたという発言全文が載っています.果たして支那人や朝鮮人が騒ぎ立てるほど不穏当なことを言っているかどうか,是非ご自分で吟味なさることを強くお奨めします.
 そういえば,森岡発言の「もはや罪人ではない」の「もはや」の部分を標題から外し,日本政府が「東京裁判無効論」でも唱え出したかのような印象操作をしているメディアが散見された由.
 東京裁判の不当性については今更繰り返すのはやめます.同裁判およびサンフランシスコ講和条約により,日本は無用の《借り》を連合国に対して作ることになりました(そもそも中共が連合国の一員を騙る資格があるのか,とかいう話は別問題)が,どんなに不本意な「諸判決」であっても,一旦認めてしまったものは致し方ありません.今更何処ぞの半島の方々のように「不当ニダ,無効ニダ」などということを言ってはならない.
 その代わり,あれが如何に無茶苦茶な裁判だったかを折にふれ語ることなら許される筈です.戦争の大義名分は勝者の側にのみあるのではありません.これをケシカランと言う人々は,例えばバグダッド陥落以後 米軍がイラク民衆に対して行なった全ての弾圧をも是認しなくてはならなくなります.なにせ「イラクに自由と民主主義をもたらした解放者」の所業ですから.
 森岡発言について 更に補足.朝日も 一度取り交わされた約束事の重みを説きたいなら,こういう愚にも付かぬ社説を書いておらずに 日韓併合の「道義的責任」を持ち出して補償をふんだくろうとする某国とか,「お詫びの白紙化」を云々する某国とか,果ては「国交『正常』化交渉のやり直し」を標榜し始める某国とかを徹底的に糾弾すべきでした.「困った子ね,でも気持ちは分からなくもないわね」などと甘やかすのではなく,です.
 2については,中川秀直氏には「靖國がそんな条件を呑めると思うか?」をまず問いたい.こういうことを与党の国対委員長までが言い出すものだから,却って靖國の存在が政治化される.従って支那・朝鮮にわざわざ付け入る隙を用意してやる結果を招く.
 それから,中川秀直発言には「自発的に」やってくれという逃げ道が最初から用意されていますので,政教分離の原則を云々する無粋は敢えて致しますまい.但し 強制性の程がどうあれ,今年1月のNHK番組改変問題の時の朝日の論理に従うなら,これは靖國や遺族らへのれっきとした「政治的圧力」にあたると思いますが,どうなのでしょう.ちなみに こういう圧力については朝日は早々にダンマリを決め込んでいるような.
A級戦犯の自発的分祀で解決を 靖国問題で中川国対委長 ─朝日 05/29
 自民党の中川秀直国対委員長は29日のフジテレビの番組で、小泉首相の靖国神社参拝に関して「ご遺族と神社の宮司らが話し合って、分霊というか分祀(ぶんし)という形で自発的にやる。それで(日本の)常任理事国(入り)に中国もイエスと言う」と語った。現在は合祀(ごうし)されているA級戦犯の遺族と、神社側が話し合って解決の道を探るべきだとの考えを示したものだ。

 同党の与謝野馨政調会長は同日のテレビ朝日の番組で「靖国神社に行くべきか、行くべきでないかという二元論的には結論が出ない問題だ。戦死者を弔う気持ちと中国との関係についてどこでバランスを取るか、政治の微妙かつ重大な判断が必要だ」と語った。
 3についてはもう言うまでもないでしょう.こういう考え方が支那人に通用すると思っている政治家に 靖國の件は任せられません.
「こんな譲歩をしてみせたら 次は『BC級も分祀せよ』とか『千鳥ヶ淵があるのに何故わざわざ靖國に』とか言い出すのがオチではないか」
くらいのことは容易に想像が付く筈です.相手がダメモトで吹っ掛けて来ているものを わざわざ言い値で買ってどうするのでしょう.

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 上の1~3からは外れますが,実は私が一連の報道を読んでいて最もカチンと来たのが
A級戦犯とされている人たちも遺族も、(犠牲となった)兵士たちに済まないと思っていると思う
の部分.「お前に一体何の資格があって死者や遺族の気持ちを代弁しているんだ」と.私の想像が及ぶ限りの日本人のメンタリティとして,敗軍の将が部下をいたわることはあってよいでしょう.但し,その際の「済まない」は戦争犯罪云々とは無関係です.
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by xrxkx | 2005-05-31 16:47 | 時事ネタ一般
呉儀ドタキャン騒動 拾遺
 はてさて,いつまでも こういうしょうもないネタにばかり拘っていられないのですが,前回の補遺として.

 一昨日の記事を書いていた時点では,中共はドタキャンの理由が靖國であることを認めておらず「急な公務の為」で通していたのでしたが,その後どういうことになったかは既に皆様ご存知の通りです.孔泉が24日夜に正式にコメントを出しましたね.曰く,
「日本の指導者からA級戦犯を祭った靖国神社問題で誤った言論が相次いだ」
「会談に必要で適切な雰囲気と条件がなくなった」 (以上 時事 24日 23:05
ちなみに,孔泉本人は「私は『公務の為』だなんて一度も言っていない」と言い張っているとも聞きました.事実そうなのでしょうが,それならそれで呉儀や王毅は嘘をついていたわけです.

[ 参考 ] 24日に孔泉が行なった定例記者会見

今も残る疑問点
 私には今すぐ判断してみようのない部分についてですので,2つだけ書き出すに留めておきます.

※その1: 呉儀は何故嘘をついてまで引き揚げたのだろうか.
  1. 予定通り小泉首相に会い,靖國の件で面と向かって文句を言う
  2. ドタキャンするならするで,初めから孔泉と同じように理由を明かした上で帰国する
という選択肢もあった筈ですから.差し当たり,(1)を選んで十分な回答を得られなかったり,(2)を選んで「言うべきことも言わずに引き揚げて来た」という形にしてしまっては,今度こそ国内の「愛国者」を自称する愚民らを抑えておけないと判断したからだろう,くらいに受け取っておくのが妥当でしょうか(現に 23日夜──まだ呉儀のドタキャンの理由について外交部が正式に言及する以前──の孔泉の談話を 翌24日に支那のメディアが一斉に報道した折にも,呉儀のドタキャンの事実については触れていない由).
 但し,前回も触れたように,私自身は「中共の思惑」云々などは寧ろどうでもよい事だと考えています.重要なのはドタキャンの事実であり,かつ それを日本外交が対支攻勢に出る上でどう活かすかという戦術上の問題です(…と書いていて我ながら虚しくなるようなニュースがあまりに多いのが現状ですが:後述).

※その2: 胡錦涛との会談時の武部「内政干渉発言撤回」は どういう文脈でのことだったのか.
 そもそも「内政干渉だと言っている人もいる」などという他人事みたいな言い方は 痩せても枯れても第一与党の幹事長たる者の発言として相応しくないと私は思いますが.
「通訳のせいで、自分が内政干渉だと思っていると受け取られたので、それなら発言を撤回すると言った」 (時事 24日
というのも ますますもって筋が通らない.この人は中共が靖國参拝に容喙して来ることを内政干渉だとは思っていないということですか.
 武部氏については,今日お昼過ぎに読んだ「log」の記事に こうありました.全く以てその通り.
 そういえば、昨日の記者会見で武部が逆ギレしてましたな。「内政干渉という声もある」「自分は内政干渉とは思っていない」などと、政府との足並みをわざわざ乱しに中国へ行ったも同然の男が何を偉そうに。確か16日の記者会見では、こんな勇ましいことを言っていたクセに。
靖国参拝問題:小泉首相発言「妥当」--武部幹事長
 自民党の武部勤幹事長は16日の記者会見で、小泉純一郎首相が靖国神社参拝について「他国が干渉すべきではない」と発言したことについて「妥当なことをおっしゃっている」と擁護した。与謝野馨政調会長は同日、記者団に「首相として総合的に判断すべき話だ。首相の決断はいつもサポートしたい」と語った。
 情けない男である。

今回最も《逝ってよし》だったのは
 おそらくこの人でしょう.初めは上述の武部氏か公明党の冬柴あたりを挙げる予定(笑)だったのですが,世の中 上には上がいるものです.
 まず中共側が呉儀ドタキャンの理由を「急な公務の為」としていた時点では 彼はこう言っていました:
「(日程の変更などは)外交的にはよくあることだ。都合で日程を切り上げて帰国することはよくあり、それをもって何か申し上げるつもりはない」
「(日本側の一連の靖國発言に対する孔泉談話について)コメントすることは控える」
「日中関係は長期かつ広範にわたる。経済や政治、歴史、社会、観光など含め深い両国の関係があるので、コメントする段階にはない」 (以上 ロイター 24日
それが一夜明けて,中共が外交部の定例記者会見で《種明かし》をした後は こうです.同じくロイターの 翌25日の記事から.
「これ以上コメントすることは日中関係にとって生産的ではない」
「今、生産的でない議論をするのは適当ではない」
「日中の長期にわたる過去の問題を取り除いて今後の発展につなげるのは大命題なので、今ここで簡単に話すことではないが、基本政策は、日本政府として決まっている」
「(東シナ海ガス田開発などに関する協議は)当然やらなければならない。そのためには、この問題を事細かに批判しあうのは生産的ではない」
 敢えて名前を出さずにおきましたが,発言内容を見ればもう誰だか皆様もお分かりでしょう.細田官房長官です.何しろこの人は札付きの事なかれ主義者ですから.
 まず,前回も引用した23日夜の毎日の記事には こうあります:
外務省の谷内正太郎事務次官は23日午前10時ごろ、中国の王毅駐日大使から電話で「担当の公務で急に本国に帰る必要が生じた。他意はない」との連絡を受けた。谷内次官は記者会見で「急用ということであれば致し方ない」と抗議や真意の確認はしない考えを示した。
 どうやら,中共サイドから日本政府に正式にドタキャンの連絡があったのは この時が最初らしい.この間,呉儀本人は何をしていたかといえば,河野洋平と会って日経に招かれて公演をやって,昼に経団連の奥田らと会った後に悠々と帰国している.そちらは予定通りにこなしていながら首相との会談をすっぽかすというのも「よくあること」ですか,そうですか.
 また,前者の記事では 細田氏は孔泉の靖國関連談話についてノーコメントとしています.それが,支那外交部がドタキャンの理由が靖國絡みであることを明らかにし,従って件のドタキャンが単なる「急な公務の為」の「よくあること」ではなかったことが明白になるや否や,一転して「これ以上コメントすることは生産的でない」と来る.これ以上も何も,この人自身の口からは一言もコメントが出ていません.
 後者の記事の最後のほうに出て来る「東シナ海ガス田開発に関する協議」云々が,おそらく彼の本音でしょう.協議なら 昨年6月の青島以来 今までポン子やら中川経産相が何度もやって来た筈です.それが,中間線から日本側へ大きく食い込んだ形で設定されている「春暁」鉱区のデータ開示にすら 中共は未だに応じていない.昨年10月にも書きましたので,中共との会談を終えた後の 中川経産相・町村外相・細田官房長官の3氏のコメントを 是非もう一度読み比べてみてください.

支那人の非礼は日本にとって武器であると思え
 さて,当blogのような閑古鳥サイトにすら 前回の記事にTBが20本来た(その代わりコメントは皆無だったけれどな,わははははT-T)ことは,今回の騒動に関する一般国民の関心が如何に高かったかを物語っています.やはりドタキャンの非礼に憤るものが最も多かったようですが,実のところ 私は「中共の非礼」自体についてはさほど問題にしていません.何故なら,こうした騒動が持ち上がることにより,日本は対支ネガティブキャンペーンの格好のネタを提供してもらったことになるからです.
「支那人は上から下まで約束を破ることを恥としない人間だらけだ」
「支那は文明社会のルールもマナーも通用しない国である」
と大々的に宣伝してやったらよいのです.本気で腹を立てるには及ばない.黙って相手を叩いておればそれでよろしい.何せ相手は非文明国民です.飼い犬を躾けるのと同じやり方で臨むのがよろしい.相手に誠意を示す必要はありません.只々畏服させればよろしい.
 無論,これは先般の反日暴動の時についても同様です.中共当局が真面目に抑える気になれば暴動なんぞはピタリと収まった.これなどは中共の謂う所の「日本軍国主義の被害者である中国人民の感情」論が全くの虚構であることの何よりの証左でしょう.支那の愚民などというものは 所詮はお上に煽られれば暴れ,お上に引き締められれば黙るだけの《国家の家畜》でしかないということです.
「こんな野蛮国でオリンピックなんか出来るのかどうか甚だ心許ない」
くらいのことは 今からでも遅くないからどんどん言ってやったらよい.これ,大方の日本人が思う以上に支那人は嫌がるみたいですね.

 同時に,日本政府は こういう機会をその都度捉えては 支那の謂う所の「歴史認識」の問題に於いて 日支いずれに理があるかを 堂々と世界に説くべきなのです.今回取り沙汰されている靖國の問題に話を限っても,例えば今まで世界の何ヶ国の用心が靖國に参拝したか支那人は知っているか,所謂「A級戦犯」がサンフランシスコ平和条約第11条の定める所に従って既に免責されていることを支那人は知っているか,くらいのことは言ってみせなくてはならない.安易な「死生観」論議に逃げ込んでいたのでは,第三国を納得させることはできません.
 靖國以外にも,例えば支那人の主張する南京「大虐殺」が本当かどうか.南京事件にそこまで固執するなら,通州事件のほうはどうしてくれるのか.そもそも中共が「対日戦勝国」を名乗る資格があるのか.中共が国連加盟を機に「中国唯一の合法政府」としての「中華民国」の全ての正当性を引き継いだと称するなら,一方で「日華条約無効論」を唱えるのは不当ではないか.「日中共同声明」の折に放棄した筈の対日賠償請求権の問題なんぞを ODA論議の席で持ち出すのはおかしくないか.言うべきことは山ほどあります.それらを日本政府は折に触れ主張すべきなのです.一介の中共に向けてではなく全世界に向けて.

 問題はあくまでそれを受けて立つ日本政府にどこまで腰の据わった外交が出来るかという点にあるのです.その意味で 上の細田氏あたりは 軍人だったら銃殺刑モノでしょう.こういう どう考えても先方に一方的な非がある局面を迎えながら 相手の落ち度を完全に不問に付したままで一件の幕引きを図るような人物を 政府の中枢から一掃することこそが,当世の日本外交にとっての焦眉の急なのです.支那人なんぞは何も怖くないが,細田氏のような手合いはまことに恐ろしい.

雑談
 そういえば,今回のドタキャン騒動絡みであれこれ検索している途中で拾ったサイトの中に なかなか香ばしいのがありました.今回の騒動を安倍・中川両氏の謀略と呼んでいるもの.呉儀にせよ王毅にせよ 大層な持ち上げようですが,本当にこの人の言う通り「謀略」だったのだとしたら,その「謀略」とやらに呉儀はまんまと乗せられたわけですから,そういう与し易い人物を外交相手に持ったことは 日本にとっては寧ろ幸いだったということになります.
 ついでながら 同サイトの執筆者氏,日本の国連安保理常任理事国入りに中共が拒否権を行使することを 何やら中共にとっての伝家の宝刀か何かのように考えているようですが,もしこの人の言う通りなのだとしたら,既に軍配は日本に上がったも同然でしょう.日本には その次の手がありますから.
 私自身は日本の常任理事国入りについては「やめておいたほうがいいのに」という立場ですが,もし外務省が中共やその取り巻き(何処かのお目々パッチリさんとかね)に阻止されることを当初から織り込み済みで掛け声だけ掛けているのであれば 私も賛成です.日本の常任理事国入りが否決されたら,日本はまず国連への分担金拠出額を支那以下に抑えてしまう.ODAも大幅減額する.当然ながら対支ODAなどは即時全廃する.支那と政治的・軍事的に親密な国には援助をしない.

 前回の記事に寄せられたTB元にざっと目を通しましたところ,中には「こうした騒動が持ち上がるたびに日本国内で首相の靖國参拝の是非をめぐってあれこれ論争が生じるのはそれこそ中共の思う壺ではないか」と懸念する向きもあったようですが,私はそれはそれで構わないのではないかと思っています.
 例えば閣僚や議員の靖國参拝が憲法の定める政教分離の原則に抵触するか否かというのは純然たる日本の国内問題であること.また所謂「A級戦犯」の免責の問題はサンフランシスコ講和条約第11条の定めるところに従って既に1956年に解決済みであること.これらについて国民が斉しく関心を持ち知識を備えて はじめて「戦前日本はアジアの人々にひどいことをしました」式の日教組的歴史観の虚構性も白日の下に曝されることになるのですから.
 更に言うなら,歴史認識をめぐる日本国内での侃々諤々たる論争の結果として 靖國参拝支持派は反対派を制するであろうし 現にそうなりつつあるのだという事実を,対外的にも明確に示すことが重要です.このことが,現在の日本の「右傾化」が当世の支那や朝鮮の好んで口にする「一部極右勢力」の策動によるものであるかどうかに対する何よりの回答になるでしょう.もっとも,歴史上1秒たりとも民意で政治が動いたことのない独裁国家の為政者に そのことの重みがどれだけ理解できるかは別問題ですが.

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a0026107_20383117.jpgおまけ.17日に中部国際空港に到着した猪八戒.写真はサーチナの記事から.

出迎えているのは支那人ばかりヽ( ´ー`)ノ

a0026107_21274138.jpg参考.同じ空港の 昨年12/27の模様.夜だというのにたいそうな人だかりですね.日の丸もたくさん振られています.

【問1】この人々は誰を出迎えているのですか.
【問2】日の丸と一緒に振られている 白と緑の旗は 何の旗ですか.
【問3】上の写真と比較して,日の丸の数が大きく異なる理由を考えてみましょう.

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by xrxkx | 2005-05-26 20:59 | 時事ネタ一般
呉儀ドタキャン騒動のこと
 あまりに馬鹿馬鹿しいので書くまいと思っていたのですが,どうも政府の対応の仕方が納得行かないので.

重要なのは「中共の真意」如何ではなく非礼の事実である
 まず,中共サイドの謂う所の「急用」による帰国なんぞが真っ赤な嘘であるのは ほぼ確実でしょう.同じ呉儀がモンゴル訪問のほうは予定通り24~26日に行なうと言っているそうですし,また こちらの毎日の記事によれば
 呉副首相は23日午後、羽田空港から北京でなく遼寧省大連に向かったが、このことも「緊急の公務」との説明に疑問を抱かせている。さらに呉副首相は4人いる副首相の1人(対外経済貿易、衛生問題担当)とはいえ、中国共産党の政治局常務委員(9人)に入っておらず、「大急ぎで帰る理由があるほど党内序列は高くない」(政府筋)。
さらに,以下はあくまで消息筋情報ではありますが,今朝上がって来ていた記事(共同)には こうありました:
 中国の呉儀副首相が23日に小泉純一郎首相との会談を直前にキャンセルし帰国したことについて、複数の消息筋は同日、16日の衆院予算委員会で小泉首相が靖国神社への参拝継続の意向を表明したことに憤慨した副首相自身が、指導部に会談拒否を提案し了承された結果だと語った。
 副首相は来日した17日、小泉首相が前日に「戦没者の追悼でどのような仕方がいいかは、他の国が干渉すべきでない」などと発言したことを知り、自分との会談でも「同じことを言われるのは耐えられない」と強く反発。滞在先から指導部に会談中止を求め、22日夜に指導部から同意する回答が届いたという。
 同筋は「副首相は小泉首相に『(参拝に)干渉すべきでない』と言われて帰ったら国内で批判を受けると懸念したようだ。中国の指導者は対日問題では、特に国内の反応を気にしている」と語った。(共同)

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 ところで,上の記事によれば呉儀が中共中央からドタキャンOKを貰っているのは22日夜河野洋平やら経団連の奥田やらには ちゃんと23日の各々朝と昼に会っていますが,ロイターによれば
 日本経団連によると、きょう午前9時半ごろ中国大使館から、呉副首相が帰国することになったので、昼食会の終了時間を午後1時30分から午後1時10分に早めてほしい、と伝えてきたという。その理由などについて、説明はなかったとしている。
とある.何やら予定を遣り繰りしている.経団連サイドがそれに振り回されていることは ここでは措くとしましょう.重要なのは,呉儀サイドが予定を遣り繰りする上で小泉首相との会談よりも経団連やら河野洋平やらとの会談のほうを優先したという事実です.前から分かっていた通り 呉儀はもともと「経済協力」という名の新たな対日タカリが目的で来日しているのですから,おそらく本人も靖國のような手柄になりにくい話に首を突っ込みたくなかったのでしょうが,如何なる思惑があれ非礼は非礼です.しかも読売によれば
 政府関係者によると、23日午前9時過ぎ、呉副首相と河野衆院議長が議長公邸で会談していた際、副首相あてに電話があった。副首相は「本国から急きょ帰国するように指示があった」と語ったという。
と,こういう見え透いた演出までする念の入れよう.

政府は公式に中共を非難せよ
 こういう時 「中共の真意」などをあれこれ詮索するくらい不毛な事はありません.日本にとって重要なのは呉儀がドタキャンという非礼を敢えてしたという事実のみです.まして外務省がわざわざ相手に「靖國と関係あるか」などとお伺いを立ててどうするのでしょう.中共サイドが呉儀のドタキャンの理由を「公務の為」としか説明しようとしないのも無礼な話ですが,だからこそ こういう時に官邸や外務省が一々疑心暗鬼に陥っていては困ります.もしも記者団からそうした質問を受けても「そんなこと知るか.呉儀に直接訊け」くらいで丁度よい.

 何より小泉総理にもう少しシャキッとしてもらわないと困ります.「会いたくないというものを会う必要は無い」までは結構だったのですが,「先方がお会いしたいというのなら、いつでもお会いする」(ロイター)などは ナメられている本人たる日本の宰相の発言として甘すぎませんか.
「次からはもう少し約束の守れる人物を寄越してもらいたいね」
くらい言ってみせたらよいのに.

 一方 外務省ですが,23日夕方「外務省首脳」の名前で「消息筋情報」として不満の意を表明したところが,実はその「首脳」というのが他でもない町村外相だったことを後から公表した由.今朝読んだニュースに その痕跡(?)らしきものが残っていました.
中国副首相帰国:国際的ルール軽視と不快感 町村外相 ─毎日 05/23 21:47
 町村信孝外相は23日夕、中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を中止して帰国したことについて「最低限の国際的なマナーは守ってもらいたい」と強い不快感を表明した。同首脳はさらに「一国の首相が会う日程を、理由もよく分からずに土壇場でキャンセルする。ちゃんと説明すべきだ。国際的なマナーやルールをどう考えているのか」と批判。「先般の大使館などへの破壊活動と一脈、通じるものがある」と述べ、反日デモの破壊活動と同じように国際的ルールを軽視した動きだとの認識を示した。
 一方、同首脳は、小泉首相の靖国神社参拝問題が影響している可能性があるとの指摘について「憶測はできるだけしないようにしている」と述べるにとどめた。(後略)
 「町村外相」と「同首脳」が混在している.初めにこの記事を読んだ時は怪訝に思ったのですが,種明かしが載っていました:
「首脳」、一転外相と特定=対中批判発言で外務省 ─時事 05/24 01:12
 呉儀中国副首相が小泉純一郎首相との会談を中止したことを批判する23日夕の「外務省首脳発言」について、外務省は同日夜、町村信孝外相の発言と認めた。これを受け、報道各社は発言者を外相と明記して報じた。
 呉儀副首相が23日に予定されていた首相との会談を突然中止し帰国したことに対し、町村外相は当初、「外務省首脳」として「国際的なマナーは守ってもらいたい」などと批判していた。これに関して外務省幹部は同日夜、「誰が発言したのかはっきりした方が良いと判断し、オンレコ(オン・ザ・レコード)にした。町村外相も了解している」と指摘。外交上の観点から、外相発言と特定すべきだと判断したことを明らかにした。
要するに上の毎日の記事は修正が中途半端なまま載せてしまったものらしい(笑).
 それはともかく,老父ダカーもこんな時に何に気兼ねして覆面で発言するのでしょう.外相たる者がいちいち名前を出して発言していたのでは軽く見られるというのはあるかも知れませんが,だったら日本も外務省にきちんとしたスポークスマンを置いて,外信の記者も入れて毎日定例記者会見をやったらよいのです.それをその日のうちに──なるべくなら日本語と英語で──ネットに流したらよい.アメリカ中共もそういうことをやっています.先日の教科書検定の折にも似たようなことを書きましたが,どうも日本外交はこういう対外アピールが弱すぎるように思えてなりません.
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by xrxkx | 2005-05-24 14:22 | 時事ネタ一般
【靖國】「個人の信条」「不戦の誓い」はもう聞き飽きた
 小泉首相が靖國参拝をめぐって 相も変わらず「一人の人間として参拝」などの発言を繰り返しているというお話.
小泉首相:靖国参拝は私的との認識 参院予算委で答弁 ─毎日 05/20
「なぜ靖国参拝をすることが憲法違反で、私が被告人になるのか、不思議でしょうがない。個人の信条を他人が憲法違反だと言うのは理解に苦しんでいる」
首相の職務として参拝しているものではない。個人として参拝しているものだ
 こういうところで安易に「個人の信条」などを持ち出して問題を先送りするのは そろそろやめていただきたいものです.こんなもの,裏を返せば首相自らが「さすがに公式参拝は憲法上マズイかも」と公言しているようなものです.参拝するならあくまで堂々と公式参拝すればよいし,そうでなくては首相としての任期中に参拝する意味が無い.それを違憲とする判決が最高裁で出たなら 弾劾裁判をやるまでのこと.そこまで腹を括らずに こうやって逃げてばかりいるから,「せめて任期中は参拝は控えるべき」だとか何とか言い出す者が与野党を問わずあとを絶たないのです.
 誤解の無いように予め言っておくと,私自身も閣僚や国会議員などの公式参拝が憲法の定める政教分離の原則に抵触しないかどうかという点については国内で十分な議論があって然るべきだと考えています.
 更に付け加えるなら,私は「問題なし」の側に立ちます.靖國公式参拝がマズイというなら,その前にもっとマズそうなものがいくらでもあるでしょう.宗教系私学に国が助成金を出していることとか,少なからぬ神社仏閣を国宝として国民の税金で保護していることとか,極めつけは公明党が法禁されないどころか連立与党の一角を担っていることとか.
 さて,小泉首相の心構えの程は斟酌してみるだけ虚しいので これくらいにして,上の「私人」発言は当然海外にも直ちに伝わり,新華社あたりは案に違わずこうやって鬼の首でも取ったように「私人としての参拝」を対外的にも喧伝していました.特に以下のくだり:

"I pay a visit as a person and not as duty of the prime minister," Koizumi was quoted as saying at a House of Councillors Budget Committee session.

"Junichiro Koizumi, who is prime minister, is paying a visit as an individual," he reiterated.

 「内閣総理大臣である○○が…」というのは,20年前に当時の中曽根首相も記者団の「公人か,私人か」という問いをはぐらかす際に頻繁に用いた言い回しです.が,靖國を見る国民の目にせよ歴史認識の問題にせよ支那との関係の問題にせよ,朝日イズムが幅を利かせていた20年前と今とでは状況は大きく変わっています.今どき中曽根発言の焼き直しなど芸が無さすぎる.
 こういうやり方を今また支那や朝鮮に向けて使ってみようとする首相は,まさか中共が「個人としての参拝ですか,では問題ありませんね」などと折れるとでも思っているのでしょうか.日本側が中途半端に「これは私人としての参拝ですから」などと「周辺諸国への配慮」を示してみせれば,中共あたりは寧ろそれを
「小泉首相が公式参拝を明言できずにいるのは,日本の侵略の被害者であるアジア諸国への疚しさがあるからだ」
といった類の反靖國キャンペーンの足掛かりとして目一杯利用しに掛かるのがオチでしょう.実際,次のようなニュースもありました:
中国前外相、靖国参拝中止求める・与党幹事長と会談 ─日経 05/21
 この席で胡錦涛は
「(日本には)近年目にしたくない動きがある。具体的にはA級戦犯が祭られている靖国神社への日本の指導者の参拝教科書問題、台湾問題だ」
と3つを挙げたという.しかも
「昨年のチリでの首脳会談などで、今年は(戦後六十年の)敏感な年だと伝えた。約束を守っていない
とも言ったという.去年のAPECの折に具体的に何をどう「約束」したのか明らかにして戴きたい所ですが,「敏感な年」云々は日本とは関係ないことです.支那国内の反日輿論を制御可能な線まで抑えておけるかどうかは あくまで中共の執政能力の問題にすぎません(早い話が,ロシア人は対独戦勝60周年の「敏感な年」に反独暴動など起こしているか?).
 それにしても,今回北京詣でに出掛けた武部・冬柴の両名の腑甲斐無さにも困ったものです.上の産経の記事によれば,唐家璇との会談では
 武部、冬柴両氏は、「過去の政策に誤りがあり、中国に損害と苦痛を与えたことをおわびする」としながらも、靖国参拝は「一般的に戦没者の慰霊と不戦の誓いということであり、軍国主義の美化にはつながらない。日本は戦争を放棄し、国際社会に貢献している。戦後六十年の平和国家としての道のりをみてもらいたい」
とあり,また胡錦涛との会談中には
 これに対して、武部氏は「戦後日本は反省のうえに平和国家の道を歩んだことを自負しており、少しは評価してほしい」と主張、歴史問題について「過去の過ちを二度と繰り返さないよう、歴史を風化させてはならない。こうした考えを若い人たちに伝えたい」との考えを示した。

 戦没者の慰霊であるとする靖国参拝の意義には積極的に触れなかった。四月に中国各地で起きた反日デモによる日本大使館などへの破壊行為についても「謝罪と賠償」などを提起しなかった。
とある.ヤメナサイおじさんごときを相手にまた「お詫び」しています.まぁ,日本側はトップがトップですから 他に何とも言ってみようが無いのでしょうけれども.
 ところで,上の唐家璇との会談・胡錦涛との会談ともに,どの記事を見ても冬柴が自分の口で発した言葉が一つも紹介されていないのはどういうわけでしょうね.曲がりなりにも連立与党の幹事長ともあろう御方が よもや中共の言い分を黙ってハイハイと聴いていたとは思いたくないものですが.
 話を戻します.胡錦涛が何を指して「約束が違う」と言っているのか分かりませんが,一方で支那の側からは具体的な約束らしい約束を何一つしようとしていないのは相変わらずです.一連の反日暴動による日本大使館・領事館損壊についても未だに謝罪ひとつしないのは言うに及ばず,また日支関係の「最大の障碍」と言っていた筈の靖國参拝をもしも日本側がやめるか もしくは所謂「A級戦犯」分祀を行なった場合についても 具体的にどうするという話を一切しない.下の共同の記事──外交部の孔泉の発言ですが──にも こうあります:
常任理入り支持は困難に 中国、首相靖国参拝で ─共同 05/19
小泉首相が参拝を中止すれば常任理事国入りを支持するかとの質問に対しては、回答を避けた。
…と,あくまで言質を取られることは避けている.中共に頭の上がらぬ かの阿南駐日大使ですら,「首相が靖國参拝を中止しても支那は日本の常任理事国入りを支持しないだろう」と いわば匙を投げています
 もっとも,これで支那を責めるのは筋違いで,当世の日本政府のヘタレぶりをよく知っている中共にすれば 自ら妥協案を示す理由が無い.何度でも「歴史を鑑とし…」なるおまじないを繰り返し,日本側から無限の譲歩を引き出せばよいと彼らが考えるのは当然でしょう.情けない話ですが,毅然とした外交態度を貫けない国が他国に侮られタカラレるのは謂わば自業自得です.
 結局のところ,上のように支那の対日外交の全ての尊大さ・図々しさの源泉は歴史認識の問題での対日優位にあるのですから,日本が支那人の言い立てる虚構の歴史を一切受け入れず,彼らの歴史認識と私たちのそれとの いずれがより真実に立脚しており妥当であるかを 全世界の見守る中で堂々と主張すればよいだけの話です.少なくとも小泉首相の任期中にはそんなことは無理でしょうが.

記事 控え
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by xrxkx | 2005-05-23 12:00 | 時事ネタ一般
【靖國参拝】犬と支那人は立ち入るべからず
 遅まきながら,小泉首相「靖國参拝やめない」宣言のこと.
首相、靖国いつ参拝「他国が干渉すべきでない」 中韓対日行事続き多難 ─産経 朝刊 05/17
 「他国が干渉すべきではない」のはその通り.昨年11月のAPEC以来,靖國参拝については「聞かれても答えない」という態度でいた小泉総理ですが,ようやく口を開いたのは評価したい.黙っていては諸外国は「疚しい事があるからだ」と思うでしょうから.
 但し,言ったからには やることはやってもらうぞ.以上.…と,これではあまりに身も蓋も無いので,記事の中身を見て見ますと,まず気に入らないのが以下の箇所:
 参拝の理由について首相は「戦没者を追悼し、二度と戦争を起こさないという、ごく自然の気持ちを実践してきた。わたしは何ら問題があるとは思っていない」と強調。中国などが靖国神社に「A級戦犯」が合祀(ごうし)されていることを問題視していることについて「『罪を憎んで人を憎まず』というのは(中国の)孔子の言葉だ」として、批判はあたらないとの考えを示した。
 「戦没者を追悼し、二度と戦争を起こさないという、ごく自然の気持ちを実践」などというのは それこそ千鳥ヶ淵ででもやれることでしょう.何の為に靖國があって 何の為に首相が公式に靖國に行くのか,その意味を小泉総理は全然分かっていない.
 また「罪を憎んで…」などは全く言わずもがな.この宰相は東京裁判史観の側に立つのかと.
 サンフランシスコ講和条約締結の折に東京裁判のjudgementsを受け入れてしまったことについては今更どうしてみようもない──何しろ一旦受け入れたものを「不当であり無効」などと言い出しては半島人レベルに堕ちてしまう──にせよ,戦勝国が敗戦国を一方的に裁くという東京裁判のありようそのものについて誰より先に物申すべきは 裁かれた側である日本の宰相でしょうに,この人のやることはその正反対を行っている.
 所謂「A級戦犯」に関しても そうで,他ならぬサンフランシスコ講和条約の定める手続きを踏んで赦免が行なわれている以上,後世改めて彼らを罪人扱いする理由がありません.その辺の経緯については「娘通信♪」さんのところの昨年10/22の記事にかなり詳しく書かれていますのでご参考に.

 また参拝の時期についても,
 断固たる持論を展開した首相だが、参拝をめぐって苦しい胸のうちを明かしたこともある。
 「いつでも、いつがいいか考えていた」
 首相は昨年元旦の靖国神社参拝後、記者団にこう心情を吐露した。平成十三年、公約の八月十五日の参拝を二日早めて参拝したのをはじめ、参拝日を何度も変えたのは、「この日なら中国もそれほど反発しないだろう」との配慮からだった。
のだそうですが,小泉総理が展開して来たという「断固たる持論」なるもの自体,上のような次第で私は全く評価できません.ともあれ靖國参拝の仕方について「他国が干渉すべきでない」と思うなら,「いつがいいか考え」る必要など無いのですよ,本来.何の躊躇も無く8・15に行けばよい.大竹まことじゃないけれど,何なら毎日でも行けばよい
 国連安保理常任理事国入りに目が眩んだのか何なのか存じませんが,自国のかつての指導者たちを自ら率先して「連合国目線」で断罪するような宰相を持ったことは日本の不幸です.こういう人物だからこそ,先般のバンドン会議の演説では戦後日本外交最大の失点の一つである「村山談話」なんぞを持ち出して土下座外交(しかもその後オランダにまで頭を下げる土下座行脚のおまけ付きと来た)を展開することしか出来ない.あれのおかげで日本は大東亜戦争に2度負けた.戦後60年を経た今や日本は改めて敗戦国になったのです.
 とにもかくにも今回「干渉すべきでない」発言までした以上は,今後 他国の反発への「配慮」ゆえに「日程をずらして参拝」などという姑息な手は一切使わないことが求められます.これでもしも今年8・15に行かなかったら腹でも切っていただきたい.上の記事ではないけれど,大晦日にこっそり参拝するような腰抜け総理は日本に要りません.

 おまけとして支那電波を一本:
「血で汚れたA級戦犯」 中国、首相靖国参拝を批判 ─河北新報 05/17
【北京17日共同】中国外務省の孔泉報道局長は17日の記者会見で、靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯について「その両手を中国、アジア人民の鮮血で汚した」と述べ、16日の衆院予算委員会集中審議で靖国参拝継続の意向を示した小泉純一郎首相の姿勢を批判した。
 孔局長は、小泉首相の参拝問題について「単に故人に対する祭祀(さいし)ということで済む問題ではない。(日本が)歴史問題にいかに臨むかという点にかかわる問題だ」と指摘。A級戦犯の合祀(ごうし)が根本問題との認識を示した上で「彼ら(A級戦犯)が罪を犯したという見方は国際社会の定説」と述べ、小泉首相の参拝継続は認められないとの中国の立場を強調した。
 いいよ,別に支那人に認めてもらわなくても.靖國は支那人のものじゃないし.
 第一,「その両手を中国、アジア人民の鮮血で汚」すのは,寧ろ他ならぬ中共のお家芸では? 殺した人数を較べたら日本軍とは桁が2つばかり違うでしょう.
 ちなみに,こういうとき共同は決して「日本側の強い反発が予想される」とは書かないのよね.
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by xrxkx | 2005-05-18 13:43 | 時事ネタ一般
Coulmas先生の日韓併合論について
 さる04/06に中央日報に載っていた「ドイツ人学者も『独島の国際問題化は不公平』」なる記事(翌朝追記:この記事,中央日報としては珍しく 早々にリンク切れしているようですので,これもmore欄に控えを載せておきました)でもお馴染みの F. Coulmas先生が,The Japan Times Onlineに書評を書いていたのを 今日見つけました.
JAPAN-KOREA RELATIONS - When law and justice won't mix
 今回は英語だったので助かったよ :D 面倒なので訳出しません(more欄に控え).論評されている本は
JAPAN'S COLONIZATION OF KOREA: Discourse and Power, by Alexis Dudden. Honolulu: University of Hawai'i Press, 2005
なるもの.私自身 この本を読んでおらず,本の内容についてとやかくコメントできる立場にはありませんので,以下 あくまで上の書評中でCoulmas先生が自論として述べている箇所だけを取り上げます.

 書評の題名からも分かるように,Coulmas先生,日本による韓国併合の合法性と道義性を相容れないものとして捉えようとします.その結果,日本側がその合法性を言い立てるのに対し 韓国側はその非道義性を論い,どちらにも一理ある以上,両者の言い分が噛み合わないのは無理も無い事だと言う.で,このことは
international law is an instrument not to create justice but rather to make interstate relations manageable
だからだと言う.「was」ではなく「is」です.今もそうだと言う.クルドだのボスニア・ヘルツェゴヴィナだのパレスチナだのを引き合いに出して.

 さて,明治維新後の日本が 帝国主義に対抗する為に自らもまた帝国主義の道を歩むことにより すんでの所で列強の餌食になるのを免れたことは,日本にとって最善の選択だったでしょう.
 朝鮮が日本による併合に甘んじたくないなら 朝鮮も同じ道を選べばよかった.機会は均等だった筈です.現に金玉均などは「日本が東洋のイギリスになるなら,朝鮮は東洋のフランスを目指そう」というようなことを言っていた由.
 それをやり損ねたのは ひとえに朝鮮社会の後進性──上は鎖国政策と事大主義,下は識字率をはじめ国民の知的水準の低さや民族資本の形成の遅れ等々──の帰結なのであって,件の金玉均なども 結局は他ならぬその並び立つべき相手である筈の日本の褌で相撲を取るような真似ばかりしていたが故に失敗しました.そこに日本人が道義上の疚しさを感じる余地など微塵もありません.このことをCoulmas先生は全くお考えでない御様子.

 ところで,Coulmas先生は日本による韓国併合の合法性の面については異論の余地は無いと考えているようですが,一方で当の韓国人たちが未だに日本による韓国併合を「強占」と呼び,「韓国併合に関する条約」の法的有効性そのものを否認しているという事実を,この御両名はどうお考えなのか.
 韓国の青瓦台や外交部がしきりに「道徳的責任」論なるものを論うようになったのは 日韓国交「正常」化交渉関連の外交文書が一部公開され,韓国国民への個別補償に関する法的責任が韓国政府にあることが明るみに出た頃からです.それでも,今年の盧武鉉の3・1演説中にはっきりと「賠償」なる語が登場したように,既に日韓基本条約締結に伴って解決済みの補償の問題を蒸し返すことを 韓国政府は恥としません.あまつさえ日韓国交「正常」化交渉のやり直しなどということを真顔で言い出す国会議員まで出て来る.
 韓国とはつまりそういう国です.あれくらい《弱者を演じるうまみ》を知悉している国も他に無いでしょう.それがどうもCoulmas先生にはお分かりでないらしい.だからこうして判官贔屓に傾く.
 1965年に結ばれたあの条約もまた強者の論理による道義上不当なものだったと敢えて言うのであれば,日本としても 国交「正常」化交渉を仕切り直すに当たって かつて日本が朝鮮半島に残した官民の資産を戦後韓国が着服したことの「道義的不当性」を持ち出すに吝かではありませんが,「法と正義が相容れない」という立場の方から見れば,ここでもまた道義上の問題を国際法に則って解決することはナンセンスなのでしょうかね.

 日本が韓国を併合したことの「道徳的責任」を論じるなら,一方で日本が自らの統治下にあった朝鮮に施した恩恵のほうもきちんと評価した上で両者を秤に掛けてもらわないと困ります.秤がどちらに傾くかは今更言うまでもないでしょう.この点でも,Coulmas先生の説には「日本によって併合されたことが朝鮮人にとって益だったか害だったか」という視点が見事なまでに欠けている.

 結びの段落で取って付けたように竹島問題に言及──04/08にご紹介したNZZへの寄稿の時と同じ論旨で──している意図を あれこれ勘繰ってみたくもなりますが,触れるだけ野暮でしょうから やめておきます.韓国併合と竹島領有との間に直接の因果関係が無いことについては今まで何度か書いてきましたので繰り返さないことにします.

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by xrxkx | 2005-05-16 02:17 | 時事ネタ一般