【資料】 国家保安法廃止勧告をめぐる韓国各紙の論調
◇ 廃止論 ◇

●人権委「国保法廃止勧告」その意味と波紋 ──ハンギョレ(配信:聯合ニュース) 2004/08/24 (原文)
 国家人権委員会(委員長:キム・チャングク)が「人権侵害論難を巻き起こしてきた国家保安法を廃止すべき」だと政府に勧告したのに伴い,国家保安法廃止論が力を得そうだ.
 国家保安法は1948年制定以来「南北分断と対峙の特殊状況の中で体制守護の為に不可欠な法」という評価と「政権安泰の為に表現の自由など各種人権を圧迫する悪法」という評価の間で改廃論難が絶えなかった.
 また,クーデター等による軍事独裁政権時代突入などを経て,国家保安法は事実上「国家の安全保障維持」という本来の目的よりは,体制に対する健全な批判と民主化要求の口を塞ぎ,思想・表現の自由を抑圧するのに より多く「寄与」するものでもあった.

※ 廃止論の背景と根拠 = 人権侵害など各種論難の渦中にありながらも存置されて来た国家保安法についての廃止論議が本格化したのは,南北関係が梗塞・対決の局面を脱した頃からだ.国際的には91年の南北国連同時加入と2002年の金大中・前大統領の平壌訪問,6・15南北共同宣言などが背景となって南北交流が次第に拡大された現実にあって,北韓を反国家団体と規定した条項が南北交流協力法などと根本的に衝突するという点も問題として指摘されている.
 国家安全保障もまた,内乱罪や外患罪,間諜罪など刑法およびその他の刑事特別法規で十分に規制できるというのが廃止論者らの主張だ.
 また国家保安法が当初は時限立法(訳註:原文はおそらく「限時的法律」)であり,軍事政権維持に悪用されたという点なども廃止論の根拠として提示されて来た.
 国家保安法廃止に保守的なハンナラ党ですら,国家保安法第7条の称揚・鼓舞条項と第10条の不告知罪条項などについては削除する必要性を認めている.

※ 国家保安法,歴史の中へ消えるか = 国家保安法廃止論はこれまでにも何度となく提起されて来たが,与大野小の第17代国会の頃になって政界での論議が活気を帯びるようになった.
 現在までに知られているところでは,与党ヨルリン・ウリ党が「廃止後刑法補完」,民主労働党が「完全廃止」,民主党が「廃止後代替立法」と各々の方向に向かう中,ハンナラ党だけが「一部改正」を主張している状況だ.
 改正か廃止かをめぐって論難が続いて来た中での人権委のこの日の決定は 廃止論に重みを与えるものであり,国家保安法廃止の動きが勢いに乗りそうだ.
 結局全ての「ボール」が政界に渡った状況で,早ければ来る9月の通常国会で国家保安法は56年の歴史をあとに歴史の中へと消えて行くこともあり得る見通しだ.

●国家保安法,きれいさっぱり払拭しよう ──ハンギョレ 2004/08/25 (原文)
 国家人権委員会が国会議長と法務部長官に国家保安法廃止を勧告し,国家保安法廃止に賛成する国会議員声明者が100名を超えた.
 これにより,反民主的悪法の代表に数えられて来た国家保安法の廃止論議が実質的な弾力を帯びて来ている.我々はこうした気流を大いに励みとし,来る秋の通常国会に於いて国家保安法がきれいさっぱり廃止されることを望む.
 国家保安法は生まれながらにして問題のある法だった.さる1948年,日帝の治安維持法を手本に臨時法として作った当時,検察総長が「軽い鞭を以て対すべき事案に斧を以て対するに等しく,あまりに重い」と人権侵害の素地(訳註:があること)を明らかにしたほどだ.彼の言葉通り,国家保安法は結局,政権・体制維持の恣意的な斧として用いられ,夥しい人権侵害の事例と悲劇を生んだ.これまで多くの学者や市民・社会団体らが,国家保安法の称揚・鼓舞・不告知条項などが罪刑法定主義に違背し,良心の自由を侵害する悪法であるとして廃止を求めて来た.また反国家団体の規定が明確でなく,恣意的処罰の素地があり,南北交流の時代的変化の中で北韓を反国家団体だと主張するのも矛盾していると指摘して来た.にも拘らず,歴代政権は南北分断という特殊な状況を楯に法を存続させた.人権委の勧告は国家保安法をめぐる論難に終止符を打つという意味がある.国家機関が悪法と規定したからだ.
 人権委の勧告に強制性は無いが,勧告を受けた機関はこれを尊重し,履行のために努力しなくてはならない.ならば国会はこれ以上消耗的論争を行なうのをやめ,今回の通常国会に於いて国家保安法を完全廃止するのが正しい.
 一部条項を改正しようという主張があるが,人権委は「幾つかの条項を替えることでは問題点は治癒されない」と診断を下している.人権委も指摘しているように,国家保安法を廃止しても国家安全保障に関連する犯罪を処罰する上で何ら問題は無い.刑法上の間諜罪や外患罪で十分に対処可能である.

●国家保安法廃止は当然だ ──京郷新聞 社説 2004/08/25 (原文)
 先頃 国家人権委員会が国家保安法廃止を国会議長および法務部長官に勧告した.そうでなくても100名を超える与野党議員が国家保安法廃止を推進している状況であり,政界の国家保安法廃止論議はいっそう弾力を帯びるものと思われる.
 結論から言おう.いまや国家保安法は人権委の勧告通り廃止するのが相応しいと思う.部分改正を行なうには,実際 国家保安法はあまりにも古臭い.政界がこの問題をめぐってこれ以上ああだこうだと騒ぐのは,時代の変化に乗り遅れているのを白状することでしかない.世界的レベルでも冷戦は既に終わった.韓半島だけが唯一の冷戦の孤島として取り残されているだけだ.その冷戦の退嬰的象徴が他ならぬ国家保安法である.
 なぜ国家保安法は廃止されねばならぬのか,理由は数え挙げればきりが無いほど多い.しかしその内容を仔細に見てみれば どれもこれも陳腐といってよいほど見慣れたものばかりだ.思想・良心・表現の自由を害する素地が大きいだとか,刑法と重複しているとか,過去の権威主義政府の頃に反対派を抑圧する手段として悪用されたとか,「鼻に掛ければ鼻輪,耳に掛ければ耳輪(訳註:行き当たりばったりの恣意的な御都合主義を指す諺)」式の条項が目白押しだとか,南北交流協力法の精神と食い違う等々,改めて詳しい説明は不要だろう.
 100万の南北軍人が休戦ラインで対峙している状況下で国家保安法が廃止されれば,国家安全保障に深刻な穴が生じるのではないかと憂慮する向きもある.しかし醒めた頭で一度冷静に考えてみよう.深刻な経済難に瀕して自己の体制存続にまで悩まねばならない北韓が,南側(訳註:南韓のこと)に国家保安法が無いことに乗じて南側を転覆させることが出来るとでも言うのか.体制競争は終わったと自負する南側が,国家保安法無しでは体制を守れないと信じているのなら,これほどの自己矛盾も無かろう.与野党が理性的な論議を通じて国家保安法廃止の決断を下すことを期待する.

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◇ 廃止反対論 ◇

●国家保安法 廃止してはならぬ ──文化日報 社説 2004/08/25 (原文)
 国家人権委員会が昨日,国会議長と法務部長官に 国家保安法の全面廃止を勧告した.「国家保安法はこれまで,法の恣意的適用によって人権を侵害して来ており,幾つかの条文の改正では根本的な問題点を治癒することが出来ず,廃止が望ましい」というのだ.これに関連してキム・チャングク委員長は「イデオロギー的次元ではなく,純粋に人権問題の視点から出たもの」だと明らかにした.
 人権委の指摘通り,国家保安法には人権侵害の素地があり,実際に過去の政権によって悪用された例も少なくない.このことから,同法の改廃をめぐって我が国社会は既に深刻な対立の様相を呈している.問題があることには大筋で同意するものの,これほどまで論難を巻き起こしているのは,国家を維持している法を一方の側面ばかりから見てはならないという意味だ.人権侵害は決して許してはならないが,それに劣らず重要なのは 国家安全保障を脅かし破壊する勢力からの防御システムだ.
 南北関係が過去とは比べ物にならないほど様変わりしたのは事実だ.だが交流・協力が進展したからといって休戦ラインでの軍事的対峙状態が解消されたわけでもなければ,「南朝鮮を解放する」とした北韓労働党規約が改正されたわけでもない.また北韓のみならず,(訳註:めいめいが)徹底して自国の利益に従って動く国際情勢に於いて,我が国の国家体制を脅かす仮想敵は今なお存在している.人権委は「国家保安法を廃止しても既存の刑法によっていくらでも補完し得る」と主張するが,我々がわざわざ自ら軽はずみに防御システムの隙をさらけ出す必要など全く無い.称揚鼓舞罪を完全廃止した場合,インターネットに「金正日を愛する集い」でも出来て 市内で集会でも行なったらどうする気なのか,という現場の検察の声にも耳を傾けるべきである.
 従って我々は,不告知罪や称揚鼓舞罪など人権侵害の素地となる条項については改正を急ぐべきだが,(訳註:同法そのものを)廃止してはならないと判断する.併せて「イデオロギーではなく人権レベルでの勧告」だという人権委には,国連の北韓人権問題決議の際にも沈黙するなど これまで見せてきた二重的・消極的態度を改めるよう求めたい.

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◇ 慎重論 ◇

●国家人権委が廃止勧告した国保法 ──ソウル新聞 社説 2004/08/25 (原文)
 国家人権委員会が国家保安法を廃止せよと国会議長および法務部長官に勧告した.政界・国民の間で論難の多い国家保安法の存廃問題について国家機関が初めて明らかにした意見だ.一部条文の改正では根本的な問題点を治癒することは出来ないというのが全面廃止の理由だ.
 人権委の指摘通り,国家保安法は制定当時から刑法との重複問題が提起されており,国民の合意無しに改正案がなし崩し的に通過したこともある.また反国家団体の規定が明確でなく,罪刑法定主義に反しており,称揚・鼓舞罪や不告知罪は表現と良心の自由を侵害している.制定当事と比べ,南北関係は大きく状況が変わった.何より,国家保安法は軍事独裁下に於いて民主人士を弾圧し人権を蹂躙する手段として悪用された法律だ.間諜や不順(訳註:あるいは不純?)分子を処罰する目的の法律が政権維持の道具に転落してしまっていたのである.
 国家保安法改廃に関する意見は政党ごとに分かれる.しかし野党も改正意見を打ち出すほど悪法として知られた法律だという点では意見差は無い.既に議員80余名が「廃止後刑法補完」に同意している状態だ.人権委と部分的には意見と同じくしているわけだ.与野党および政府は人権委の勧告を傾聴し,完全廃止の得失を論じ,あらゆる角度からの検討を行なう必要があると思う.廃止するならば,刑法条項によって内乱・外患・間諜罪などを規制し得るのかについての深みのある論議が求められる.安全保障に隙が生じかねないため無条件の全面廃止は困るという結論に至った場合も,刑法改正や代替立法によって空隙を生めることが出来るかどうか検討すべきだ.こうした諸問題は政党内だけで論ぜず,汎国民的な党論の場を開き,合意点を探るのが望ましい.多様な声があるだけに,様々な意見に耳を傾けておかないと後に憂いを残すことになる.

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 ちなみに,以下は社説やコラムではなく一般の報道ですが,

●金法務「国保法廃止,慎重に」 ──中央日報 2004/08/26 (原文)
[キム・ソンハ記者] キム・スンギュ法務部長官は25日,「国家保安法廃止には慎重であるべきだ」と述べた.(訳註:長官は慎重論について)「我々の自由を脅かし侵害する勢力がある限り,国家安全保障を重視し,刑事法を強固にすべき」という理由を打ち出した.国会法事委に於いてヨルリン・ウリ党のヤン・スンジョ議員の質問に答えたもの.
 ヤン議員が 1日前に国家人権委が国家保安法廃止を勧告したのを聞いてどう思うかと尋ねたところ,キム長官は「国会で慎重かつ合理的に結論を下してほしい」として このように(訳註:前段落のような慎重論を,の意か)述べた.
 また,ハンナラ党のキム・ソンジョ議員の「人権委が法務部との事前の打ち合わせも無く国家保安法廃止勧告案を出したことは果たして正しいのか」との指摘に,キム長官は「意外だと思っている」と答えた.
 同じくハンナラ党のチャン・ユンシク議員がソン・ドゥユル氏の裁判の判決文を用いて「国家保安法が相手を攻撃するためのものでなく防御的刑事法体系であることには同意するか」と質問すると,キム長官は「同意する」と答えた.
 これに対し民労党のノ・フェチャン議員が「刑法に内乱と間諜活動を処罰し得る条項がある」として(国家保安法の)廃止を主張すると,キム長官は「我が国の国家現実には刑法条文だけでは不十分な点があり,国家保安法がその補充をして来た」と述べた.
 長官の「慎重論」が続いたのを受け,ヨルリン・ウリ党のイ・ウォンヨン議員は「民主化の進展や南北関係などの為,国家保安法は廃止すべきだ」として「(長官は)大統領の法律諮問の立場から慎重に答弁してほしい」とブレーキを掛けた.
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 所感 (2004/08/28 追記).

 まず何と言ってもハンギョレが一番お粗末.右であれ左であれ 反日&ウリナラマンセーな点では共通しており,ハンギョレも例外ではないわけですが,国内問題に関する同紙のこうした態度を見る限り「容共・売国サヨクどもの御用新聞」の典型という意味では 朝日新聞と何ら変わり無い.先の総選挙でウリ党が過半数を取るまでは「政府を吊し上げるのが民主主義だ」とでも言わんばかりの記事ばかり書いていたくせに,都合のよい時だけ「国家機関の規定」を有難がるんじゃないと言いたい.
 だいたい「南北交流の時代的変化の中で北韓を反国家団体だと主張するのも矛盾している」というけれど,あれが「反国家団体」でないなら一体何だと言うのか.よもや主権国家だなどとは言い出しますまい.今まで韓国のことを「韓半島の唯一の合法政府」だと言い張って来たのは どこの誰だったか.日韓基本条約に何と書いてあるか.上に出て来た 鼻輪・耳輪の諺は それこそ 韓国人たちのこうした二枚舌のことを言うのです.過去の清算が必要なのは「親日派」よりもむしろこうした人々のほうではないか.北朝鮮を反国家団体ではないと言いたいなら「南北統一はもう諦めました」と言明でもしてからにして貰いたい.

 次に京郷新聞.「体制競争は終わったと自負する南側が,国家保安法無しでは体制を守れないと信じているのなら,これほどの自己矛盾も無かろう」というけれど,本当に「体制競争が終わった」のなら,外では拉致やら航空機撃墜やら核開発やら麻薬密輸やら偽札製造やらと悪事ばかり働き,内では民衆を飢えさせながらヤミ経済と人道援助で食い繋ぐ,そういう物乞い強盗の類をさっさと「同胞」である自分たちの手で始末しろと言いたい.ベルリンの壁が崩れてから何年経ったと思っているのか.それも出来ずに「体制競争が終わった」など10年早い.
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by xrxkx | 2004-08-27 16:13 | ここが変ニダ韓国人