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【竹島の日まであと9日】ICG報告書のこと

竹島の日が近づくにつれて,韓国国内のメディアによる竹島関連報道のペースも徐々に上がって来ているのですが,昨年3月の条例通過時とは明らかに反応が違っているのを感じます.


極端な言い方をしてしまえば,竹島問題に関する限り 韓国では今のところ日韓間の「イベント合戦」が報じられているだけ.島根県の「フォトしまね」とTV広告の件は連日のように記事になっていますが,後続のネタが無い模様.一方の慶尚北道でもあれこれイベントを企画しているといった記事はしばしば見掛けますが,今ひとつ「燃料投下」が足りませんか.…何処ぞの犯罪徒党が南の対日「危機意識」にちゃっかり便乗しようと「日本の独島領有権は現代版征韓論だ」とか何とか吼えているようですが,面白みに欠けるのでパス.


韓国そのものから少し離れますが,領土問題/安全保障絡みで先ほど少し面白い記事を見つけましたので読んでみました.



ICG報告書,「歴史問題を外交と分離せよ」 (国政ブリーフィング 02/12)


ベルギーのブリュッセルに本部を置く国際危機監視機構 (原文註:The International Crises Group, 略称 ICG) は,政治・軍事的緊張度の高い所謂「危機地域」(原文註:または紛争地域)に於いて紛争が起きる事態に焦点を当てる国際的なシンクタンクだ.ワシントン・ニューヨーク・ロンドン・モスクワに各々政策推進事務室を置いているICGは,危機地域の現地状況を分析することにより政策提案を策定することをその任務とする.


ICGは,「危機監視」という12ページの月例報告書により,地球村の様々な紛争又は紛争可能性のある地域についての簡略な情報資料を提供している.各国の外務担当実務者らは,具体的な提言を盛り込んだICGの報告書を読んで政策決定の参考資料として活用して来た(原文註:これらの報告書はwebサイトwww.crisisgroup.orgを通じて入手可能).


日本に耳の痛い忠告掲載


ICGは,さる年末に「東北アジアの葛藤の気流」という題目の報告書を出した(訳註:ここでの「葛藤」は日本語で謂う所の「摩擦」「軋轢」程度の意).報告書の要旨は,過去史問題と領有権をめぐって東北アジア三国たる韓国・中国・日本の国家関係が悪化している状況を憂慮しつつ,三国間の葛藤が益々深刻化するのを防ぐには「実用的な信頼構築と制度構築の為の一連の措置」を取るべきだというものだ.


ICG報告書は,東北アジアの葛藤状況を概括したのち,韓・中・日3ヶ国政府とアメリカ政府にそれぞれ違った建議を提示している.報告書は特に日本政府に向けて △従軍慰安婦,強制労働,細菌戦実験など日本が第2次世界大戦当時犯した戦争犯罪により被害を受けた犠牲者らに与えられるべき賠償基金を創設し,△論乱となって来た靖國神社参拝に代えて 日本人戦死者らを追慕する新たな記念館を設立することを提案している.また△日本の右翼閣僚らが日帝時代を称揚する発言を慎むのが望ましいと建議している.


ICG報告書の韓国関連の誤り


しかし,韓国政府に対するICGの建議を見ると,果たしてICG側は歴史的事実関係をきちんと把握した上で報告書を作成したのかと首を傾げざるを得ない.他でもない「韓日協定により提供された経済援助を公開的に認め,これについて日本側に謝意を表すること」というくだりだ.このことは,ICGが国際的に信望を受けている紛争関連シンクタンクであるにも拘らず,北東アジア地域の現実についてのICGの認識能力に重大な限界があることを露呈している.


よく知られていることだが,日本は20世紀前半期に我が韓国の人的・物的資源を収奪した.特に1940年代前半期,日帝が東南アジアへと侵略戦線を拡げる中,多くの人々が強制動因動員され,このうち100万名が死傷したとされている.にも拘らず,1965年の韓日協定締結時,日本は無償3億ドル,有償2億ドル,そして商業借款3億ドルの計8億ドルを韓国に渡しただけである.


ICG報告書が指摘する通り,日本政府が第2次世界大戦と植民地支配に関連する未公開文書を公開し,併せてアメリカ政府が第2次世界大戦当時に鹵獲したまま今なお未公開文書に分類されている日本の戦争犯罪関連文書を公開したならば,日帝が犯した反人類的犯罪の数々がどれほど我々韓国人に犠牲を強いたかを明らかにする上で役立つだろう.その場合,1960年代の韓日協定当時 日本が韓国に渡した経済援助の規模が,果たしてICG報告書の言う通り日本に謝意を表するに足る規模のものだったかどうかも明らかになるだろう.



同一の文書が日本の歴史問題に触れるときは拍手喝采,批判が韓国に向けられると「事実関係をきちんを把握しているのか」ですってよ奥様.まるで駄々っ子.まぁ朝鮮人ですから仕方ありませんが.


ところで,上の記事中,日韓基本条約締結時の日本からの対韓経済協力に言及しているくだりがありますが,日本としては今更朝鮮人なんぞに感謝してもらっても仕方ないわけです.そんなことより「完全かつ最終的に解決」した筈の補償の問題を蒸し返すなと,そちらのほうが数段重要.


それを敢えて「謝意を表すべし」と勧告しているのは,これは受け取りようによっては「あれは補償ではなくあくまで援助」というところを踏まえておけば「補償(特に個人の)の問題は改めて論じる余地がある」と言っているに等しいわけで,日本側が「冗談じゃないぞ」と思うことはあっても 韓国側がむきになって反論する理由などカケラも無い筈.韓国人のオツムではそれが分からない.


ICGが補償の問題の「落とし所」を今更のようにわざわざ提示した もう一つの動機として,おそらく日朝国交「正常」化交渉があるのでしょう.要は日朝間も日韓間でやったのと同じ方式で国交を結んだ上で核なり拉致なり存分に議論しなさいよと.これにしても韓国側にとって悪い話ではない筈なのですが(むろん「北韓との国交締結は韓日協定違反ニダ」とでもいうなら話は別で,本当はそちらのほうが筋が通っている筈ですが,韓国側では誰も言いませんね),そんな事まで考えてみた様子も無い.現に「北東アジアの平和」とやらを考える上で最大のお荷物である北朝鮮をどう扱うかについて上の記事は微塵も触れていない(この辺はあとでICGの原文に当たってみようと思いますが).こういう代物を,ハンギョレやオーマイニュースあたりならいざ知らず「国政ブリーフィング」が流すようでは….



件の記事の続きに,問題のICGの報告書の要旨というのが載っていましたので 一応more欄に訳出しておきました.また例によってウリナラフィルターが掛かっている可能性があることを予めお断りしておきます.上の記事から原文 (PDF)に飛べますので 今夜寝る前にでもゆっくり読んでみて,明らかに原文と訳とで違うことを言っている箇所を見つけたら別途御紹介することにします.


それにしても,こういうのを見るにつけ,戦後日本が《大東亜戦争の大義》を外に向けて一度たりとも満足にアピールして来なかったことが如何に高く付いているかを感じます.同時に,白人らも少なくとも支那・朝鮮が歴史問題とやらを便利な対日外交カードにしていることくらいは理解しているようですから,あとは支那人や朝鮮人の謂う所の「日帝」の「侵略」による「被害」とやらに対しては寧ろ真っ向から挑戦すべきです.阿片戦争を起こしたイギリスですら香港から「名誉ある撤退」をやってのけたように,です.







ICG報告書 要旨


韓国-中国-日本の三国は,安保・核不拡散・エネルギー・環境など様々な諸問題を解決する為にともに努力する必要がある.にも拘らず,東北アジアは最も統合力に欠ける地域として取り残されている.共通の政治的問題・安全保障上の問題を解決する為の効率的な機構が無いということが,そうした現実をよく物語っている.


2005年6月に開かれた韓日首脳会談に於いて,盧武鉉大統領と小泉総理は 懸案を論議するよりも歴史問題を論じるのに2時間の会談時間の大部分を費やした.9月に入り,東シナ海(訳註:原文にもこの語が用いられている.以下同様)の領有権紛争地域に於いて日本の抗議にも拘らず中国は石油(ママ)試掘を開始した.小泉総理が戦犯らの合祀されている靖國神社を訪問すると,胡錦涛主席は11月に釜山で開かれたAPEC首脳会議の際に中日首脳会談を拒否したこともあった.


大部分の領土問題の場合,その対象となっている島は概ね無人島であったり水面下にある岩礁で,国際法的にも模糊とした状態である.主要紛争地域は韓日間のDokdo/Takeshima,中国・日本・台湾間のSenkaku/Diaoyu,露日間のクリル北方(ママ)四島などである.これらの島の重要性は,島そのものにあるというよりは島を取り巻く経済水域にある.領土紛争を解決する最善の方法は,領土問題を棚上げにした上での共同探査および天然資源の適切な保存にあると言える.


現在紛争地域ではないものの いつの日か火の手の上がりそうな問題もあるが,中国の東北地域(原文註:韓国名 gando,中国名jiandao(訳註:「間島」のこと))がまさにそれである.この地域は朝鮮族が多数居住しており,韓国の一部団体は歴史を根拠に「韓半島が統一される時 間島に対する領有権を要求すべきだ」とする主張を展開する.しかし,現実はこれと懸け離れている.中国の朝鮮族は統一コリアに編入されることに殆ど関心が無い.韓国が韓半島の漸進的統一を実現する上で必要な中国の支持を確保しようとするなら,おそらく間島領有権についての要求を抛棄せざるを得ないだろう.


敏感な政治イシューをどう解決するか

日本の歴史問題は深刻なテーマである.リーダーシップの交替と対米関係の変化を同時に経験しつつある韓国は,日帝の植民地支配生産を企てている.このことは,韓国国内に於いて極めて敏感な政治的イシューである.中国に於ける歴史問題は,抗日闘争についての記憶の次元にとどまるのでなく,共産党の支配する中国の現在の政治秩序の正当性を確保するのに利用されている.


感情的かつ複雑に絡み合ったこれらの諸問題を解決する為,鼓舞的な動きも現れている.東北アジア問題は解決可能であるという意志を持つ各国の研究者らや市民団体の相互協力がそれである.有望かつ前向きな措置の中には 行動規約も含まれるが,一例としてスプラトリー群島をめぐる緊張を緩和するための規約は既に効果を挙げている.


この他にも,近海資源の共同管理の為の諸合意,エネルギーや歴史問題解決の為の地域制度,相互軍事交流の拡大,国家の栄光でも恥でもなく戦争犠牲者の普遍的な苦痛に焦点を当てた歴史博物館などがある.


数十年間に亙り積み上げられて来た領土紛争や歴史紛争を確実に解決するのは容易な事ではない.だが,こうした諸問題を改善しなければ東北アジアの平和と繁栄は脅かされるだろう.


▼日本・中国・韓国・アメリカ政府に対する勧告

1. 輿論の悪化に関係なく,政府官吏らの根気強い接触を通して歴史問題を外交と分離する.


2. 紛争地域に於いて一方的な軍事訓練を控える.


3. 軍事交流及び合同訓練,さらに信頼構築の措置を増す.


4. 使用済み核燃料保管所の設置のような諸問題を探索する上で協力し,エネルギー安全保障の為の地域機構を設置する.


5. 災害救助や環境保護の為の地域協力機構を設置する.


6. 東アジア平和研究所を創設し,共同調査・研究・会議を開く.


7. 歴史物展示の合意された基準を設ける為の博物館館長と学者らの参与する委員会を構成する.


8. 地域対話を推進するNGOの活動を支援する.



▼日本政府に対する勧告

9. 戦争犯罪,特に慰安婦や強制労働,細菌戦実験により被害を受けた個人犠牲者らを助ける基金を設ける.


10. 第2次世界大戦と植民地支配に関連する残された文書を公開する.


11. 靖國神社参拝問題に対する代案として,日本人戦死者を追慕する新たな記念館を設立する.


12. 日本政府の内閣人士らが日帝時代を称揚する発言を控える.



▼韓国政府に対する勧告

13. 独島/竹島周辺の中間水域に於いて,韓国と日本の漁民らが操業を行い得る協定を仕上げる.


14. 勧告韓国は現存する国境条約を尊重し,これに基づいて平和的な統一を求めることを明言する.


15. 1965年の韓日協定により全く或いは殆ど補償を受けられなかった被害者らを支援し得る公共基金を創設する.


16. 韓日協定により提供された経済援助を公開的に認め,これに対し日本に謝意を表する.



▼中国政府に対する勧告

17. インターネット利用者らが日本及び西洋のメディアにもっと多くアクセスできるよう許容する.


18. 東シナ海にある原油やガス埋蔵地域を共同で開発しようという提案を原則的に受け入れる.


19. スプラトリー列島(ママ)に対する中国とASEANとの間の行動規約をモデルとして,尖閣/釣魚紛争を平和的に管理し得る行動規約を作る.


20. 中国の経済発展に於ける日本の役割(訳註:日本が行った/行っている寄与のことだろう)を公開的に認める.



▼アメリカ政府に対する勧告

21. 韓国と日本の間の安全保障の問題をより直接的に討論し得るよう,韓米日三者間の政策調整を強化する.


22. 第2次世界大戦に於いて鹵獲した,今なお未公開のまま残っている日本の戦争犯罪に関する研究者らの文書を公開する.


by xrxkx | 2006-02-13 20:33 | 竹島