11日の支那軍艦(?)の日本領海侵入の続報が全く上がって来ない件


ずーっと待っているのですが,ピクリとも来ません.まず11日夜から翌12日朝に掛けての日本語記事.共同(産経含む)には3パターンあり.




11月11日 21時54分

 海上保安庁によると、11日午後6時ごろ、沖縄県・久米島の南南東の領海内で、中国船が航行しているのを海上保安庁の航空機が見つけた。航空機から無線で警告し、中国船は同49分、領海外に出た。




 11日午後6時ごろ、沖縄県・久米島の南南東の領海内を中国船が航行しているのを海上保安庁の航空機が見つけた。航空機が無線で警告し、中国船は同49分、領海外に出た。

 海上保安庁によると、中国船は宇宙観測船「遠望2号」とみられ、領海線から約4キロ入り込んだ付近を航行していた。

 発見した航空機から航行目的を尋ねたが、応答がなかったため、速やかに領海から出るように警告。中国船は警告に対しても応答しなかったという。同庁は巡視艇2隻も現場海域に派遣した。

 遠望2号は中国の有人宇宙飛行船「神舟」やミサイル実験などを海上から観測、追跡するため、複数の大型パラボラアンテナや電子機器などを装備している。

 国連海洋法条約では、軍用艦や観測船でも、海洋調査や情報収集などを行わない無害通航であれば、他国の領海内の航行が認められている。(共同)

(11/11 23:47)




 11日午後6時ごろ、沖縄県・久米島の南南東の領海内で、中国艦が航行しているのを、警戒中の第11管区海上保安本部(那覇)の航空機が確認した。

 同機が無線で速やかに領海外へ出るよう警告したところ、中国艦は同6時49分、同島南西の領海外に出た。

 同保安本部によると、呼びかけに、中国艦からの反応はなかった。領海から出た後、航空機が約30分間追跡したが中国艦は中国本土方面へ向かった。中国艦は約1万7000トン。衛星追尾用と見られる大型のレーダーが数基設置されていたという。
(2005年11月12日0時34分 読売新聞)




 11日午後6時ごろ、久米島の南南東約22キロの沖合の日本領海内を中国の衛星追跡艦「遠望2号」(約17、000トン)が航行しているのを第11管区海上保安本部の航空機が発見した。同艦船は久米島南方の日本領海内を横切るように航行。午後6時49分ごろ、日本の領海から出た。
 同本部によると、無線で領海内から退去するよう呼び掛けたが応答はなかったという。艦船は久米島沖約19キロの距離まで接近した。
 衛星追跡艦は通常、軍が所有しているが、今回の艦船が軍所有かは確認されていないという。
 同本部は船舶が領海から退去した後も追跡を続けたが、領海内に引き返してくる様子がなかったことから、午後7時20分に追跡を打ち切った。

(11/12 10:03)




この一件,どうやら朝日は(少なくともweb版では)報じておらず,毎日は英語版のみに掲載.以下:





A Chinese military vessel briefly violated Japan's territorial waters in the East China Sea but left the area after repeated warnings from a Japanese coast guard patrol plane, officials said Friday.


The vessel spent less than an hour in Japanese waters just southeast of Kume Island, about 1,600 kilometers southwest of Tokyo, said coast guard official Hiroshi Murakami.


The patrol plane spotted the Chinese space observation ship Yuanwang No. 2 around 6 p.m. (0900 GMT). The vessel ignored the coast guard's radio communications but finally left after repeated warnings, Murakami said.


The incident comes amid growing tensions between Japan and China, which are squabbling over interpretations of their wartime past, undersea gas deposits and ownership of some islets in the East China Sea.


Tokyo has complained that China is drilling for undersea gas in a disputed area, while Beijing has said it is within its rights to develop the region's resources and has started work on a gas pipeline.


Earlier this month, Japan's Defense Agency said fighter jets were scrambled 30 times to turn away Chinese planes in its airspace in the past six months -- more than twice the number in the same period last year. (AP)


November 12, 2005




さて,皆様もはっきり覚えておいででしょうが,昨年 支那原潜による領海侵犯事件の起きたのが 11/10から11/12にかけての事でしたから,今回のは そのちょうど1年後.支那にはそういう年中行事でもあるのでしょうか.あるいはAPECが近づくたびに隣国を挑発したくなるヘンな本能でもあるとか.



一連の記事を読んで最初に引っ掛かるのは,やはり「航行目的を尋ねる海保の無線 およびその後の警告に 支那艦船が一切無視を決め込んだ」ことが共同の初報では触れられていない点でしょうか.但しその2時間後には同じ共同がその辺を少し詳しく報じていますので,意図的な隠蔽かどうかは分かりません.が,それにしても初報を見ますと恰も「支那艦船が海保の警告に従って領海外に出た」ような書きっぷりにどうしても見えてしまうのは 私の邪推が過ぎるでしょうかね.



あと,琉球新報では「今回の艦船が軍所有かは確認されていない」となっていたのに対し 毎日の英語版では "a Chinese military vessel" と断定口調なのも 結局どちらだったのか気になりますが,これも続報が無いので不明のまま.



ところで上に出て来る国連海洋法条約の「無害通航権」に関してはこちらを参照していただきたいのですが,そもそも何を以て「無害通航」とするかについて,同条約は次のように定めています:



第19条  無害通航の意味

 1   通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。無害通航は、この条約及び国際法の他の規則に従って行わなければならない。

 2   外国船舶の通航は、当該外国船舶が領海において次の活動のいずれかに従事する場合には、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとされる。
a 武力による威嚇又は武力の行使であって、沿岸国の主権、領土保全若しくは政治的独立に対するもの又はその他の国際連合憲章に規定する国際法の諸原則に違反する方法によるもの
b 兵器(種類のいかんを問わない。)を用いる訓練又は演習
c 沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為
d 沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為
e 航空機の発着又は積込み
f 軍事機器の発着又は積込み
g 沿岸国の通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令に違反する物品、通常又は人の積込み又は積卸し
h この条約に違反する故意のかつ重大な汚染行為
i 漁獲活動
j 調査活動又は測量活動の実施
k 沿岸国の通信系又は他の施設への妨害を目的とする行為
l 通航に直接の関係を有しないその他の活動




上の記事にあるように今回のケースは海保側で艦船の型名や装備まではっきり把握しているわけですが,「複数の大型パラボラアンテナや電子機器などを装備」というのですから,上のcとjに関しては限りなくクロに近い.「怪しい者ではないこと」を示す責任は領海に進入する側にあるのは当然でしょう.ところが今回の船は海保に航行目的を尋ねられても返事一つしなかったという.これを「何事も無く領海外に出たから」といって不問に付すという法があるかと.共同の記事みたいに「他国の領海内の航行が認められている」で済ませている場合ではない.



外務省も外務省で,王毅を呼びつけて「今回の艦船の所属および航行目的」および「海保からの無線通信を無視した理由」をきっちり問い詰め,責任者に謝罪と再発防止の約束くらいはさせるべきなのです.もっとも支那人がそんな口約束など守るような殊勝な国民なら誰も苦労はしませんが.だからこそ こういう時の為に海保および海自が現場の裁量で事態に即応できるような法整備が必要なのでしょうに.それくらいのことが出来ない外務省なり官邸というのは結局去年の原潜の一件から何も学んでいないということです.



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by xrxkx | 2005-11-14 19:59 | 時事ネタ一般