人気ブログランキング | 話題のタグを見る
韓国日報の社説の件

何やら巷間では潘基文が訪日をやめたの,やっぱり来ることにしただのと忙しいようで.
来たくないなら来なくても結構なのですが,
外務省も 訪日を予定通り行うか行わないかの決定権を韓国側にただで委ねてしまってはいけませんね.
向こうが「訪日やめちゃうニダヨ」とか言い出した時点で調整は打ち切り,
あとで向こうが前言を翻そうとしても「やめたって言ったのはお宅でしょ」の一点張りでよい.
向こうが「参った」と頭を下げて来るまで相手にしないのがよい.
まぁその辺はうまくやってくれていると信じたいものですが.


脱線.実際,老父ダカーがこれ見よがしに外遊に出てしまうくらいは やってみせても罰は当たらないでしょう.
「いや,『やめた』って言うからさ,もう別の予定入れちゃったよ.悪く思わないでね♪」とかね.
向こうが外交部長官を出して来る時は こちらは敢えて一格下の外務副大臣に応対させるくらいでよい.


さて,ここ数日来あちこちで引用されているのを見掛けた産経の記事から(註:太字は私がつけたもの).




【ソウル=黒田勝弘】小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題で韓国に冷静さが出ている。大統領官邸は年末の定期首脳会談について「再検討も」といい、外交通商省も外相の訪日計画延期の姿勢を明らかにしているが、北朝鮮をめぐる六カ国協議など「他の外交案件とは分けて日本との協力関係はこれまで通り維持する」(潘基文外相)方針を確認している。

                   ◇

 世論も比較的静かで、反日デモなどはほとんど見られない。対日外交ではいつも強硬論で世論をあおるマスコミも冷静な議論が目立つ。
 反日では常に足並みをそろえる新聞論調も今回、最有力紙の朝鮮日報が社説では取り上げなかったほか、韓国日報の社説は「A級戦犯問題は、植民地支配ではない戦争と直結した問題だ」として「韓国は靖国問題では中国に比べ発言権が落ちる」と述べている。
 靖国問題で韓国は中国とは歴史的に立場が異なるはずという、事実を踏まえた“正論”が韓国マスコミに登場したのは初めてといっていい。
 この社説は「政府間の関係冷却とは別に両国民の交流は活発だ。したがって関係冷却化に心理的な不都合さや経済的負担を感じる声も少なくない。国民に配慮した外交が求められる。無理して強硬路線にこだわるべきではない」と主張している。
 また「過剰反応する必要はない」とし、小泉首相に対し「(靖国参拝と同じように)対韓ビザ免除や自由貿易協定締結などでも政治的決断力を」(中央日報)という注文のつけ方もある。
 こうした比較的静かな対応の背景には、韓国世論の“靖国疲れ”ないし“小泉疲れ”といった心理がある(日韓関係筋)。
 韓国では一般国民はもともと靖国問題にはそれほど関心は強くない。また慰霊行為としての靖国参拝にも本音としてはそれほど拒否感はない。したがってマスコミや政府が扇動的に非難を展開しない限り反日が盛り上がることはない。
 小泉首相の場合、批判・非難を覚悟で公約として年一回の参拝を実行し続けてきた。今回は五回目である。いくら反対や抗議をしてもいわばどうしようもないという結果になっているからだ。
 しかも日本の首相が日本で靖国神社に参拝したからといって、韓国に何か現実的な被害や損害があるわけではない。その結果、「(靖国参拝は)日本にとってもプラスにならないだけでなく国際的孤立を招くだろう」(大統領スポークスマン)というように「日本のことを考えてやっているのだ」といったポーズになっている。
 したがってマスコミなどにはこの問題で批判疲れというか、ある種の“徒労感”が感じられる。
 一般国民にも「神社」というきわめて日本的なモノにかかわる問題なためどこか「日本の国内問題」として距離感が出ているようにみえる。(10/24)



先日戴いたコメントにも「マッチポンプ」の話がちょっと出ていましたが,
支那や朝鮮の反日バカ騒ぎなども
もともと燃料投下しているのは日本のサヨクジャーナリズムおよび言論人であることは
今更説明の必要も無いでしょう.
上の記事に見るような韓国の場合やら,
当局が反日デモの暴徒化を必死に抑えているらしい支那の場合やらを見るに,
今回は彼らのご注進もイマイチ不発に終わったわけです.いい傾向だ.


日本語版で読める中央日報や,そもそも社説で取り上げていない朝鮮日報のことは措いて,
もうひとつ例に挙げられている韓国日報の社説というのを探してみました.
参拝当日の夕方に既にwebに上がって来ていますね
(註:韓国の新聞社のサイトでは,社説も朝刊に載る前の日の夕方のうちにwebで読めることはよくある).
大した長さでもないので久々に全訳(註:これも太字は私がつけたもの).



神社参拝,息の長い対応が求められる ---韓国日報 社説 10/17 17:45


小泉純一郎・日本総理の靖國神社参拝をめぐって青瓦台が直ちに対決姿勢強調に出た.
再三にわたり原則を確認済みのシャトル首脳会談は勿論,
アジア太平洋経済協力会議(原文註:APEC)首脳会談での両国間首脳会談(訳註:重複ママ)まで
再検討する構えだ.


6月の首脳会談で盧武鉉大統領が参拝中断を求めているので,
青瓦台が対応しないというわけに行かなかったのだろう.
即時の断乎たる対応は,一部で昂ぶっている国民感情にも合致する.
しかし,太く長くを旨とする外交の常識とは距離がある.


勿論,火種を撒いたのは小泉総理だ.しかし,
小泉総理が6月の首脳会談で既に(訳註:韓国側による参拝中止要求への,だろう)
無言の拒否をしているという点で,
今更予想外の状況と言うのもどうかと思う.
小泉総理なりに苦心した跡も見られる.
8月の代わりに秋の例大祭の時期を選んで政治色を薄め,
個人的参拝の形式を取って違憲論争を避けた.


このことを「単なるその場しのぎ」と見るべきではない.
韓国よりもこの問題に敏感であらざるを得ない中国の態度を
横目に見てみるのも役に立つ.
韓国は靖國問題においては中国に比べて発言権が劣る


核心であるA級戦犯の問題は,植民地支配ではなく戦争に直結している.
ましてや「請求権」まで放棄して日本に道徳的負担を負わせた中国だ.
その中国が4年前,参拝日を8月15日から8月13日に移したことを部分的に評価している.
国民は興奮しても政府が興奮してはならないという常識を貫く為の自己合理化だった.


政府間の関係冷え込みとは異なり,韓日両国民の交流は活発だ.
それだけに関係冷却に心理的な具合の悪さや経済的な負担を感じる向きも少なくない.
外交に於いて,国益の実体たる国民に対する考慮ほど優先すべきものは無い.
一連の対日政策の足場に対する疑いも払拭されていない今,
無理をして強硬路線に固執すべきではない.





中身を見ますと,
前半および結びの一段落は要するに「靖國に目くじら立てて外交上の実利を見失うな」というだけの話.
後半は「支那が予想外に対日非難のトーンを抑えているので,
韓国だけが突出して 万一あとで梯子を外された格好になったら大変」
だと心配しているだけ.


上の産経の記事で黒田氏がわざわざ鍵括弧付きで言及しておられる所の「正論」というのは,
記事中にも引用されている太字部のことでしょう.
「では支那には靖國に関して一体どれだけの『発言権』があるというのか」
とか野暮な事は此処では言いっこ無し.
ここで重要なのは以下の2点でしょう:


  1. 日韓併合および大東亜戦争という丸っきり次元の異なる2つの論点を
    所謂「日帝36年」で十把一絡げにしがちな韓国メディアには珍しく,
    靖國は前者とは結び付かないことをハッキリ認識しているらしい点.

  2. それを踏まえた上で敢えて「発言権」の面で支那に劣ると明言している以上,
    この社説は韓国を「戦争の被害国」と捉える史観を婉曲にではあれ否定していることになる,という点.



こういう発言が韓国メディアの中から出て来ることは,
今後の日韓関係の進展を占う上で,
上の社説子自身もおそらく予期していないであろう程の大きな意味を持つことになり得ます.
韓国が「未来指向」の日韓関係の前提としている所の「歴史認識の共有」──ありていに言えば
韓国人の被害者史観の日本への一方的かつ全面的な押し付け──が,
これによってその正当性を失うことになりますから.


もっとも,だからといって韓国政府の対日態度が直ちに改まるなどということは
到底望むべくも無いわけで,
日本としては 前にも少し書いたように
韓国政府による韓国国内向け反日キャンペーンにいちいち目くじら立てること無く
(但し「特定アジア」以外の第三国に向けては逆に日本の立場を今までの何倍も強くアピールする必要があるが),
寧ろ好き放題やらせて空振りさせる方向で行くのが良いように思えます.



by xrxkx | 2005-10-26 12:42 | 時事ネタ一般