あらこんな所にイ・テジンが
 本当は別の話を書く予定だったのですが,今朝ちょっと面白いニュースを読んだので 忘れないうちにそちらをサクッと片付けてしまおうと思います.
「伊藤博文,明成皇后弑害に介入」──裏付け資料 日 国会図書館で発掘 (朝鮮日報 10/05)

 1895年の明成皇后(訳註:閔妃のこと)弑害に日本の総理大臣・伊藤博文や閣僚らが介入していたことを裏付ける資料が,日本の国会図書館憲政資料室で発掘された.

 明成皇后弑害事件は 8日でちょうど110周年を迎える.明成皇后関連ドキュメンタリーを制作中のドキュソウルのチョン・スウン代表は5日,こうした内容を記した芳川顕正司法相の1895年6月20日付の手紙a0026107_11153423.jpgを公開した.陸奥宗光外相に宛てたこの手紙の中で,芳川は井上駐韓公使に向けて「(原文註:伊藤総理に)弥縫策を断然放棄し『決行の方針』を採択すべく強く勧めよと言った」とし,「我が方の希望通りに事が運びそうだ」と記している.

 日本近代史研究家の小松裕・熊本大教授は,「『弥縫策』とは朝鮮政府に貸与金を与えて懐柔しようとする井上の方針を指すものと思われる」とする傍ら,「『決行の方針』とは武断的な手段による解決を示唆するものと見ることが出来る」と分析している.

 日本はこれまで一貫して政府の介入を否認して来ており,国内の学会でも当時の駐韓公使・三浦梧楼の単独犯行説,井上馨主導説などが提起されて来ただけ.そのため当時の日本の最高指導者だった伊藤ら閣僚の介入を暗示する今回の資料は波紋を呼びそうだ.

 李泰鎮・ソウル大教授は,この書簡について 5日「司法相と外相が手紙でこうした問題に言及しているのを見ると,内閣レベルで明成皇后弑害を議論していたものと思われる」として「伊藤の弑害事件への関与を立証する資料は殆ど無かっただけに相当に注目に値する」と述べた.
 写真が小さくて判読が難しいのですが,どうやら赤線部がその「弥縫策を断然放棄し,…」の箇所のようです.
 念の為少し説明しておきますと,井上馨が駐鮮公使の任にあったのは1894年10月から1895年9月まで.この時期は朝鮮では第2次~第3次金弘集内閣の時期に当たりますが,その間 井上は朴泳孝をはじめ亡命中の開化派人士らを呼び戻して第2次金弘集内閣に入閣させるよう働き掛けるなど,もともと路線としては武断派とはいえません.
 記事に出て来る手紙というのは95/06/20日付とのことですが,この時期には 日清戦争後の三国干渉(95/04/23)の影響もあって 日本の対鮮外交も列強(特にロシア)の圧力をいよいよ強く受けるに至っており,そのため朝鮮政府内でも親日寄りの開化派は力を失い,第2次金弘集内閣は瓦解寸前の状態にあったようです.
 上の記事中 井上の「懐柔」策に言及している箇所がありますが,実際井上の在任中に日本は第2次金弘集内閣に改革資金として13万円(他に円借款300万円)という巨額の財政援助を行っています.が,井上は閔氏一派からは非常に嫌われており,結果的には彼の目指した改革路線は事ある毎に閔氏一派(およびその後ろ盾であるロシア)の妨害に遭い頓挫.第3次金弘集内閣では上記の改革派は退けられ,沈相薫ら閔氏寄りの一派に取って代わられています.
 余談ですが,第3次金弘集内閣の成立は95年8月で,かの李完用も新たに加わっています.彼は当時は「親日派」という扱いは受けていなかったわけです.
 さて,上の書簡に謂う所の「弥縫策」云々が「開化派への後援を通じた朝鮮国内の改革の推進」を指すのであろうことについては,おそらくその通りでしょう.が,「決行の方針」が直ちに閔妃殺害を指すかどうかについては,これだけでは何とも判断のしてみようがありません.
もう少し広義に解釈して「場合によっては武力を用いてでも閔氏一派を政府内から排除すること」を指すのでしたら,それに近い事は実際に前年にも起きていますが(94/07/23の日本軍による王宮占拠・高宗の身柄拘束・大院君による執政).
 それに,上の06/20というタイミングは 日本政府が上述の井上式改革路線に見切りを付ける前か後かという点でも微妙な時期ではありますし,「武断路線を井上が伊藤に『強く勧める』よう 芳川が井上に言った」までは良いとしても 実際に井上がそういう──自らの路線にそぐわない──建議を伊藤に対して行ったのかどうかも不明.
 さらに「我が方の希望通りに」の「我が方」が芳川と陸奥以外に伊藤も含むのかとなると尚更疑問.
 あれこれ突付けばキリがありませんが,この記事の面白い所は,かの李泰鎮大先生が 例によって例の如く その辺の検証を全部すっ飛ばして「内閣レベルで明成皇后弑害を議論していたものと思われる」などと断定してしまっている点.まぁ韓国で伊藤を悪玉に──「本物の悪玉は寧ろ閔妃じゃないのか」とかいった話は措くとして──仕立て上げれば株が上がるのは分かりますし,大先生お得意の自主的近代化論の立場から見れば伊藤も井上も目の上の瘤であろうことは容易に察しが付きますが.
 ついでと言ってはアレですが,「李泰鎮大先生,今回はこの手紙を実際に自分で読んでみたのかどうか」にも興味アリ.何しろ自分で書いたメモの字がちゃんと読めていないような人ですので.
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by xrxkx | 2005-10-06 12:38 | ここが変ニダ韓国人