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中山文科相 慰安婦発言のこと
 相変わらず私事のごたごたのため更新が滞っておりますが,久々に書き散らし.中山発言の件,既に3日も過ぎていますので皆様ご存知でしょうが──

従軍慰安婦はなかった言葉 文科相がメールを紹介 ─北海道新聞(おそらく共同電) 07/10
従軍慰安婦発言で支持者の手紙紹介…中山文科相 ─読売 07/11
慰安婦発言支持のメール、中山文科相「感銘受けた」 ─朝日 07/11
(more欄に記事控えあり)

 何よりまず,文科相には「支持者から寄せられた意見の紹介」という形を取るのでなく,もう少し自分の言葉で語って戴きたかったという気はします.どこか「これは私が言ってるわけじゃありませんよ.こういう意見の国民もいるという単なる紹介です」という逃げの匂いがする.
 「私が歴史認識を話すと良からぬ誤解を招くといけないので」と仰いますが,「良からぬ誤解」あるいは曲解なら 既に巷間に溢れています.無論 日本国内のみならず海外にも,です.
 東亜日報(韓国)などは中山発言を「稚拙な歴史歪曲」とまで呼んでいます.東亜日報の この記事中にある
中山文科相は6月、「『従軍慰安婦』という言葉は当時はなかった」と述べ、事実上軍慰安婦の存在そのものを否定する発言をし、韓国と中国から強い反発を受けている。
という箇所などは そうした曲解の典型です.昨年11/27の「教科書から『従軍慰安婦』とか『強制連行』とかいった言葉が減ってよかった」発言以来,中山文科相が「慰安婦は存在しなかった」などと一度でも言ったことがあるか,東亜日報の記者氏には是非とも実例を挙げてみせて戴きたい.
 ちなみに こうした「従軍慰安婦不在説」なるものを生み出したのが朝日新聞であることは,藤岡信勝 著「『自虐史観』の病理」 第II部第7章「『従軍慰安婦不在説』という妖怪」に詳述されていますので,お読みになっていない方には一読をお勧めします.
 上の朝日の記事にしても,「彼女らには大いに同情すべきだが、(意に反して売春させられたのは)古い時代の日本の農村で見られた情景とそう変わらない」となっています.もし中山氏が「彼女ら」の存在そのものを否定しているなら こういう文言が出て来る筈がありません.

 ところで,上の引用部分中 「意に反して売春させられたのは」の部分は括弧に入っており,朝日の記者が補ったものであることが分かります.こういうところに朝日お得意の印象操作の悪質さが見られます.「意に反して売春」といいますが,私も生まれついての怠け者であるにも拘らず「意に反して」毎日せっせと働いていますので,これも政府に責任を取ってもらうべきなのでしょうかね.

 今まで再三にわたって触れて来た事ではありますが,そもそも慰安婦問題の核心は「日本政府・軍による強制性があったのか無かったのか」という点にあるにも拘らず,その部分についての中山文科相の切り込み方は──今回に限らず従来も──あまりにも遠慮がちに過ぎるように思えます.
 本来,彼は もっとはっきりと,自分の言葉で「彼女らは職業売春婦であった」と公言し,慰安婦を「性奴隷」だったとする人々──日本国内のであれ海外のであれ──の挑戦を堂々と受けて立つべきでしょう.いつまでも議論を「『従軍慰安婦』なる言葉が当時あったか無かったか」という枠内だけにとどめておくことは,却って上の朝日の例のような悪質な曲解を生みます.



◇ 記事 控え ◇
従軍慰安婦はなかった言葉 文科相がメールを紹介 ─北海道新聞 07/10
 中山成彬文部科学相は10日、福岡市内で講演し、「従軍慰安婦」という言葉が戦時中はなかったことを強調する支援者からのメールを約10分間にわたって読み上げ、「真剣に考えてくれている。ありがたいことだ」と述べた。
 中山文科相は6月に「従軍慰安婦という言葉はその当時なかった」と発言して、韓国などから反発を招いた経緯がある。
 講演で中山文科相は「私が歴史認識を話すと良からぬ誤解を招くといけないので、手紙を紹介する形で皆さんのご理解を得たい」と前置き。カナダの大学院で学ぶ20代の女性から届いたというメールを紹介した。

従軍慰安婦発言で支持者の手紙紹介…中山文科相 ─読売 07/11
 中山文部科学相は10日、福岡市内での講演で、いわゆる従軍慰安婦問題に関する自らの発言を支持するメールを紹介し、「私が歴史認識のことを話すと誤解を招くといけないので、手紙を紹介する形で皆さんにご理解いただきたい」と訴えた。
 メールは、海外に留学している20代の大学院生の女性から届いたもので、「(従軍慰安婦という言葉は)一部の日本人が自虐的にも戦後に作った。わざわざイメージの悪い言葉を作って、ことさら悪事のように騒ぐのは不思議だ」などと書かれていたという。
 中山文科相は先に「従軍慰安婦という言葉は当時なかった」と発言し、中国や韓国から反発を招いた。

慰安婦発言支持のメール、中山文科相「感銘受けた」 ─朝日 07/11
 中山文部科学相は10日、福岡市での講演で、「従軍慰安婦という言葉は当時存在しなかった」という自らの発言を支持する日本人留学生のメールを約9分間にわたって読み上げ、「感銘を受けた」「若い方々は本当に真剣に考えてくれている。ありがたい」と語った。
 中山氏は「私の発言に関してはご批判もあるが、若い方々からの励ましがすごく多い」として、カナダの大学院で学ぶ20代の女性からのメールを紹介した。
 中山氏によると、メールは「(従軍慰安婦は)一部の日本人が自虐的にも戦後作った言葉だ」と、中山発言を支持。「彼女らには大いに同情すべきだが、(意に反して売春させられたのは)古い時代の日本の農村で見られた情景とそう変わらない」「戦地にある不安定な男の心をなだめ、一定の休息と秩序をもたらした存在と考えれば、プライドを持って取り組むことが出来る職業だったという言い方も出来る」とも述べているという。

日本文科相、またも稚拙な歴史歪曲 ─東亜日報 07/12
日本軍慰安婦関連妄言で何回となく物議をかもしていた中山成彬・日本文部科学相(62)が、またしても稚拙なやり方で歴史を歪曲した。
11日、共同通信によると、中山文科相は、前日、福岡市で開かれた講演で軍慰安婦と関連した自分のかつての発言を支持する内容の電子メールを10分間あまり朗読した。
中山文科相は、同日の講演で「私が歴史認識に触れると誤解を招く恐れがあるので、手紙を紹介する形をとるから了解してもらいたい」と、カナダの大学院に在学している20代の日本人女性が送ってきた、自身に対して肯定的な電子メールを読み上げた。
中山文科相は6月、「『従軍慰安婦』という言葉は当時はなかった」と述べ、事実上軍慰安婦の存在そのものを否定する発言をし、韓国と中国から強い反発を受けている。
第2次世界大戦当時、日本軍が軍の駐屯地に「慰安所」を作り、「慰安婦」を置いていたのは間違いない事実であるにもかかわらず、「従軍」という修飾語がなかったからといって「従軍慰安婦」という言葉が当時なかったと主張するのは、日本軍の犯罪を隠蔽しようとする詭弁だという指摘が根強い。

by xrxkx | 2005-07-13 13:26 | 時事ネタ一般