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加藤紘一北京詣でのこと
 何だかんだでまた2日も空けてしまいました.ニュース読みが追いついていませんので先週のネタですが──
加藤紘一氏が20日から訪中 「親中派」アピール ─朝日 06/09
 自民党の加藤紘一元幹事長が20日から21日にかけて中国を訪問する。曽慶紅(ツォン・チンホン)国家副主席ら要人との会談を調整中で、小泉首相の靖国神社参拝などをきっかけに冷え込んだ日中関係打開の糸口を探る。加藤氏は胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席とも交流がある「親中派」。8日から訪中している橋本元首相とあわせ、ベテラン議員による日中関係修復の動きが強まっている。
 加藤氏には、加藤氏が属する小里派の園田博之衆院議員のほか、無派閥の野田聖子、堀内派の望月義夫の各衆院議員、旧橋本派の山崎力、北岡秀二の両参院議員が同行する。加藤氏は、こうした同行議員の人選を、やはり「親中派」の古賀誠元幹事長と青木幹雄参院議員会長に依頼していた。小泉首相や、首相の靖国参拝を支持する安倍晋三幹事長代理らとは一線を画する姿勢をアピールする狙いがありそうだ。意見交換したい、としている。
 よりによってこんな時期にいそいそと北京詣でに出掛け「親中派」なんぞをアピールしたがる人物が 何を頼みとし 何を当て込んでいるかなど,わざわざ説明するまでもないでしょう.もともと加藤氏は靖國参拝そのものに否定的な立場で,昨年10月にもこんなことを言っていたのでした(記事が既にリンク切れしていますので 個人的にスクラップしておいたのを貼ります):
靖国参拝「外交上正しくない」 中国で加藤紘一氏 ─朝日 2004/10/22
 自民党の加藤紘一元幹事長は21日、北京で開かれた中国国際戦略学会で講演した。小泉首相の靖国参拝について「サンフランシスコ平和条約で明らかなように、14人のA級戦犯がすべての戦争責任を負う。78年に靖国神社が14人を合祀(ごうし)して以降は、首相が正式に参拝することは外交上正しくない」と述べ、自重すべきだとの考えを示した。
 加藤氏は「首相自身は日本人の民族感情の問題だと考えているが、中国人から見ると、歴史認識と戦争責任の問題だ」と指摘。参拝は「条約を尊重するかどうかの観点から考えるべきものだ」と語った。
 「サンフランシスコ平和条約」「靖國参拝」「戦争責任」などに関する加藤氏の認識は 現在も当時と全く変わっていないようで,同氏のwebサイトに「緊張状態の続く日中関係」なる文章があります(今年05/30収録されたビデオメッセージをテキストに起こしたもの).敢えて全文を引用しますと──
 前回、4月25日、ゴールデンウィーク前ですけれども、このビデオメッセージで日中間の問題について触れました。その後、中国の方のデモも小康を得て、まあこれで少し大丈夫かなあというふうに思えた局面もありましたけれども、呉儀副首相の突然の帰国などを巡って、またあまり油断してはいけない緊張のある状態が続いていると思います。
 
 私は、呉儀副首相が突然帰国したというのは、やはり外交儀礼上、問題だと思います。しかし、同時にそれを知りつつ日本に強いメッセージを更に中国が送り続けてきているほど、中国内部では最近の日中関係にかなりの神経を尖らせているのではないかと思います。
 
 我が方からは、中国には経済援助をしたじゃないかということを言います。3兆円の援助をしたじゃないか、それを中国は表立って感謝しないという論調もいろんなところに見えます。そうしたら、今度は中国外務省の報道官が、この間の戦争で被害を受けたのは1000億ドル(10兆円の金額ですが)、そして、間接も入れると50、60兆円になるとか、それから戦争で傷ついた中国人は合計3500万人になるとか、お互いにあまり口にしてはいけない、したくないようなことばを言い交わすようになってしまいました。

 私は、日中間はこの関係が良くならないと、アジアの発展とか世界の政治の安定とかにいろいろな問題が起きるというような、先々に向かっての大きなビジョンを語り合うのならいいのですけれども、昔のことをお互いに言い出しながら数字を並べ合う、今不幸な事態になってきたと思います。

 このためには、やはり日本国内で戦争の総括というのが十分にできない状況の中で、極東裁判の結果をサンフランシスコ条約11条で日本が受け入れたという歴史的な事実をしっかり踏まえて、また日中間の過去の問題はサンフランシスコ平和条約ですべて言い尽くし、主張し、そして受け入れたんだという事実をしっかり踏まえてわが国は対応すべきだと思います。

 靖国神社というのは、そのサンフランシスコ条約において、日本が認めた戦争責任というものを日本が今後ともしっかり守っていくか、そういう国際的な信用の問題だと、私は思います。改めて申しますが、靖国神社に総理大臣が今後参拝されることは、あくまでも慎重であって欲しいし、この問題の解決はA級戦犯の分祀か慰霊のための別の追悼施設をつくる、この2つの道しか私には解決の道がないように思われます。
 やれやれ.この際面倒を厭わず久々に「いちいちツッコミ」をやることにすると,
私は、呉儀副首相が突然帰国したというのは、やはり外交儀礼上、問題だと思います。しかし、同時にそれを知りつつ日本に強いメッセージを更に中国が送り続けてきているほど、中国内部では最近の日中関係にかなりの神経を尖らせているのではないかと思います。
 本気で「外交儀礼上、問題だと思」うのであれば,日本の国政に携わる者として真っ先に為すべき事は,支那人に代わってその《駄々っ子の論理》を日本国内に吹聴して回ることでもなければ,いそいそと支那に出向いて駄々っ子のご機嫌を伺うことでもありません.大いにその非を鳴らし最後まできちんと責任を取らせなくてはなりません.
昔のことをお互いに言い出しながら数字を並べ合う、今不幸な事態になってきたと思います。
 「昔のこと」は「お互いに言い出し」ているわけでも何でもなく,支那が一方的に言っているにすぎません.しかも支那は日本との国交「正常」化に当たって対日賠償請求権を放棄しているのですから,今更「昔のこと」をユスリタカリのネタにするなどは論外.
 一方で,日本から支那への援助は「昔のこと」ではなく──呆れたことに──現在進行形の問題です.
このためには、やはり日本国内で戦争の総括というのが十分にできない状況の中で、極東裁判の結果をサンフランシスコ条約11条で日本が受け入れたという歴史的な事実をしっかり踏まえて、また日中間の過去の問題はサンフランシスコ平和条約ですべて言い尽くし、主張し、そして受け入れたんだという事実をしっかり踏まえてわが国は対応すべきだと思います。
 まさにそのサンフランシスコ平和条約11条の定めるところに従って,日本は東京裁判に於ける「戦犯」に対する刑の執行も──東京裁判自体の正当性如何はともあれ──受け入れ,その後の免責も行なっているのですから,その「罪」なるもの──もしあったとしても──は国内的にも国際的にも既に解決済みの問題です.戦犯の赦免等に関する経緯は 例えば
加藤紘一氏、「靖国参拝」を批判 in 北京 (娘通信♪ 2004/10/22)
などに非常に簡潔にして要点を押さえたまとめがありますので ご参考に.
 ついでながら,支那人が本当に日「中」間の過去の問題がサンフランシスコ平和条約で「すべて言い尽く」されたと考えているのかどうかは 支那人自身に訊いてみないと分かりませんが,もしそう考えているのであれば「日華条約無効論」などという珍妙な代物が今頃になって出て来る筈はありません.何せ日「華」条約はサンフランシスコ平和条約を踏まえた上で 「中華民国」──何処かの土匪とは違って れっきとした国連安保理常任理事国の一つであるところの──との間に締結されています.
靖国神社というのは、そのサンフランシスコ条約において、日本が認めた戦争責任というものを日本が今後ともしっかり守っていくか、そういう国際的な信用の問題だと、私は思います。
 サンフランシスコ平和条約を穴が開くほど読み返しても,日本が「戦争責任」なるものを認めるなどという文言は出て来ません.「戦争責任」などという言葉がこうやって定義も曖昧なまま一人歩きして来たことが 戦後の支那・朝鮮による対日タカリの構造を生み出した元凶であるという認識すら この人には無いのか,それとも確信犯的に「戦争責任」なる曖昧な語を用いているのかは 私の知る由もありませんが.
 また,所謂「A級戦犯」が祀られている靖国神社を首相が参拝することが 日本という国の「国際的な信用」に差し支えると言うのであれば,なおさら加藤氏の説く所とは正反対の道を進むべきでしょう.例えば先日の森岡発言に倣って「戦犯はどう遇されたか」をきちんと対外的にアピールし,その国際的な名誉の回復を図らなくてはなりません.
補遺.森岡発言中,「もはや罪人ではない」の「もはや」が一部メディアにより意図的に削られた状態で流されたことがありましたが,あの「もはや」にしても
「『いつから罪人ではなくなったか』については様々な解釈があろうが,それはともかく」
と読んでおきたいところ.日韓基本条約第2条に謂う所の
千九百十年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される。
というのと同じ理屈です.東京裁判の持つ非合法性・不当性に関する議論は当然行なわれるべきだと私も考えますが,それとは別に,戦犯の名誉回復は「東京裁判の諸判決を受け入れ」たままでも可能であるという点は ここで改めて強調しておく価値があろうと思います.
 再三にわたって述べて来たように 首相の靖國参拝に関する支那や朝鮮の容喙にこそ問題はあるのですから,日本側が「慎重」であらねばならない理由など一つもありません.必要なのは「慎重」さではなく,他国の詰まらぬ干渉を断乎撥ね退ける気構えです.

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 最初の加藤訪支ニュース中の
小泉首相や、首相の靖国参拝を支持する安倍晋三幹事長代理らとは一線を画する姿勢をアピールする狙いがありそうだ。
のくだりなどは朝日クォリティの真髄でしょうが,所属政党・会派を問わず ヒモ付きの議員がこうやって自ら他の議員らと「一線を画」してくれることは ギャラリーとしては話が分かりやすくなって助かります.
 こうした人物に選挙で票を投じ彼らを国会に送り出しているのは他ならぬ私たち有権者なのだという点について,私たち国民一人一人が猛省し危機意識を新たにする必要があるでしょう.極論すれば,
支那人ごときの買弁に成り下がるような政治家には投票するな
の一言を全国の有権者が実践するだけで日本の政界から支那の影響力は排除できるということです.
by xrxkx | 2005-06-13 20:44 | 時事ネタ一般