中川秀直「A級戦犯分祀」論のこと
 昨日まで 締め切りの迫っている仕事に追われており,何とか片付いたと思ったら また風邪を引いてしまったようです.これで4回目だぞ,今年….
 何しろ前回更新したのが呉儀のドタキャンの時ですから,その後上がって来たネタなら目白押しだったのですが,身体のほうがついて来ません.薬のせいで眠いし.まぁ仕方ない.

靖国「A級戦犯分祀を」自民・中川氏が強調 ─読売 05/30
 自民党の中川秀直国会対策委員長は29日のフジテレビの報道番組で、小泉首相の靖国神社参拝問題の解決方法について、「ご遺族と神社側が話し合い、A級戦犯の分祀や分霊を自発的にやることが望ましい」と強調した。

 また、中川氏は、小泉首相が20日の参院予算委員会で「個人の心情として参拝している」と答弁したことに言及したうえ、「大平、鈴木元首相がこういう形で参拝した時、中国はあまり問題にしなかった。その状態に戻す意思表示と取れる」と述べた。

 1985年の中曽根首相の公式参拝以降、中国側が参拝を問題視するようになったことを踏まえ、小泉首相としては、私的参拝を強調することで中国側の理解を得たい考えがあると指摘したものだ。

『分祀』『常任理』一体で 靖国問題 / 中国に解決策訴え ─東京新聞 05/30
 自民党の中川秀直国対委員長は二十九日、フジテレビの政治討論番組で、小泉首相の靖国神社参拝問題について「靖国を一方的な問題にされては困る。国連安保理常任理事国入りでは、中国はドイツなどにはイエスと言うが、日本には言っていない。これらの問題はセットで解決したらいいのではないか」と述べ、中国が日本の常任理事国入りを支持することと一体で解決を図るべきとの考えを示した。

 その上で、中川氏は「A級戦犯とされている人たちも遺族も、(犠牲となった)兵士たちに済まないと思っていると思う。遺族と総代が話し合って、賢明な判断で分霊というか分祀(ぶんし)を自発的に行うのがいいのではないか。それで中国も日本の常任理事国入りをイエスと言う」と強調した。

 また、小泉首相のことしの参拝については「時期も含め適切に判断するのではないか」とした上で、「(私人として参拝した)鈴木善幸首相の時代に中国が抗議をしなかったことは一つの手掛かりとなる」と述べ、「私人」の資格での参拝を明確にすることで、中国側の理解を得られる可能性があるとの見方を示した。
 この中川秀直発言のダメダメな点を挙げよと言われたら,以下の3つに集約できるでしょう:
  1. 靖國参拝という純然たる日本の国内問題を 常任理事国入りという純然たる外交問題と「セットで解決」しようとする不定見.
  2. 所謂A級戦犯「分祀」を行なうに当たって 一宗教法人である靖國やら遺族らやらに「自発的」にやらせようとする,民間丸投げの無責任.
  3. 鈴木善幸時代の私的参拝まで話を戻せば支那の「理解」を得られるなどという,何の保証も無い希望的観測.
 1については それこそ先日の森岡発言に象徴されるように,日本はサンフランシスコ講和条約締結時に東京裁判の諸判決を受け入れている.刑もその通り執行されている.その赦免・復権についても同条約の定めるところに従って執り行っている.既に返し終えた借金の証文をいつまでもヒラヒラさせる馬鹿も無い.
 森岡発言について補足.「あんた何様? 日記」さんのところに,森岡氏から直接回答を戴いたという発言全文が載っています.果たして支那人や朝鮮人が騒ぎ立てるほど不穏当なことを言っているかどうか,是非ご自分で吟味なさることを強くお奨めします.
 そういえば,森岡発言の「もはや罪人ではない」の「もはや」の部分を標題から外し,日本政府が「東京裁判無効論」でも唱え出したかのような印象操作をしているメディアが散見された由.
 東京裁判の不当性については今更繰り返すのはやめます.同裁判およびサンフランシスコ講和条約により,日本は無用の《借り》を連合国に対して作ることになりました(そもそも中共が連合国の一員を騙る資格があるのか,とかいう話は別問題)が,どんなに不本意な「諸判決」であっても,一旦認めてしまったものは致し方ありません.今更何処ぞの半島の方々のように「不当ニダ,無効ニダ」などということを言ってはならない.
 その代わり,あれが如何に無茶苦茶な裁判だったかを折にふれ語ることなら許される筈です.戦争の大義名分は勝者の側にのみあるのではありません.これをケシカランと言う人々は,例えばバグダッド陥落以後 米軍がイラク民衆に対して行なった全ての弾圧をも是認しなくてはならなくなります.なにせ「イラクに自由と民主主義をもたらした解放者」の所業ですから.
 森岡発言について 更に補足.朝日も 一度取り交わされた約束事の重みを説きたいなら,こういう愚にも付かぬ社説を書いておらずに 日韓併合の「道義的責任」を持ち出して補償をふんだくろうとする某国とか,「お詫びの白紙化」を云々する某国とか,果ては「国交『正常』化交渉のやり直し」を標榜し始める某国とかを徹底的に糾弾すべきでした.「困った子ね,でも気持ちは分からなくもないわね」などと甘やかすのではなく,です.
 2については,中川秀直氏には「靖國がそんな条件を呑めると思うか?」をまず問いたい.こういうことを与党の国対委員長までが言い出すものだから,却って靖國の存在が政治化される.従って支那・朝鮮にわざわざ付け入る隙を用意してやる結果を招く.
 それから,中川秀直発言には「自発的に」やってくれという逃げ道が最初から用意されていますので,政教分離の原則を云々する無粋は敢えて致しますまい.但し 強制性の程がどうあれ,今年1月のNHK番組改変問題の時の朝日の論理に従うなら,これは靖國や遺族らへのれっきとした「政治的圧力」にあたると思いますが,どうなのでしょう.ちなみに こういう圧力については朝日は早々にダンマリを決め込んでいるような.
A級戦犯の自発的分祀で解決を 靖国問題で中川国対委長 ─朝日 05/29
 自民党の中川秀直国対委員長は29日のフジテレビの番組で、小泉首相の靖国神社参拝に関して「ご遺族と神社の宮司らが話し合って、分霊というか分祀(ぶんし)という形で自発的にやる。それで(日本の)常任理事国(入り)に中国もイエスと言う」と語った。現在は合祀(ごうし)されているA級戦犯の遺族と、神社側が話し合って解決の道を探るべきだとの考えを示したものだ。

 同党の与謝野馨政調会長は同日のテレビ朝日の番組で「靖国神社に行くべきか、行くべきでないかという二元論的には結論が出ない問題だ。戦死者を弔う気持ちと中国との関係についてどこでバランスを取るか、政治の微妙かつ重大な判断が必要だ」と語った。
 3についてはもう言うまでもないでしょう.こういう考え方が支那人に通用すると思っている政治家に 靖國の件は任せられません.
「こんな譲歩をしてみせたら 次は『BC級も分祀せよ』とか『千鳥ヶ淵があるのに何故わざわざ靖國に』とか言い出すのがオチではないか」
くらいのことは容易に想像が付く筈です.相手がダメモトで吹っ掛けて来ているものを わざわざ言い値で買ってどうするのでしょう.

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 上の1~3からは外れますが,実は私が一連の報道を読んでいて最もカチンと来たのが
A級戦犯とされている人たちも遺族も、(犠牲となった)兵士たちに済まないと思っていると思う
の部分.「お前に一体何の資格があって死者や遺族の気持ちを代弁しているんだ」と.私の想像が及ぶ限りの日本人のメンタリティとして,敗軍の将が部下をいたわることはあってよいでしょう.但し,その際の「済まない」は戦争犯罪云々とは無関係です.
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by xrxkx | 2005-05-31 16:47 | 時事ネタ一般