【資料】趙甲済「日本極右擁護」発言・全文
 以下は,昨04/19の記事の元ネタである,趙甲済(チョ・ガプチェ)もと「月刊朝鮮」代表の文章を全訳したものです(長いのでmore欄に回した).

 お読みになって「なるほど」とお思いの方は まずいらっしゃらないでしょう.まず,この程度の発言で「極右」呼ばわりとは,ただただ失笑しか出て来ません.「植民地支配について謙虚に反省」などという余計なサービスまでしてみせる「極右」なんて聞いたこともありません.そんなことを言い出したら,
朝鮮人は日本統治の被害者どころか受益者である
とか何とか言っているどこかの♪○い○泥○は極右中の極右ですか,そうですか.どうでも良いけれど.
 安倍氏とか中川氏といった対外「強硬」派──私にすれば別に強硬でも何でもなく 当たり前の通すべき道理を通しているに過ぎないように見えますが──の面々を「極右」と呼んで 日本政府そのものや日本国内の「良心的」勢力とはっきり区別し,攻撃の的を絞り,日本国内の「極右」と大衆との乖離を図るのは,韓国に限らず北朝鮮もやっている戦術的な工夫であって,その線に沿う限り韓国人にとって真っ先に叩くべき相手である安倍氏に一定以上の高い評価や賛同を与えることが PRESSianだのオーマイだのといった類の「市民寄り」ネットメディアから見れば「極右擁護」に見えてしまうというのは,いわば自然の成り行きかも知れません.
 私にとって そんなことより寧ろ薄気味悪く感じるのは,かのノサモ以来の韓国の「市民寄り」ネット言論が作り出している 謂わば《自生的大政翼賛》現象のほうです.これについては書き出すと長くなるので 今回は深入りは避けますが.

 それから,趙甲済氏本人の持論や話の進め方について.

 まず,「本家-分家」のくだりや インタビュー中での出雲大社のくだりなどを見るに,相変わらず日本に対して気持ちの面だけでも何とかして優位に立ちたいという幼児的な虚栄心──ことほどさように朝鮮人という民族は上下関係や優劣を論じるのが好きである──が随所に垣間見えます.第一線のジャーナリストにして なおこの程度ですから,一般大衆に至っては推して知るべし.
 ついでですが,同文章にも現れる 「一流」が大好きな民族性も,その延長線上でとらえることができます.ある意味で健気といってよいまでの「強国」願望についても同様でしょう.それが もはや病気としか言いようの無いところまで行き着いてしまった結果として,かの映画「ムクゲの花が咲きました」に代表される「核のロマン主義」があるわけですね.
 私としては こういう取るに足りない問題で朝鮮人と同レベルで言い争おうとは思いません.こういうのには同意も否定もせず 軽くあしらっておけば充分でしょう.インタビュー中で安倍氏がやっているように,です.

 それから「同盟国選び」の箇所などを見ると,率直に言って「それは結局は新たな事大主義に過ぎないのでは?」と思えてなりません.旗色の良さそうな方に付く.味方が落ち目と見たら寝返ることを恥としない.彼らのこういう民族性そのものが改まらない限り,周辺国がどう頑張ってみても 所詮は「金の切れ目が縁の切れ目」的な付き合い方しか出来ないのではないか.
 今年03/25付の朝鮮日報の社説なども
「韓国は果たして信頼できる同盟国が一つでもあるのか」
などという言葉で結ばれていました.あれを読んだ時にも思ったのですが,そんなことより
「韓国を信頼してくれる同盟国が一つでもあるのか」
を先に心配したほうが良い.無論,およそ外交というものが一種のゲームに過ぎず,各々が自己の利得を最大にする戦略を選ぶのは世の常ではありますが,朝鮮人の場合,自己の力に不相応な 単なる立ち回りの小賢しさとか,「他人の不幸は蜜の味」的なひねこびた精神が 顔に出てしまうのがイヤラシイ.例えばこういう言い草とか.

 ただ,
独島問題以来 韓国のメディアや盧政権によって日本国内の「良心的勢力」と呼ばれている人々の中には,親金正日人士や 大韓民国の正統性に反対して来た正真正銘の反韓人士らが多い.このことが韓日関係の二重性だ.
の箇所は注目に値するでしょう.
 無論,ここで指摘されている事柄は何も「独島問題以来」の現象ではなく(遅くとも例の吉田清司のインチキ慰安婦本が出た1983年には既にそういう構造があったのだし),こんなのは日本ではつとに周知の事実ですが,これを韓国国内向けに韓国人自身が言ってのけるというのは 今まで滅多に無い事だったでしょう.
 先日 池萬元氏のサイトに「公開質問状」を投稿した折にも,韓国人の一般読者との間でちょっとした小競り合い──論争とも呼べぬほどの──がありました.その時も同じことを感じました.
 要するに,彼ら保守寄りの韓国人の多くは,国内的には親北左派を批判していながら 対日外交の面では日本国内の「良心的」勢力に擦り寄っているわけですが,その「良心的」日本人たちの少なからぬ部分が 実は彼ら保守系韓国人の最も忌み嫌うところの親北左派であるということに,彼ら保守系韓国人たちはどうも全く気づいていないらしい.おそらく池萬元氏もそのことをよく分かっていないでしょう.その意味に於ける限り 趙甲済氏の今回の発言のほうが一歩だけ進んでいるように思えます.



「日本保守本流の騎手(ママ)」安倍晋三インタビュー ─記者・趙甲済の世界 2005/04/18
柔らかな「鋼鉄の芯」
 さる3月24日午前,日本・東京市内(ママ)の自民党党舎で安倍晋三幹事長代理に会った.ひょろりとした上背の,物腰柔らかく純朴そうな彼は,極右のイメージには程遠かった.彼の言葉は早口だったが文法的に正確で重複が殆ど無かった.「安倍晋三の背骨には憲法改正という鋼鉄の芯が通っている」という人物評が思い出された.
 安倍晋三衆議院議員は自他共に認める日本右派の次世代指導者だ.1954年生まれで今年51歳の彼は,あらゆる輿論調査に於いて「日本の次期首相候補ナンバーワン」という結果が出ている.安倍幹事長代理は,派閥政治と世襲出馬が伝統となっている日本の政界にあっては その出自からして筋金入りだ.
 彼の父は1980年代に外務大臣(訳註:原文には「外務長官」とある)を務めた安倍晋太郎だ.安倍晋太郎は自民党の保守主流である福田派のボスで,押しも押されぬ首相候補だったが,病のため挫折した.1987年,長期執権の座にあった中曽根首相の後任を選ぶ為の与党・自民党の総裁選挙に,安倍晋太郎・竹下登・宮沢喜一が出馬した.3人は投票を避け合議によって総裁を決定することにしたが うまく行かず,中曽根の指名に従うことを約束した.
 島根県出身の竹下は,隣接する山口県出身の安倍と友人の仲だった.2人は1958年に衆議院選挙で初当選した同期生の間柄だったが,安倍は1度落選しており,当選回数は少なかった.中曽根は,党内最大派閥(原文註:経世会)を率いていた竹下を 自民党総裁即ち首相に指名した.自民党首脳部内では,竹下の次は安倍が首相の座に就くという黙契が出来上がったが,安倍は1991年に膵臓癌で死亡した.67歳だった.
 父の秘書をしていた時に衆院選に出馬した安倍晋三は,父の成し得なかった「首相の夢」を引き継いだことになる(原文註:彼の祖父,即ち安倍晋太郎の父も,軍国主義時代に国会議員を務め 東条英機退陣運動を行っているから,3代にわたる政治家の家門だ).


拉致問題に強硬対処,人気沸騰
 安倍晋三幹事長代理の母方の祖父は,戦後日本政界の長期にわたる実力者だった岸信介だ.岸は伊藤博文・山県有朋など明治維新と朝鮮侵略の主導勢力を輩出した山口県(原文註:下関がここにある)の政治名門家の出身.彼は首相として米日安保条約改正により今日の米日同盟体制を足固めし,その弟・佐藤栄作は 韓日国交正常化と アメリカからの沖縄返還を成し遂げた.
 日本政治の主流家門で幼い頃から政治を空気のように呼吸して育った安倍晋三自民党幹事長代理は,小泉首相の直系である.小泉はさらに前首相・森喜朗の派に属している.
 安倍幹事長代理は,2002年9月17日に小泉首相が平壌を訪問し金正日と会談した折にも同行した.金正日は日北修交会談を進捗させる為に驚くべき告白を行なった.彼は「北韓(訳註:北朝鮮のこと)の対南工作機関が13名の日本人を拉致し,うち8名は死亡,5名は生存中」だと述べた.この自白は東北アジアの歴史の流れを変えるほどの大事件へと拡大した.日本のメディアや輿論から怒りの声が挙がると,日本政府も対北強攻策を取らざるを得なくなった.こうした強硬旋回の中心に,安倍晋三(原文註:当時官房副長官)がいた.
 2002年10月15日,北に拉致されていた日本人5名が,10日後に北韓に戻るという条件付きで帰国した.小泉首相の全幅の信頼を受けていた安倍晋三は,帰還日本人を北韓に送り返すべきだとする外務官僚らの主張を退け,「政府方針として送還不可」と決断した.結局,この強攻策が北韓を屈服させた.日本は昨年には拉致被害者の在北家族も呼び戻した.
 この事件を機に,安倍晋三の人気は上昇して行った.2003年の総選挙を控え,小泉首相は当時49歳だった安倍晋三議員を自民党幹事長に任命した.安倍の大衆的人気を選挙戦に利用する為だった.安倍議員は総選挙後には「幹事長代理」に降格したが,彼の言行は常にメディアの記事の種となっていた.彼は日本左派の論理的根拠を提供して来た朝日新聞に対しても直截的批判を憚らない.
 「(原文註:朝日新聞は)拉致問題について何事をも成し得なかったという恥を隠す為に(原文註:拉致被害者救出の為に働いて来た)人々を攻撃しているようだ」(原文註:2004年2月1日 TV対談)
 拉致被害者家族たちや 拉致被害者救出の会(訳註:おそらく「家族会」と「救う会」のこと)は,こうした安倍議員を大いに頼りにしている.安倍議員は,韓国の拉致被害者家族会や 北韓人権問題に携わる韓国の国会議員らとも交流を持っている.
 安倍幹事長代理は,日本政界の最大テーマとして浮かび上がっている「憲法改正による正常国家への復帰」を成し遂げるべき人物と目されている.日本の憲法で禁じられている交戦権を明示し,自衛隊の地位を軍隊と明確にするというのが 憲法改正論の核心だ.
 彼は中曽根元首相,石原慎太郎・東京都知事と並び 保守本流の3大人物に挙げられる.安倍議員に代表される日本自民党の本流は,朴正熙政権当時は親韓派に分類されていたが,最近の独島問題以降は韓国メディアによって極右または反韓派と攻撃されている(訳註:「独島」は竹島のこと).
 安倍晋三議員の場合,日本の韓国支配を公に反省しており,朴大統領による「漢江の奇蹟」(訳註:高度経済成長)を高く評価し,韓国人拉致問題を含む北韓人権問題を積極的に提起している.そうした彼を反韓や極右と分類するには事実に合わない面がある.
 独島問題以来 韓国のメディアや盧政権によって日本国内の「良心的勢力」と呼ばれている人々の中には,親金正日人士や 大韓民国の正統性に反対して来た正真正銘の反韓人士らが多い.このことが韓日関係の二重性だ.安倍晋三幹事長代理にインタビューする為に日本に行き,知韓人士らと会ってみた所感をまとめると こうだ.


言うべきことは言う日本
  • 金正日政権による日本人拉致問題をきっかけに,日本の輿論が右傾化している.朝日新聞や岩波出版社に代表される左派は輿論に押されている.独島や歴史教科書歪曲問題が生じるたびに韓国の味方をしてくれた左派が弱体化しているのと同時に,日本輿論の右傾化が反韓化に繋がる可能性がある.
  • 米日同盟を強化している日本の保守本流は,アメリカから遠ざかりつつある盧政権を与し易しと見ているようだが(訳註:原文では「大きな負担無しに対し得ると考えているようだが」),中国や韓国,それに北韓までが一致団結する事態は望んでいないだろう.
  • 日本の右派が独島問題を国際紛争の種にし,この問題を何が何でも解決するという意志を持って押し付けて(訳註:韓国に,か)いるという確証は無い.日本の一部の韓半島専門家らは,南韓政権が親北化したり金正日の影響圏内に入った場合は独島を「軍事的脅威の前哨基地」と想定して対応すべきだという見解を覗かせている.
  • 最近蓄積された韓日両国民の間の膨大な人的・文化的交流が,政治・外交的摩擦の緩衝材の役割を果たせるかも知れない.韓国に対して罪の意識を持つ日本人も減っており,日本に対して本能的反感を持つ韓国人も減っている.
  • 北核および人権問題をきっかけに,金正日政権を東北アジアの平和の敵と規定し 彼を政治的に無力化させなくてはならない,とする共通認識が 韓米日国民の間に拡がっているのと同時に,米日政権を共通の敵としようとする動きも 韓・中・北に起きている.こうした同時進行の衝突コースが韓国を韓米日の海洋自由同盟から切り離すならば,これは良友を捨て悪友と交わる結果をもたらすだろう.


誤った同盟国選びは国家の災厄
 韓国の国益を基準とするなら独島問題は危急の課題ではなく,北核問題解決のほうが急がれる.日本の独島領有権主張は歴史的・地理的・法的にこじつけであり,戦争をしない限り独島を持ち去る方途が無いからだ.
 韓米日の同盟を強化し,北核問題を解決すべき時に,急ぎもせぬ独島問題に執着し,北核問題解決の基盤に亀裂を生じさせ,さらには韓国の安全と繁栄を保証する韓米日同盟体制を変質させようと図る人々がいるとするならば,これは「馬鹿げた自害行為」だ.危機が来たときに同盟国を選び間違えれば国家的災厄を招く.
  • 1930年代の日本軍国主義者らは,西欧の一流国家である米英を敵に回し,ファッショ国家である独伊と同盟した挙句に戦犯国家となった.明治維新や露日戦争当時の日本はイギリスやアメリカの助けを得たが,パートナーを敵に回した結果は破滅だった.
  • 新羅は世界帝国だった唐と同盟して三国統一に成功し,百済は後進国・倭と同盟して滅亡した.
  • 朝鮮王朝(訳註:李朝)の仁宗は空虚な名分に固執して隆盛の清を遠ざけ,滅亡せんとしていた明に随従した結果,丙子胡乱(訳註:1637年の清国による朝鮮征伐)を招いた.
  • 北韓が現在のようなありさまに至ったのは大陸の独裁国家であるソ連・中国と同盟したからであり,韓国が反映繁栄(訳註:2005/10/07 誤字訂正)したのはアメリカ・日本など先進海洋民主諸国と手を結んだからである.
  • 盧武鉉大統領は,今日の韓半島の状況が19世紀末の韓半島に似ているため,韓米日の南方三国同盟体制を脱し,バランサーの役割をすべきだという考えを持っているようだ.これは誤った歴史解釈に基づく誤った処方だ.
     19世紀は帝国主義の時代であり,今日は民主主義拡散の時代である.19世紀の朝鮮は弱かったが今日の韓国は強力だ.19世紀の日本は侵略者だったが,21世紀の日本は違う.19世紀の朝鮮は韓半島に対する領土的野心を持つ日本・清・ロシアを牽制してくれる同盟国を持たなかったが,21世紀の韓国は韓半島に対する領土的野心の無いアメリカと手を結んでいる.韓米同盟の解体は,領土的野心の無い友人を捨てて,韓国を併呑しようとする北韓やその後見勢力である中国に随従しようとする誤った行為となる.


一流国家にならなくては
 日本人拉致問題を熱心に提起しているアンカーウーマン(訳註:ニュースキャスター)出身のジャーナリスト・櫻井よしこ氏(訳註:原文では「サクラヨシコ氏」)はこう述べている.
「血縁的に日本と韓国人(ママ)は最も近い.モンゴル人や韓国人が日本人の本家ということになる.分家である日本人は本家に感謝しなくてはならないが,同時に韓半島を経て日本列島にまで進出し,いい国を作った先祖たちの進取性に自負心を持ってもよいだろう.本家である韓国人たちにもこの点を評価してもらいたい」
 壬辰倭乱(訳註:文禄の役のこと)や植民地支配の歴史的記憶が今なお生々しい韓国側に対し,日本がまず誠意を示す方法は,歴史的・地理的・現実的面で何ら論拠も効力も無い独島領有権主張の放棄を一方的に宣言することだ.それが不可能なら,韓国が自由統一を成し遂げて一流国家となり,アジア唯一の一流国家・日本と並び立つ道がある.
 ヨーロッパの宿敵であるフランスとドイツの親善関係は,双方が引き分けになって国力が対等になった時に成し遂げられた.韓国人は,これまで200年間 非西洋国家としては唯一 先進国の隊列に合流した 日本の先取を評価しつつ,日本の先進化の過程に於いて被害を蒙った痛ましい記憶を転換させ,そろそろ我々自身に対しても自負心を持ち得る業績を作って行く必要がある,と考えてみた.


インタビュー / 安倍晋三

「韓国で(原文註:独島)問題を大きく扱いすぎている.日本はこれを国際紛争化するつもりは全く無い」

「領土問題解決は難しい」

──盧武鉉大統領が青瓦台のwebサイトを通じて「日本の中央政府が島根県議会の『タケシマの日』制定を幇助した」と批判していますが,本当ですか.(訳註:「タケシマ」は原文でも日本語式に標記してある.以下カタカナ標記の箇所は全て同様)
「それは県議会の判断でなされた事で,中央政府とは全く関係がありません.韓国側が問題にしなければ,日本国民の大部分はそんな事があった事実すら知らなかったでしょう」
──私たち(訳註:韓国人全般を指す)が気になっているのは,日本政府が独島問題を国際紛争化し,この問題を是が非でも解決するという考えを持っているのではないかということです.
「日本政府や与党の立場では,タケシマ問題について質問を受ければ公式にお答えすることになっていますが,こちらからこのことを主張する考えはありません」
──私を含め 4800万人の韓国人のうち,独島が韓国領でないと考える人は1人もいません.従って,日本政府がこの問題を何が何でも解決しようとする挙に出たなら,将来の韓日関係は極めて難しくなるでしょう.
「領土紛争を行なっている国はたくさんあります.そうした問題を解決するのが容易でないのがよく分かります.私たちとしてはタケシマについての従来の立場を変更する考えは全くありませんが,この問題によって日韓関係が悪化することは望んでいません」(訳註:「日韓」は順序ママ)
──4月初頭に日本で教科書検定結果が発表されれば,日本や韓国で批判が起きるでしょうが,対策はありますか.
「日本でやっている教科書検定は,韓国の国定教科書とは方式が異なります.政府は教科書の記述さえ正確なら検定を通過させ,(原文註:採択するかどうかは)各教育委員会で判断します.中央政府が政治的影響を及ぼすことはあり得ません.重要なのは,冷静な判断を下せるようにするための環境作りだと思っています」
──島根県議会が「タケシマの日」を制定し 紛争の種を蒔くまでは,韓日両国の関係は非常に良好でした.両国民の交流が活発で,年間約400万人が相互訪問しています.2002年のワールドカップ共同開催ですとか,裴勇俊ブームといったこともありました.
「両国間に紛争があったとしても,これを拡大させないようメディアや政治が事前に調整するのが望ましいですね.今回の問題も日本の一地方議会の決議を韓国メディアが大きく取り上げすぎたのではないかと思います」

「北韓政権には圧力を掛けなければ変わらない」

──日本の一部専門家の間には,もしも南韓が左傾化または親北化した場合には 独島が新たな意味を持つことになるので,つまり日本に対する軍事的脅威の場になるので,これに備えるべきだという考えもあるようです.
「私としてはそうした状況は想定し難いです.韓国人たちもそこまで親北化する道を選びはしないだろうと思います.私たちとしても韓日関係が悪化しないよう努力しなくてはならないとも思っています」(訳註:「韓日」は順序ママ)
──安倍晋三幹事長代理は北韓の核問題,人権弾圧,日本人拉致問題の解決の為には金正日政権を変えなくてはならないとお考えですか? そういう意味の発言を何度かなさったと伺っていますが.(訳註:「変えなくては」の箇所,「替えなくては」「換えなくては」とも読める.韓国語ではこれらの書き分けが出来ない)
「レジームチェンジ(原文註:体制交替)の話をしたことはありません.政府も同様です.拉致問題と核問題で北韓と協議をしていますが,その政権を替えろという話はするわけに行きませんでした.政府のことはさておき,自民党幹事長になった後は『北韓と協議ばかりしていては問題は解決しない.圧力を掛けなければ変わらない』と言っています.
 特に昨年の横田めぐみさんのニセ遺骨事件以後は,いつまでも金正日政権と協議ばかりしていては問題が解決しないと強調しています.北韓に圧力を掛けて態度を変えさせるのが 日本外交の基本方針です」(訳註:ここより以降,安倍氏の台詞中も北朝鮮のことを「北韓」と記載)
──北韓に対して6者会談に参加してくれと頭を下げる筋合いではなく,期限を切って,いついつまでに参加しなければ国連安保理に回付して経済制裁を科すということを明確にしたほうがよいのでは.
「6者会談は周辺諸国に与えられたチャンスなのではなく北韓に与えられたチャンスなのだということを知るべきです.北韓が引き続き6者会談に参加しないならば,アメリカのライス国務長官も言っていたように 別の選択肢として当然国連にこの問題を持って行って解決すべきだ,というのが 私の考えです」
──2000年の南北首脳会談直後,金大中政権は,所謂非転向長期囚を北送する過程で,日本人・原敕晁さんの拉致犯である北韓の工作員・辛光洙も送ってやりました.最近 安倍幹事長代理は,この辛光洙を日本に引き渡すよう北韓側に求めておいでですが,法的根拠はおありですか.
「辛光洙は日本人拉致犯と確定済みです.法律と証拠に立脚して,彼を指名手配してあります.金大中政権が彼を北送する前に,日本政府は辛光洙の身柄引き渡しを求めるべきでしたが,そうしなかったのは残念です.辛光洙は別の拉致事件にも関与していた可能性があります.北韓当局は辛光洙を何としても日本側に引き渡すべきです.
──辛光洙が他の拉致事件に関係していたという証拠はありますか.
「証拠はありませんが,その可能性は高いと思っています.北韓は遺骨が偽物ではないと主張するのではなく,日本人拉致実行犯だということが明らかになっている辛光洙らを引き渡さなくてはなりません」
──盧武鉉政権の対北宥和政策や,所謂対米自主政策についてはどのように評価なさいますか.
「北韓の脅威に曝されている韓国の立場は分かりますが,対北宥和政策が北韓に利用されている面があると思います.北韓は韓国の誠意ある支援に対して善意で応えず,貰うものはすっかり貰って,与えるべきものを与えずにいます.北韓はそういうやり方が罷り通ると思っているようです.従って,対北宥和政策は北韓の政策を変化させるには至っていないと考えています」

「朴大統領は大事に当たって正確な判断を下した方」

──話題を少し変えまして,私は朴正熙大統領の伝記を書いているのですが,朴大統領は安倍幹事長代理のお爺様である岸・元総理と特に親密でした.朴大統領をどう評価なさいますか.
「朴大統領は韓国の安全を確保した上に『漢江の奇蹟』と呼ばれる経済発展を成功させることで韓国の繁栄に大きな功績を残しました.朴大統領は特に韓日(ママ)国交正常化という極めて難しい決断を下し,結果的には このことが韓国の発展に役立ちました.
(訳註:以下の箇所,話が少々飛躍するが,おそらく「朴正熙の功罪,とりわけ日韓国交「正常」化交渉時に於ける賠償請求権問題の決着の付け方に対する賛否両論」についての対話が一部省略されているものと思われる)
 40年前のことを今になってとやかく言うつもりはありませんが,当時は事情が違いましたし,相手がある話でしたから.政治家という存在の値打ちは,重大な事案を前にして正しい判断を下せるかどうかで決まるものです.朴大統領は大事に当たって正確な判断を下した方だと思います」
──安倍幹事長代理のお爺様でいらっしゃる岸・元総理も,米日安保条約改正を貫徹し,今日の日本を築きました.面白い逸話がありますが,安倍議員は当時「安保反対」を叫んでいらしたとか.
「当時は私も子供でしたから.祖父の家をデモ隊が取り囲んで『安保反対』を叫んでいました.表に出られなくなった祖父は,私を呼んで背中に馬乗りに乗せては一緒に遊んだものです.私が表から聴こえて来る喚声に合わせて『安保反対』と叫んだら,横にいた父が『安保賛成って言え』と(原文註:笑).」
──お父様である安倍晋太郎先生の政治観はどのようなものでしたか.
「父は政治指導者の座というものは争って取るよりは周りから推されて就くべきものだと考えていました.そのせいか結果的には総理になれませんでした.父はまた,外交は誠意を尽くして行なわなくてはならず,受け身でやっては駄目で,常に創造的に行なわなくてはならないと考えていましたね」
──父・安倍晋太郎氏は衆議院選挙で1度落選なさっていますが,その姿を近くで見守って,どんなお気持ちでしたか.
「政治の非情さを知りましたね.当時私は小学校2年生でした.父は3回目の選挙で落選し,3年間議員ではありませんでした.その時に父が国会復帰の為に渾身の力を注いでいるのを見て,やはり政治家には闘志が無くてはと痛感しました」

「誠意を尽くせば動かせないものは無い」

──政治家としての座右の銘はありますか.
「私の故郷は山口県,徳川時代は長州藩でしたが,明治維新の志士たちを大勢育てた吉田松陰という先生がおられます.この方が引用した孟子の言葉を胸に刻んでいます.『誠意を尽くせば動かせないものはない(至誠而不動者未之有也)』という言葉です」
──安倍幹事長代理がお生まれになった山口県油谷町(ゆやちょう)という所は,韓半島に最も近い場所です.或いはご先祖が韓半島から来た渡来人なのでは.
「山口地域は昔から韓半島(ママ)との交流が盛んでした.ですからそこの人々は血が混じり合っているでしょうね」
──最近,島根の出雲神社(ママ)を訪ねたのですが,「日本書紀」によれば,出雲神社に祀られているスサノオノミコトという神様は もともと新羅に住んでいて,船を作って家来たちを引き連れてここにやって来たということになっています.
 鬱陵島・独島は慶尚北道,つまり新羅の地域の人々ですが(ママ),島根の人々が故郷の人々に対して問題を起こしているようにも思えました.古代史をありのままに見れば,韓国と日本の人々は血縁的にも人種的にも最も近いことが分かります.この事実を両国の人々が認めるようになれば,今日の諸問題を見る目も変わって来るのではないかという気がしました.
「両国間には様々な事がありました.韓国を植民地として統治したことについて,私たちは謙虚に反省していますが,いつもこの時代についてばかり話題にするのは日韓(ママ)両国にとって不幸な事だと思います」

「日本の右傾化はイメージ捜査操作(訳註:2005/10/07 誤字訂正)の結果」

──韓米関係が悪化し,(訳註:米韓両国の)仲が遠ざかっているため,日本が韓国を軽く見ているのではないかという意見があります.
「韓米(ママ)関係が悪化すれば日韓関係は悪化しないという説もありましたが,本当かどうかは分かりません.日本には盧武鉉政権が左傾化しているという説もあり,そのため同盟国であるアメリカに対してひどい態度を取るのだとか,政権に対する支持率が落ちると これを挽回する為に反日に走るのだとも言われています.
 私としては本当にそうなのかどうかは分かりませんが,日本は日韓関係を決して軽く見てはいません.1日に約1万人が交流しています.経済的には勿論競争関係でもあります.いま韓国を見る目は,10年前の韓国に対する日本の見方とは大きく変わっています」
──日本の右派が「正常国家化」と呼んでいる,憲法改正や自衛隊の地位明示の問題について,韓国の多くのメディアは日本の右傾化と表現しています.
「韓国の記者たちが『安倍晋三が日本の右傾化の先頭に立っている』と言うので,『ただ右傾化と言われても困るから,具体的な政策を聞いてどこが間違っているのか指摘してくれ』と言ったことがあります.
 これまでの60年間,安保政策の分野では きちんとした論議が出て来ませんでした.そうした論議が出て来れば右翼的だと批判が噴き出しました.日本の自衛隊予算は年間約5兆円です.私たちはこの予算を増やさず,寧ろ1%減らしました.
 自衛隊については,法的にはっきりさせておかないといけないと思っています.法の支配の原則に照らして,当たり前すぎるほど当たり前の話です.憲法の自衛隊に関する規定に矛盾があるとするなら,これを正そうということです.
 自衛隊は軍隊ではないということになっていますが,もしも交戦状態が発生して自衛隊員が捕虜になった場合には,軍隊でないために殺害されることもあり得ます.こうした場合に備えて,(原文註:憲法改正により)法的にはっきりさせておかないといけないというのが私の考えです.
 イメージ操作によって右傾化呼ばわりしている点がたくさんあります.何が右傾化なのか,実体が無いんです.左翼の目で見るともう何から何まで右傾化なんでしょうね」
──長時間有難うございました.

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by xrxkx | 2005-04-20 15:42 | 韓国の親日派狩り