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03/30 増子質疑・所感
 竹島が日本領であることを学習指導要領に明示すべしとする意見に町村外相が「慎重な姿勢」を見せたとする朝日報道について 04/01の記事で取り上げましたが,件の町村発言が増子輝彦議員(民主)の質疑に答えたものであることを,同記事にお寄せ頂いたコメントで知りました.

 この増子なる議員については 昨年11/16にも取り上げたことがあります昨年11/12の やはり衆院外務委に於ける町村外相と増子氏との遣り取りをテキストに起こしていらっしゃる方がいらっしゃいますので そちらをお読みになるか,またはこちらで直接お聴き下さい.町村外相に対して増子議員がしきりに誘導尋問を仕掛けている様子が一目でお分かりになるでしょう.
 そのくせ,「日本の対中・対韓外交の今後のあり方はこうであるべきだ」というような具体的な指針というものを,増子氏本人は一言も言っていないわけです.初めから外相を窮地に立たせることだけを目的としているように見える.外相の発言が支那や朝鮮の謂う所の「妄言」側に傾くにせよ,あるいは逆に河野洋平チックな方向にボロを出すにせよ,どちらに転んでも損は無いとでも思っているように見える.

 昨年11/16にも書いたように,この増子氏,11/12の衆院外務委での質疑の最中にも盛んに
「英霊に対する気持ちは私も町村外相と多くを共有している」
だの
「私も靖国には参拝している」
だのと繰り返しているのですが,そういう議員が一方で「日中関係の妨げになるから せめて首相の任期中は参拝を控えるべきではないか」などと言い出すこと自体がどうかしている.首相だからこそ 他国に四の五の言われて参拝を取り止めるようなことはしてはならないのでしょうに.
 脱線しますが,昨年11/12と言えば あの支那の原潜による領海侵犯事件があったばかり(原潜が日本のADIZを抜け,支那のものと断定された当日)です.中共に対して断乎たる抗議を行なうよう求めるなら分かりますが,そういう折も折,この増子氏と来たら
「日中間で首脳の相互訪問が途絶えている最大の原因は何か」
などという話に延々と時間を費やし,挙句は外相からも首相が靖國参拝を思いとどまるよう諌めろなどと言い出す始末.
 上で触れた誘導尋問の執拗さも さることながら,こういう《味方のふりをして背中から撃つ》ような真似がイヤラシイ.03/30の質疑でも同様で,「植民地統治とか,戦争被害の責任をどういうふうに清算して行くのかという問題」なる発言(14'50")やら,日本の常任理事国入りをいわば人質に取る形で,例によって中共の意に沿うよう首相の靖國参拝をやめさせろと迫る最後の質問(33'51")などは,謂わば増子氏の真骨頂(?)でしょう.いっそ共産・社民の左巻きの人々のように真っ向から参拝全般に反対していたほうが まだしも可愛げがあります.

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 で,町村外相もそうした誘導尋問を何とかかわそうとしている様子が見られるのですが,そこで「日中間の首脳の相互訪問が途絶えている最大の原因」が「靖國参拝にある」と言ってしまったのは 些か軽率でした.それが共同通信のような媚中メディアに掛かれば こう料理されてしまいます.昨年11/12に引用した共同の記事を ここでもう一度掲載しておきましょう.
●首相靖国参拝が阻害要因 日中関係で外相 ─共同 11/12
 町村信孝外相は12日午前の衆院外務委員会で、日中両国首脳の相互訪問ができない現状について「最大原因は小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題にあるのは明確だ」と述べた。町村外相が首相の靖国神社参拝について日中関係の「阻害要因」との認識を示したのは極めて異例だ。
 同時に外相は「参拝を続けるから日中関係はもう駄目だとはならないし、ならないために外相、外務省の仕事がある」と述べ、相互訪問再開に努力する考えを強調。今月下旬にチリで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を利用して、首相と胡錦濤国家主席が会談できるよう調整しているとも述べた。

 「首脳の相互訪問が出来ない最大原因」と「日中関係の阻害要因」とでは随分意味合いが異なりますが,こういうトリミング・曲解を許さない為にも,
「首脳の相互訪問が出来ない最大原因は何だと思うか」
と訊かれたら
「首相の靖國参拝に対し中国側が異議を唱えていることだ」
とまでハッキリ言っておくべきでした.現に03/30の衆院外務委に於ける質疑を見ても分かるように,増子氏の側はあれですっかり言質を取ったつもりでいるらしい(18'33" および最後の 33'51" の発言を参照).
 彼が外相に就任なさった直後にも 靖國参拝をめぐる支那の言い掛かりに 彼が所謂「死生観論議」で応じようとすることについて 少々キツイことを書きましたが,むざむざ支那や朝鮮に干渉の口実を与えかねない ああした話の進め方は 是非とも避けて頂きたいものだと今も思います.「参拝は日本国内の問題」「所謂『A級戦犯』については既に名誉回復済み」で充分の筈です.

 ともあれ,件の03/30の質疑(特に30'16" の答弁の前後)を読んでみれば,町村外相は学習指導要領に於ける竹島明記に対して「慎重な姿勢」を示したのではなく,中山発言の趣旨について外相たる自分の口からコメントすることに慎重であろうとしているだけだということが よく分かると思うのです.謂わば文部科学省のシマである学習指導要領云々について,何とか外相に──可否いずれにしても言わずもがなの──コメントを出させようと盛んに仕掛けているのは 増子議員であることは明白でしょう.
 町村外相のほうも 増子氏のこうしたハメ手にはもう慣れているようで,03/30の答弁は11/12のそれに比べて《かわし方》が数段スマートになっていると感じるのですが,それでも 学習指導要領云々なんぞは「既に文相の任を離れて久しいし,中山文科相なりの考えがあっての発言だろうから,外相としてコメントは差し控えたい」くらいで軽くいなしておけば充分だったと思うのですが.

 老父ダカーはいまどきの大臣には珍しく品の良いオジサマで,私は個人的には結構好きなタイプなのですが,どうも生真面目すぎるのか,ハラハラさせられる場面が多いのが困ります.無論 私とて何も○マコーみたいになれとは言いませんが….
by xrxkx | 2005-04-03 12:12 | 時事ネタ一般