【教科書】町村外相を叱る
 昨日読んで気になった記事から.何しろ朝日ですので真偽のほどは定かでありませんが….
指導要領への竹島明記に慎重姿勢 町村外相 ─朝日 03/31
 中山文科相が29日の国会答弁で、竹島や尖閣諸島を中学校の学習指導要領で「我が国の領域」と明示すべきだとの考えを示したことについて、町村外相は30日、明記に慎重な姿勢を示した。
 町村外相は衆院外務委員会で「尖閣(が日本の領土であること)は議論の余地がないので、あえて学習指導要領で触れる必要はない」と述べた。竹島を記すことについては「筋論として否定するのではないが、領土問題など国家主権にかかわる問題は教科書に触れなさいと指導要領に書いてあったと思う。それを教科書作製者がどう受け止めて書くかという問題ではないか」と語った。
 この発言についての朝日以外の記事も読んでみたいところなのですが,見つかりません.町村外相が実際に記事どおりの発言を行なったのかどうか かなりアヤシイのですが,以下の話は 朝日の記事が嘘八百でないことを前提条件として書いています.予めご了承下さい.

 朝日の謂う所の「町村発言」には,少なくとも以下の2つの重大な誤りがあります.

その1)
「領土問題など国家主権にかかわる問題は教科書に触れなさいと指導要領に書いてあったと思う。それを教科書作製者がどう受け止めて書くかという問題ではないか」
 文部科学省のwebサイトに「新学習指導要領」が載っていますが,その中の「中学校学習指導要領-第2章:各教科-第2節:社会」には こうあります.
 まず「公民的分野」の内容から.
(3) 現代の民主政治とこれからの社会
  :
ウ 世界平和と人類の福祉の増大
世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力が大切であることを認識させる。その際,日本国憲法の平和主義について理解を深め,我が国の安全と防衛の問題について考えさせるとともに,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てる。また,人類の福祉の増大を図り,よりよい社会を築いていくために解決すべき課題として,地球環境,資源・エネルギー問題などについて考えさせる。
で,その内容をどう取り扱えと定めているかというと,
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
  :
ウについては,次のとおり取り扱うものとすること。
  :
(イ) 「世界平和の実現」については,領土(領海,領空を含む),国家主権,主権の相互尊重,国際連合の働きなど基本的な事項を踏まえて理解させるように留意すること。なお,国際連合などを取り上げる際には,主要な組織とその働きなどの基本的な理解にとどめること。
このように,「領土」にせよ「国家主権」にせよ,「世界平和の実現」の重要さを理解する上で踏まえるべき「基本的な事項」に挙げられているのです.上の朝日の記事に謂う所の「町村発言」とは正反対です.当然でしょう.

 ついでに「歴史的分野」に関しても
イの「明治維新」については,複雑な国際情勢の中で独立を保ち,近代国家を形成していった政府や人々の努力に気付かせるようにすること。「新政府の諸改革」については,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定を扱うこと。
ここにも「領土」が登場します.領土の画定は 近代的な意味での──所謂「中華」主義のもとでの冊封体制によるのではない──主権国家として存立する上で 必要不可欠なプロセスである以上,これまた当然のことでしょう.
 どの地域が いつから どういう手順を経て 自国の領土となったのか,逆に自国の領土でなくなったのか,これについて児童・生徒に最低限の理解を持たせないままで「○○は我が国固有の領土です」をお題目のように唱えてみたところで,一体どれだけの説得力があるか.

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その2)
「尖閣(が日本の領土であること)は議論の余地がないので、あえて学習指導要領で触れる必要はない」
 どうやら「議論の余地が無い」とは思っていないらしい国が 現にあるではありませんか.そうした国の存在が「我が国の安全と防衛」を脅かし,「国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力」にとって著しい障碍になっているではありませんか.

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 昨年11月以来の中山文科相の教科書発言に関しては,私はこれを全面的に支持しています.「従軍慰安婦や強制連行などの表現が減ったのは良かった」発言に関しても,全くその通りなのであって 謝る必要など一切無かったのは,昨年11/30にも書いた通りです.
 朝鮮日報は03/30付で『アジアの信頼を得られない日本は「政治の小物」だ』なる社説を,また中央日報は同じく03/30付で『日本文科相は強硬で一貫する気か』なる社説を掲げ,他国への礼儀も弁えぬ あからさまな内政干渉を繰り返しています.殊に中央日報などは「中山文科相を閣僚から外せ」とまで示唆しています.
 朝鮮のみならず支那からも 教科書絡みの内政干渉は後を絶ちません.それどころかこうした他国の容喙は今後一層強化されるであろうことは容易に想像し得るでしょう.
 そんな中,日本国内で,しかも閣僚級の人物が,それどころか自ら文相まで務めた方が こういう発言で中山文科相の足を引っ張るのは,愚の骨頂としか言いようがありません.

 外務省としては,中共に対しては4月のバンドン会議での首脳会談を打診していたり,あるいは日韓首脳会談が取り消しになることを懸念していたり,といった外交的な動機があるのは 分からなくもありません.
 が,そうした外交上の思惑が教育のあり方に反映される等は本末転倒であると同時に外務省の越権行為でもあります.もしも,国民として当然理解しているべき領土の概念および領土係争の実態について 子供たちにきちんと教えることが 支那や朝鮮などとの外交上の懸念材料になるというのでしたら,教育ではなく外交のあり方のほうを再検討すべきです.

 外交とは砲弾を用いない戦争です.この国のあらゆる権益と尊厳を守るべく戦うのが外務官僚および外相の仕事です.さる03/17にも韓国の対日政策をめぐっての町村外相の談話の要旨というのが報道されていましたが,
 一、韓国国民の過去の歴史をめぐる心情について、重く受け止める。

 一、過去を直視し、反省すべきは反省しつつ、和解に基づいた未来志向的な日韓関係を発展させて行く強い決意を持っている。国交正常化40周年という重要な節目に、一層の交流と相互理解を進め、隣人としての信頼関係構築に最大限努力する。

 一、わが国はアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた歴史の事実を謙虚に受け止め、韓国国民の気持ちに深い理解と共感を持って臨む必要がある。互いに忍耐と寛容を持って、隣人として助け合う精神が重要だ。
など 日本の立場から言うべきことをきちんと言わぬまま相手側の言い分に唯々諾々と従うだけの発言の数々は,戦わずして白旗を掲げるに等しい.そこへ今回の報道です.朝日の謂う所の「町村発言」が万一本当なら,彼の外相としての資質を疑わざるを得ません.

( o ̄▽ ̄)ノ   もっとしっかりしてくれYO 老父ダカー
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by xrxkx | 2005-04-01 12:12 | 時事ネタ一般