韓昇助叩き・その後 (1)
 韓昇助氏が高麗大学名誉教授の座を退いて以来,日本語メディアには続報が殆ど上がって来ていないようですが,韓国では韓昇助叩きが相変わらずやみません.
 韓氏本人の周辺には その後目立った動きはありません.彼のwebサイト「賢明なる少数」は 昨日(03/09)今日も「サーバー点検中です」とのこと.例の「イナゴの群れ」の罵詈雑言コメントが殺到して対応し切れなくなったのか,あるいはDoS攻撃でも受けたのか知りませんが,事実上運営不能状態に追い込まれたらしい.
 目下の事態の進展具合をまとめると
  1. 与党・ウリ党議員らが 韓昇助氏を相手に損害賠償請求訴訟を起こす動きが本格化しそうだ
  2. 韓氏が共同代表を務めていた「自由市民連帯」なる団体が,韓氏除名の是非を巡って内部抗争を始めている
  3. 韓氏の「日帝礼讃」の是非云々を超え,一部では反共派と親北派との間の泥仕合の様相を呈しつつある
の3点に集約できそうです.時間の都合により3番については後で書きます.


【 1.損害賠償請求訴訟 】
 これについては,昨03/09の朝に上がって来たニュースで 次のようなのがありました:
宋栄吉「韓昇助氏相手に損害賠償請求訴訟」 ─聯合ニュース 03/09 10:18
(ソウル=聯合ニュース) コ・ヒョンギュ記者

 ヨルリン・ウリ党のソン・ヨンギル(宋栄吉)議員は9日,日帝の韓半島(訳註:朝鮮半島のこと)植民地支配を美化して波紋を起こしたハン・スンジョ(韓昇助)前・高麗大名誉教授に対し,国家と国民の名誉を毀損した責任を問い,損害賠償請求訴訟を起こすことにした.
 宋議員は聯合ニュースとの電話インタビューで「現在,日本の歴史教科書歪曲などを巡って対日感情が悪化しており,日本のこうした行いを正そうとする我が国民の努力が熾烈な中で韓氏が植民地支配を美化したのは利敵行為に等しい」として「法理的争点化の為に訴訟を起こすもの」と述べた.
 宋議員は「さる16代国会の折,日本の歴史教科書を歪曲した扶桑社に対し損害賠償請求訴訟を起こした前例がある」として,ウリ党のチェ・ジェチョン(崔載千)議員と共にそうした経験を生かして損害賠償請求訴訟を起こす為の法理検討を進行中」だと付け加えた.
 宋栄吉といえば,韓日議員連盟の「21世紀委員会」委員長を務めている人物.彼のwebサイトに関連文書が無いか探してみましたところ,03/09付の日記中で,
 崔載千議員と相談して,韓昇助・教授を相手とする損害賠償請求訴訟を準備することにした.私が16代国会当時,フショサ(ママ:「扶桑社」のこと)の歪曲歴史教科書の販売禁止・可処分訴訟を提起した際に準備した資料をもとに,法理構成を行なってみようと思う.韓昇助問題をこのままにはしておけないという考えである.
とだけ触れられています.
 これについては,以前ご紹介した世界日報の7日付の記事にあった通りですが,同じく7日付のオーマイニュースの記事の時点では「(訴訟が可能かどうかについては)今週中に結論を出す」としていたのに比べると,訴訟に踏み切る方向で話がやや具体化して来ているようです.
 ただ──本来こんなことは言うまでも無いことだと思うのですが──韓国の刑法第33章・名誉に関する罪(第307~312条)が定めるのは 当然ながら個人の名誉に関する罪であって,「国家や国民に対する名誉毀損」などというものは──仮にそんなものが存在するとしても──第33章で裁くのは無理でしょう.この議員らが韓昇助氏のどういった「罪状」を持ち出して来るかは,今後もう暫く様子を見る必要があります.


【 2.自由市民連帯内部の対立 】
 昨03/09早朝に上がって来ていたニュースですが,こんなのがありました:
自由市民連帯 イム・グヮンギュ代表,韓昇助除名に反対 ─ブレイクニュース 03/09 05:31
 同記事によると,このイム氏は韓昇助氏の除名に反対する理由を3つ挙げています.曰く,
  1. 自由市民連帯は 現在の憲法秩序すなわち自由民主体制を毀損・破壊しようとする勢力と闘争する団体であり,過去の歴史観を巡って闘争する団体ではない.
  2. 我々は共通の自由理念を中心とした多様な意見や主張を持つ市民団体および市民の連合体である.韓教授の意見が他の共同代表らの意見と対立するからといって,彼に共同代表職辞退を求めたり会員資格を剥奪しようとしたりすることには同意できない.
  3. 自由市民連帯メンバーの絶対多数は,韓教授の歴史紛争に於いて 論争によって勝つ自信と誠実さを持っているものと信じる.「韓教授が自由市民連帯メンバーらを汚染し,誤った影響を与えかねない」とする見解には同意できない.

 一方,同じ自由市民連帯内部で多数派を占めているらしい 除名賛成派の主張は
「指導部は(今回の韓氏の論文が)物議を醸したその場で 韓教授の共同代表職は勿論,会員資格をも剥奪すべきだった.だが指導部は『本人の真意を確かめた上で処理する』として態度を保留した」
「いかに自由民主国家とはいえ,法的にはともかく道徳的には,国や国民を圧迫した日帝の植民地支配を美化する自由まで保証されるべきだと主張することは出来ないのではないか」
というもの.かの国で謂う所の「言論の自由」がどういう性質のものであるかを端的に示す主張です.
 ところで,オーマイニュースの6日付記事「自由市民連帯 青年会員,『共同代表5名 同伴辞退』求める」によると,自由市民連帯の共同代表というのは
  • 韓昇助(高麗大名誉教授)←5日付で共同代表を辞任
  • イム・グヮンギュ(弁護士)
  • ソン・ジョンスク(前・保健社会部長官)
  • キム・ハンウン(自由経済委員会 委員長)
  • ハン・グヮンドク(予備役少将)
の5人いる(いた)ようです.で,もともと韓昇助氏の除名・会員資格剥奪を強硬に訴えていた中心人物は 最後の「ハン・グヮンドク予備役少将」氏であるらしく,自由市民連帯内部で韓昇助叩きに乗り出している一派が しばしば「少将派」なる呼び方をされたりしています.その後,若年層の会員らを中心に「指導部の対応は生ぬるい」として総辞職を求める方向に過激化した結果が どうやら上のニュースらしいのですが,果たして「少将」殿の運命や如何に.
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by xrxkx | 2005-03-10 09:57 | 韓国の親日派狩り