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この記事はフィクションのふりをしているだけであり,実在の某国首相とは あながち関係なくもありません.
 昨日 図書館に本を借りに行ったのですが,
探していた本)   太壽堂鼎 著,「領土帰属の国際法」,東信堂,1998
偶然見つけた本) 島伸一 編,「たのしい刑法」,弘文堂,1998
「たのしい刑法」というネーミングに やや惹かれるものが.続編として「たのしい防諜法」とか「たのしい改正油濁法」とかも上梓希望.

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● 日 首相「戦争する覚悟 必要」またも妄言 ─西瓜日報 02/15
 北韓(訳註:北朝鮮のこと)がさる10日 核兵器保有声明を公式に発表したことと関連して,日本の小泉純一郎首相が「日本が北韓に対して経済制裁発動に乗り出す場合,戦争をする覚悟が必要」だという妄言を吐いていたことが明らかになり,日本ネティズンらの憤りが高まっている.
 日本の読売新聞が12日伝えたところによると,小泉首相は札幌市で自民党国会議員らと食事を共にする席で 対北経済制裁に言及,「制裁の効果があるのは,日本が絶対的に優位な場合に限られる」として「経済制裁を行なう場合,戦争も辞さない程度の覚悟が必要だ」と発言したことが明らかになった.
 小泉首相はまた今回の北核事態解決に対し「国際協調の枠組みの中でやるしかない」と付け加えたと,読売新聞は伝えた.
 これに対し,対北強硬姿勢を見せる日本の一部右翼ネティズンらは,小泉首相の対北外交路線を柔弱だと非難しながら不満を噴出させている.
 日本の代表的な右翼サイトの一つである「酔夢ing v○ice」は 12日,「その程度の覚悟も無しに,これまでどうやって拉致被害者の奪還と全容解明に対処して来たのか」として,小泉首相に対し「拉致というテロが戦争に等しいものだという認識すら持てない人は即刻辞任すべき」だと憤りを顕わにしながら,日本の6者協議脱退,また北-日国交正常化交渉に先立つ日本の核保有にすら言及した.
 また,日本人拉致問題に関連して これまで一貫して対北経済制裁発動を主張して来た「l○g」は 13日,小泉首相の発言に対し「彼が拉致問題の本質はおろか,外交そのものの本質すら全く理解していないことを如実に示すもの」と批判しながら,北韓による日本人拉致事件に対しても「1人の独裁者の命令で他国の領土内に不法侵入し,罪の無い国民をさらって数十年も監禁する明白な侵略行為」だとして「我々は既に宣戦布告を受けたに等しく,経済制裁どころか直ちに自衛権を発動して拉致被害者を救出するのが当然」だと指摘した.
 一方,これまで数多くの韓国誹謗を行って来た悪質サイトとして知られる「♪○いか泥棒」は 12日,小泉首相の妄言には言及していないものの,「韓国や中国が6者協議の席で日本人拉致問題を議論するのに消極的」だと非難しながら,「日本は6者協議依存姿勢を捨てて対北武力制裁に乗り出し,拉致被害者救出作戦を実行すべき」だと主張する一方,「武力行使の障碍となり得る現在の日本憲法を一日も早く改正する必要がある」と訴えた.
 さて,インチキニュース(ウリナラ風味)はこれくらいにして.

 誰にも増して真っ先にその覚悟が必要なのは 他ならぬ首相自身だと思うのですがね.これでは「経済制裁発動は宣戦布告と見做す」と金正日に言われて あっさりと降参してしまったに等しい.
 何故戦わずに降参するか.降参せざるを得ない弱みが小泉首相の側にあるからでしょう.2002年の第1回訪朝の際に既に日朝国交「正常」化が既定路線になっていたのは 周知の事実ですが,その際に 田中均あたりが書いた筋書きに まんまと乗せられて,北朝鮮側と何か約束事でも取り交わしてしまった手前,退くに退けなくなっているということではないか.

 軍事力というものが国防の手段である以上に外交上の道具であることを,小泉首相をはじめ当世の日本の政治家の多くは分かっていないか,分からないふりをしたがっているように見えます.他国の軍事力──あるかどうかも分からない核兵器だの,ちゃんと標的に当たるのかどうかも疑わしいミサイルだの,まともに姿を隠すことも出来ないようなポンコツの原潜だの──には そのつど一々戦々兢々としながら,必要ならそれに対抗し得るだけの軍事力を自分も持とうという発想を殊更避けたがる.
 ついでに言うと,軍事力の面に限らず 経済力の面でもそうで,相手に「貰って当然」という態度で交渉に臨まれるようでは外交上の武器にならない.対北食糧支援だの対中ODAなどはその典型です.
 どうして彼らがこうも《丸腰で交渉に臨む》のが好きなのか,私などにはトンと合点が行きません.何だか,「頑固に護憲」とか何とか言っていた何処かの売国政党に負けず劣らず,彼ら与党人士もまた「平和」憲法の理念とやらに五臓六腑を侵されているようにすら見えなくもない.一方で米軍再編に合わせて自衛隊をアメリカの世界戦略の駒の一つに組み入れてしまうことには あれだけ熱心でいながら,他方で肝心な自国民の生命保護の為に自衛隊を使うことには これほどまでに臆病でいられる,こうした人物のもとで改憲作業が進められているというのは,はっきり言って悪夢です.

 憲法ついでに触れておくと,憲法改正をはじめ諸々の法整備の面でも,今までのやり方があまりに悠長だったことが 今回のような騒ぎが持ち上がるたびに露呈します.が,何しろ自衛隊のイラク派遣を決める時にあれだけ横車を押した小泉首相のことです.憲法にまで手を入れている時間的余裕が無いと言うのなら 今回もその気さえあれば
「自衛隊は戦争をしに行くんじゃありません.拉致被害者を助けに行くんです」
くらいのことは言ってみせたらよい.そういうなし崩し的な政策遂行は彼の得意中の得意でしょうに.
 断っておきますが,ここで「やろうにもアメリカがウンと言わないから」などというのは理由にもなりません.国民が自国の領土内で安全に生活する最低限の権利をすら,日本は既に他国に脅かされている.これに対して日本が自衛権を行使しようという段になって知らぬ顔を決め込むような「同盟国」が何処にあるか.まともな外交感覚を備えた宰相なら,アメリカには有無を言わさず,同盟国の義務として日本の対北武力行使に付き合わせなくてはなりません.アメリカに行動を迫るネタなら幾らでもある筈.イラク派遣中の自衛隊の引き揚げなどは その最たるものでしょうし,「思いやり予算」カットでもよい.辺野古の代替ヘリポート建設凍結くらいやってもよいかも.

 あの韓国ですらただ闇雲に外交を通じた問題解決を主張しているわけではなく,中にはカダフィを引っ張り出して来て金正日を説得させようなどといった動きも見せている由.韓国政府の行き過ぎた対北擁護の良し悪しは別として,彼らは彼らなりに自分が主体的に動くことによる局面打開を図っています.そういう姿勢が日本外交には全く見えない.

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 ニセ遺骨騒ぎの折にも同じ事を書いた記憶がありますが,「北朝鮮の真意がどこにあるか」などというのは二の次の問題なのです.重要なのは「どうすれば日本側の要求を北朝鮮に呑ませることが出来るか」を考えることなのであって,相手がカードをオープンにするまで ただ「対話と圧力」なるお題目を繰り返して待っていたのでは話になりません.そういう受け身の姿勢が一番良くない.それでは「圧力」が活きて来ない.
 今回の核保有宣言にしても そうです.「北朝鮮が本当に核を持ったのか」とか「まだミサイルに積む技術は持っていないだろう」とかいったことは 国防の専門家がひっそり検討すればよい事で,外交に携わる人々がそれに振り回されていては困る.ましてや「北朝鮮は対話の窓口を完全に閉ざしたわけではない」などは論外でしょう.重要なのは
  1. 北朝鮮が とにもかくにも核保有を自ら公式に認めたこと
  2. 「6者協議はもう無い」と言い切ったこと
という,形に表れている事実の方であり,それを対北政策の進行にどう活かすかを考えることである筈です.
 重要なのは,02/14にも「incentives」の件でちょっとだけ触れたような「見返り」論をきっぱり排除することです.
「どれだけの見返りを用意すれば相手は交渉に応じるか」
といった甘い取り組み方では,核や拉致が北朝鮮にとって《再利用可能な外交カード》であり得ることを わざわざ北に教えてやるようなものです.犯罪者との取り引きなどはあり得ません.北朝鮮にとっての「incentives」とは「見返り」ではなく「核開発放棄や拉致被害者解放に応じないことが彼らにとってどれだけ高く付くかを 身を以て知ること」であるべきです.
by xrxkx | 2005-02-16 13:23 | 時事ネタ一般