【台湾建国への道】3. 世界を味方に付けるには
 まず,台湾海峡の安全保障に明確な危機感を持っているのは 当事国たる台湾と支那を除けば 日本とアメリカだけだと見ておくべきでしょう.(韓国は間違いなく中共の鼻息を窺う方向に転ぶでしょう.アメリカから軍事面での協力を求められても初めは言を左右にし,不介入を決め込もうとするでしょう)
 当然といえば当然ですが,ヨーロッパ諸国の場合,自分たちをアジア太平洋地域の安全保障に対する直接の当事国と見る意識は持っていないでしょう.ソ連のように東欧に大規模な兵力を展開していた国とは異なり,中共の拡張主義に対しては彼らの警戒感は薄い.もっとはっきり言ってしまえば,台湾海峡がどれだけ軍事的に緊張しようと,彼らにとっては所詮他人事だと考えている.
 やや脱線.「中国はもはや社会主義国とは呼べない」などと屡々やや安直に言われますが,あの体制が社会主義と呼べるかどうかは さておき,中共が資本主義国家の弱みというもの──市場拡大という魅力には勝てないという──を熟知し 外交的に利用しているという意味に於ける限り,中共ほど「革命的」な国も珍しいでしょう.
 何よりヨーロッパ諸国にこうした考え方を捨てさせなくてはなりません.それには,台湾は「中共が台湾に武力攻撃を仕掛けた場合には 直ちに反撃することを躊躇しない」という確固たる意思表示をして見せておく必要があります.「中共が武力行使に出た場合には 北京も上海も外国資本が安心して商売の出来る場所ではなくなる」という基本認識を,特にヨーロッパ人には持たせなくてはなりません.前回触れた「中共からの攻撃を未然に防ぐ為に台湾は核武装すべきだ」というのは,そういうことです.
 その上でヨーロッパ諸国を味方に付ける(少なくとも中共の肩を持たせない)為には,何と言っても人権問題を武器にするのが最も効果が大きいでしょう.すなわち,
  1. 民主化運動を筆頭とする国内言論に対する中共当局の締め付けが どれほどひどいか.
  2. 民族問題.支那に於いて少数民族の自決権が如何に甚だしく侵害されているか.特にチベット・ウイグルなどに関しては,中共が彼らの土地に対して行なった侵略行為が如何に不法・非人道的であったか.
これらの点を,台湾は全世界に向けて大々的に宣伝しなくてはなりません.
 同時に,支那の民主化運動家に対する人的・物的支援および身柄の保護を積極的に行なう必要があります.「いくら豊かになろうと支那の人権状況が改善されることはあり得ない」ということを,全世界に向けて強く印象付ける必要があります.
 また民族問題については,「国内が民主化されただけでは漢人の少数民族に対する優位は改まることは無い」という点を強く印象付けておくべきでしょう(自由世界の旗手を以て任じるアメリカにも かつて奴隷制度があったように,民主化が直ちにマイノリティの権利保障をもたらすわけではありません).
 これら2つの点に於いて中共が問題を抱えたままでいることは,「漢人社会で唯一の民主化の成功例」としての台湾──実際に台湾が大陸の民主化のモデルケースになり得るかどうかについては,私自身は少々疑わしいと思うが,それはここではどうでもよい──の 国際社会に於ける地位を上昇させると同時に,逆に中共を外交面で窮地に立たせることに大いに役立つでしょう.

 差し当たり台湾にとって最も望ましいのは,今後数年以内に大陸で「6・4天安門事件の再来」を誘発することです.
 以前 対北経済制裁について書いたときに 何度か言及しましたが,アメリカで北朝鮮人権法が議会を通過したことは,実は北朝鮮に対する以上に中共に対する脅威になる可能性が高い.さすがに北朝鮮のように餓死者を出すほど「嘆かわしい人権状況」にまで陥ってはいないものの,上述のように 支那が最低限の基本的人権すら保障されない社会であることに変わりは無い.
 西側諸国にしても 支那への経済進出に気を取られるあまり,中共の抱えるこうした諸問題については「所詮他人事」として深入りを避けているのが実際のところでしょうが,これでアメリカが中共に対しても北朝鮮と同様の人権法制定に向けて行動を起こそうものなら,西側諸国は一斉に対中経済制裁に出ざるを得なくなるでしょう.これが実は非常に重要な事で,「どこか一国だけが抜け駆け」或いは逆に「どこか一国だけが支那の市場から締め出される」といった形にならないよう留意しておかないといけない.
 1989年の「6・4」の時のような,「日本が率先して制裁解除に回る」といった事態を避けることが重要です.この点,日台両国にとって幸いなことに,現在日本では橋本派など媚中派が発言力を弱めつつあります.こうした追い風を台湾は巧妙に利用しなくてはなりません.
 もともと支那の経済成長などは いわば点滴を打ちながらウェイトトレーニングをやっているに等しい.外国資本が一斉に支那から撤退を始めた時点で,中共は対外武力行使どころではなくなります.中共が自力で経済を切り回せるまで回復しないうちに,台湾は粛々と事を決しなくてはなりません.

 また,ウイグルやチベット等で反中独立闘争が本格化するのを台湾が黙って待っていてはなりません.むしろ台湾が先頭に立って彼らの闘争を支援・指導する必要があります.第一,歴史上一度も中共の実効支配を受けたことの無い,既に事実上の独立主権国家を営んでいる台湾が 真っ先に「支那離れ」しなかったら,中共の制圧下にあるウイグルやチベットが独力で立ち上がれるわけがありません.台湾は彼ら大陸の少数民族に資金面・物資面での援助を惜しんではなりません.あとは支那人同士の間で争わせればよい.
(ただ,これを表立って行なうべきか,隠密裏に行なうべきかについては 当世流行りの「テロとの戦い」なるお題目との兼ね合いがありますので,別途議論・検討があって然るべきでしょうが.)

 一つだけ付け加えておくと,台湾自身にとっては 中共の侵攻などよりも むしろ「現在支那に進出している台湾企業の資産をどうやって保護するか」のほうが遥かに頭の痛い問題でしょう.これについては「今のうちに別の国に移しておけ」に尽きるように思えます.ここが手付かずのままでは中共からの武力攻撃に対するtoleranceは確保できません.

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 最後に,あまり根性論めいたことは言いたくないのですが,結びに代えて.
 軍事的もしくは経済的なリスクを云々する以前に,問題は「台湾人がどこまで本気で戦えるか」に掛かっています.仮令100年戦争になろうとも,いざとなったら「台湾亡命政府」を作ってでも,自らの主権と尊厳にかけて 反民主主義・覇権主義・拡張主義と戦い抜く覚悟が台湾人にあるかということです.むろん,同じ問いが直ちに私たち日本人自身に跳ね返って来ることを承知の上で 私は敢えて言っています.
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by xrxkx | 2005-01-13 21:48 | 台湾建国によせて