【台湾建国への道】1. 台湾の拠って立つべき位置
 前から書こう書こうと思ってなかなか書けずにいたお話.昨01/09に読んだ「娘通信♪」さんの記事にあった いわば「2008年問題(?)」への考察に 些か触発されて筆を執ったは良いものの,書き出したらやたらと長くなってしまいました.1回では「建国のタイミング論」まで行けそうにありません.
 取り敢えず今回は《台湾が新生国家として国際社会に参与して行く上で取るべき基本的な立場》についておさらいしておきます.従って今回はあくまで原則論です.


◇ 国際社会の扉を叩く前に ◇

 まず,台湾建国の大義名分の問題,および台湾建国が諸外国の外交的利害に及ぼし得る影響という点について,諸外国に十分なアピールが必要です.具体的には
台湾建国は「中華民国か,台湾共和国か」といった台湾の国家としてのアイデンティティの問題であり 台湾の国内問題なのであって,この問題が台湾と諸外国との(および諸外国と中共との)外交・通商・安全保障などの面に影響を与えることは無い
という点を,台湾は国際社会に向けて力説する必要があります.
 当たり前の事ですが,「中台関係は ドイツやベトナムといった《冷戦によって生じた分断国家》の関係とは異なるのだ」ということ,また 台湾建国とは 既に亡霊に過ぎない「中華民国」に 晴れて歴史の1ページに納まってもらおうという話に過ぎないのだということを,諸外国に十分に理解させなくてはなりません.ここを曖昧にしたままでは,台湾に比べて遥かに大きな国際的発言力を持つ中共の「ひとつの中国論」という虚構の前に 台湾の存在はかき消されます.台湾が中共による統治に服すべき何らの国際法的理由をも持たないことについては,↓こちらをご参照あれ.
覚え書き:「台湾は中国の不可分の領土」という嘘 ─すいか 2004/12/21

 第二に,新生台湾は 自力で一党独裁体制から議会制民主主義体制への転換を成し遂げた 漢人社会では事実上唯一のケースであり,これは 将来起こり得る支那の民主化のモデルケースたり得るということ,また その為には台湾はあくまで中共統治の下での「一国両制」なるものの外部に無くてはならないという点を──特に香港との比較に於いて──強調すべきです.

 第三に,新生台湾は 隣国たる中華人民共和国との善隣友好関係を築く用意があり,諸外国に対しても「わが国との国交樹立に当たって中共と手を切れ」などという要求はしないことをも,しつこいほど繰り返し言明する必要があります.
 強いて変化があるとすれば,「台湾は中国の不可分の領土」という支那人の幻想を拒絶することを国際社会が求められる,というだけの話なのだということを 諸外国に理解させなくてはなりません.

 第四に,台湾は小国とはいえども国際社会の安定と反映のために寄与するに足る大きな人的・経済的資源を有しており,またその意思を持っていることを強調すべきです.先の津波の折支援の実績などは その良い見本になり得るでしょう.人口2300万の台湾が,人口13億の支那と肩を並べるだけの堂々たる貢献をしたのです.


◇ 台湾を取り巻く大国の思惑について ◇

 まず,世界唯一の超大国であり続けようとするアメリカの世界戦略の骨子の部分には,今後も変化が無いでしょう.その意味で,アメリカとしては,将来アメリカと比肩する超大国となる野心を隠そうとしない中共の行動を 指を咥えて見ていることは無いでしょう.
 但し,イラクをはじめとする中東の情勢安定が一段落するまでは,極東地域での本格的な軍事的・外交的攻勢には出られない.北朝鮮の核を巡る6者協議がそうであるように,アメリカの損にならない程度に中共に極東地域の安定維持のためのイニシアティブを委ねることで時間稼ぎを図ろうとするでしょう.
 一方で,中共の側も「2049年(建国100周年に当たる)を目標にアメリカ並みの大国を目指す」とはいうものの,現時点でアメリカと表立った対立は避ける方針に徹するでしょう.従って中共としても,台湾問題をきっかけに米中関係に波風は立てたくない.時節到来までは自国の経済力・軍事力・国際的発言力を養うことに専念したいはず.
 こうした両者の思惑の接点として,台湾海峡は米中双方にとって少なくとも北朝鮮と同程度の重要性を持っていると言えます.米中双方とも,現時点では表立った対立は控えたい.その為のいわば緩衝地帯として,皮肉なことに北朝鮮などはむしろ役に立っている側面がある.囲碁に喩えるなら,19世紀の列強から見た朝鮮がコウだったのに対し,金正日時代の北朝鮮(およびその代弁者に成り果てた韓国も含めてよいかも知れない)は米中両国から見ればセキです.

 ご存知のようにアメリカは,昨年10月のパウエル訪中の折にも「台湾独立に反対する」として,従来の「台湾独立を支持しない」に比べて一段と中共へのリップサービスに拍車を掛けている形でした.そのパウエルが辞任し,国務長官がライスに変わったことは,台湾にとっては小さからぬ意義を持つはず.勝負に出るなら第2期ブッシュ政権の存続中に出た方が良い.ブッシュの任期が満了し,その後民主党政権でも出来てしまえば,アメリカはますます対中穏健姿勢に傾く一方でしょう.
 とはいえ,共和党政権下であれ民主党政権下であれ,「台湾海峡情勢の現状を変えようとする中台双方いずれの一方的アプローチをも支持しない」というアメリカの方針の根幹に変わりは無いと思われます.アメリカは今後も当分の間は台湾海峡情勢の現状維持を望むでしょう.
 ただ,この「現状維持」というのが曲者で,これは中共の側から見れば「台湾の無血併呑」を意味します.拡大し続ける支那の市場規模,もしくは台湾からの対中投資の増加により,台湾が人民幣(人民元)経済圏に完全に埋没してしまえば,支那人から見れば「勝ったも同然」なわけです.

 台湾としては,自分たちの意思をよそに 米中双方のこうした狎れ合いまたは腹芸によって台湾の国際的地位の大勢が決するという状況に陥ることを 何としても避ける必要があります.あらゆる手を尽くして,常に米中関係に楔を打ち込み続けていなくてはならない.(あ,だから王毅あたりが李登輝前総統のことを「トラブルメーカー」とか何とか呼ぶわけか.なるほどw)

─つづく─
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by xrxkx | 2005-01-10 18:21 | 台湾建国によせて