【国歌・国旗に関する天皇発言】1.何故か朕はサヨクにモテモテ也
 今回はまた随分ときわどい発言をしましたね,彼も.まず事実関係のおさらいから.
強制でないことが望ましい 陛下、園遊会で異例の発言 ─excite (共同) 10/28
国旗・国歌「強制でないのが望ましい」天皇陛下が園遊会で ─朝日
天皇陛下:国旗国歌「強制でないこと望ましい」 園遊会で ─毎日
日の丸君が代 天皇、異例の発言 『強制望ましくない』 ─東京新聞

 上の記事によると,天皇と米長氏の遣り取りは
米 「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」
天 「やはり、強制になるということではないことが望ましい」
米 「もうもちろんそう、本当に素晴らしいお言葉をいただき、ありがとうございました」
(以上 朝日)
米 「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させるというのが私の仕事でございます」
天 「やはり、強制になるということでないことが望ましい」
米 「もちろんそれはそうです」
(以上 毎日)
米 「日本中の学校で国旗を揚げ国歌を斉唱させるのが私の仕事です」
天 「やはり強制になるということでないことが、望ましいですね」
米 「もちろんそうです。素晴らしいお言葉ありがとうございます」
(以上 東京新聞)
といった感じだったらしい.日経も採り上げていたけれど,タイトルからして「天皇陛下、地震被災の自治体にお見舞い・秋の園遊会」と こんな感じで,米長氏との遣り取りについては記事の最後のほうに
 また、東京都教育委員会の米長邦雄委員が「学校で国旗を揚げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と話すと、陛下は「やはり、強制になるということでないことが望ましいですね」などと述べられた。
とあるだけ.ちなみに読売・産経はお約束通りあっさりスルー.
 ついでにこの天皇発言について宮内庁の羽毛田信吾次長が慌てて出したコメントもメモっておくと
「陛下の趣旨は、自発的に掲げる、あるいは歌うということが好ましいと言われたのだと思います」「国旗・国歌法制定時の『強制しようとするものではない』との首相答弁に沿っており、政策や政治に踏み込んだものではない」
(以上 朝日)
「強制ということではなく、自発的というか、喜んで掲げる、歌うというありようが好ましいということを言われたのだと思う。具体的な行政施策の是非を述べられたものではない」
(以上 毎日)
「国旗や国歌については強制ではなく、自発的な喜んで掲げ歌うというありようが好ましいとの趣旨で語ったのであり、具体的に行政や施策の当否を述べたものではない」
(以上 東京新聞)
とあり,日経は宮内庁のコメントについてはノータッチ.以上,おさらい終わり.

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 さて,案に違わず左巻きの皆さんは今回の天皇発言に大喜び.
 都合の良い時だけ 大嫌いな天皇の権威を楯に取り,単なる政府見解のトレースに過ぎない天皇発言ひとつで鬼の首でもとったようにはしゃいでいる手合いの 何とまぁ多いこと.その辺の矛盾に気付かない頭の弱い子たちは論外だから置いておくとして,今回の左巻きの方々はどちらかというとそんなことは百も承知で騒いでいる確信犯が多いようですね.
いつものレッテル貼りの法則でいけば「天皇は左翼」ということになりそうだ。
反動勢力の奴等の狼狽ぶりが伝わってきて愉快です。(笑) 本文中にもあるとおり、米長といえば石原都政の暴走のお先棒を担ぐ大馬鹿者として有名ですが、園遊会に招かれ調子に乗って「日の丸・君が代」を持ち出したんでしょうね。本人は「ごくろうさま」という言葉を期待していたのでしょうが、ところが天皇から返ってきた言葉は「強制でないのが望ましい」だったわけです。あっはっは!ショックだったろうなぁ。愉快愉快!
 この手の方々が そもそもの問題点がどこにあるのかを分かっていらっしゃらないのか,あるいは意図的に今回の天皇発言を「東京都教育委の見解を天皇が批判したもの」と曲解しようとしているのかは何とも判断のしようがありませんが,それはさておき 上のように宮内庁が大慌てでコメントを出しているのは,あくまで日本国憲法第4条(天皇の権能の限界、国事行為の委任)第1項に定める
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。
に違反するかどうかの問題に於いてだった筈.もし違反しているとしたら これは天皇の越権行為であり憲法違反なのであって,左巻きの人々としては喜んでいる場合ではない筈なのですが,その辺のところまでは頭が働かないか,あるいは単に「立ってるものは親でも使え」的に今回の発言で天皇を御神輿に乗せてしまっているだけなのか.
(いずれにせよ,彼らのこうしたご都合主義的な頭の働き具合を見るにつけ,昨日書いた人形焼きのような皆さんとよく似ているなぁと思うのです.根は一緒なのですから当然でしょうが)

 大体,一自治体に過ぎない東京都の教育委に「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させる」権限などもとよりあるわけがないのですから,これは単なる米長氏のフライングに過ぎません.もし私が天皇だったとしても,やはり
「そういう諾否いずれとも返答しにくい事は言ってくれるな.こちらの立場というものも少しは考えてくれ」
と思うでしょうね.
 この一件については 既にいろんな方が書いていらっしゃいますが,「徒然なる数学な日々」さんのところでも こちらのエントリで簡潔にまとめています(太字は私が付けたもの).
この程度の発言で偉い騒ぎになってしまっているわけで、天皇の言葉を政治利用しようとする輩は右派にも左派にも多い。僕は前回のエントリでは、そのことを指摘していて東京都の方針が悪いとかは言ってない。政治利用されるから、天皇はうまくかわしてほしいと書いたのだ。
まさしくその通りで,例えば「天皇の言葉を政治利用しようとする輩」の左の横綱(右の横綱は今回は立場なしだ)が,さっそくこんな社説を掲げていました.
● 「国旗・国歌――園遊会での発言に思う」 ─朝日 2004/10/30
 米長さんの発言に対して天皇陛下があいまいな応答をすれば、そのこと自体が政治的に利用されかねない。陛下が政府見解を述べたことは、結果としてそれを防いだとも言えよう。
と,今回天皇の言葉を「政治的に利用」している勢力の筆頭が他ならぬ自分だという自覚が全然無いらしいのは相変わらず.それに輪を掛けてイタダケナイのが
 東京都の石原知事は「天皇陛下に靖国神社を参拝していただきたい」と述べている。靖国参拝は外交にも絡む大きな政治問題だ。とても賛成できない。宮内庁が慎重な姿勢を示したのは当然だ。
なる箇所.今回の天皇-米長対談には靖国のヤの字も出て来ないのを承知の上で こういう論理のすり替えをやってまで「周辺国への配慮」を謳わないと気が済まないらしい.
 今まで何度も書いて来ましたが,靖国参拝は単に何処ぞの独裁国家(& その尻尾の某半島)が「外交に絡む大きな政治問題」に仕立て上げたがっているだけです.そういう露骨な内政干渉を後押ししているような体たらくでは「人民日報日本語版」の誹りを免れないのは当然.

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 おまけ.朝日ごときに言われるまでもなく,今回の発言を「政治的に利用」したがっている手合いが国外にもいるであろうことは容易に想像がつくわけですが,昨29日の韓国日報に こんな記事がありました.
● 日 天皇「君が代斉唱義務化反対」 ─韓国日報 10/29 (原文
「教師・生徒への強要 望ましくない」

 明仁・日本天皇が28日,生徒らに日本国旗・日の丸に敬意を表し 国歌・君が代を斉唱するよう義務付けるのは「望ましくない」と述べた.
 日本天皇が国旗と国歌についてこのように言及するのは異例の事で,日本軍国主義の過去と関連して論争が起きるものと思われる.
 消息筋の伝えたところによると,天皇は自らが催したパーティに参席した来客らとの対話中「教師や生徒らに日の丸の前で君が代を歌うよう強制するのは望ましくない」と述べた
 東京都教育委は昨年10月,障害者学校を含む都立学校が日の丸を掲揚し,入学式・卒業式に君が代を歌うこととする命令を下し,命令に従わない人々は罰則を受けることもあると発表した.
 これに伴い今年初頭,これらの学校の卒業式・入学式で君が代が流れた時に起立しなかった教職員245名が「戒告」の懲戒処分を受けており,懲戒を受けた教職員らは起立の義務が無いことを確認するよう求める訴訟を行なっている.
 東京都教育委はこれまで,こうした命令が憲法に保障された思想と良心の自由を侵害しかねないとする抗議を教師や父兄・市民らから受けて来た.
 あらら? 米長氏は何処へ? (笑)
 おかげで天皇発言と東京都教育委との繋がりが読者に分かりにくく,まるで天皇が何の脈絡もなしに自分から国旗・国歌の話題を持ち出したような書き方になっています.意訳しすぎだ,ウリ式翻訳(笑).



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◇ 朝日の社説 控え ◇

国旗・国歌――園遊会での発言に思う ─朝日 社説 2004/10/30
 園遊会は、天皇、皇后両陛下が東京・赤坂御苑に政府や国会代表、各界の功労者を招いて開かれる催しである。

 戦前は観桜会、観菊会と呼ばれていた。戦後、名を変えて復活し、両陛下が春と秋の2回、親しく招待者の労をねぎらう場となっている。

 その園遊会の席上、棋士で東京都教育委員の米長邦雄さんが「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と話した。天皇陛下は「やはり、強制になるということではないことが望ましい」と述べた。

 このやりとりは新聞やテレビで報道された。翌日の閣議後の記者会見でも閣僚の意見や感想が相次いだ。

 話題となった一因は、国旗・国歌問題で天皇陛下ご自身が発言したことがきわめて異例だからだろう。しかし、その内容は政府の見解の通りだった。

 国旗・国歌法が99年に成立したとき、当時の小渕首相は「児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではない」と国会答弁した。当時の野中官房長官も「強制的に行われるんじゃなく、それが自然に哲学的にはぐくまれていく努力が必要」と答えている。

 宮内庁は陛下の発言について「政策や政治に踏み込んだものではない」と説明した。憲法は天皇について「国政に関する権能を有しない」と定めているが、細田官房長官も「憲法の趣旨に反することはない」と述べた。

 いずれも妥当な判断だと思う。

 今回の場合、波紋の原因はむしろ、米長さんが国旗・国歌のことを持ち出したところにあるのではないか。

 米長さんが委員を務める東京都教育委員会は、今春の都立校の卒業式で国旗を飾る場所や国歌の歌わせ方など、12項目にもわたって事細かく指示し、監視役まで派遣した。そして、起立しなかった250人の教職員を処分した。処分を振りかざして国旗の掲揚や国歌の斉唱を強制するやり方には、批判も多かった。

 国旗・国歌のように鋭い対立をはらんでいる問題は、天皇の主催行事である園遊会の場にふさわしくない。

 米長さんの発言に対して天皇陛下があいまいな応答をすれば、そのこと自体が政治的に利用されかねない。陛下が政府見解を述べたことは、結果としてそれを防いだとも言えよう。

 米長さんの発言は「教育委員のお仕事、ご苦労さまです」という陛下の言葉に答えて飛び出した。国旗・国歌問題を意図的に持ち出したかどうかはわからない。もし意図的でなかったとしても、軽率だったと言わざるを得ない。

 東京都の石原知事は「天皇陛下に靖国神社を参拝していただきたい」と述べている。靖国参拝は外交にも絡む大きな政治問題だ。とても賛成できない。宮内庁が慎重な姿勢を示したのは当然だ。

 天皇が政治に巻き込まれれば象徴天皇制の根幹が揺らぐ。園遊会発言を機に、このことをあらためて確認したい。

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by xrxkx | 2004-10-30 16:42 | 時事ネタ一般