【東シナ海ガス田開発】実務者協議は決裂したが
 日中間の実務者協議も予想通り物別れに終わり,中国外交部の章啓月報道官が さる26日の記者会見で
「中国のガス田開発は日本と争いのない海域での中国の主権に基づく正常な行動だ」 (産経)
「中国が進めるガス田開発は日本と争いのない中国近海で行っており、中国の主権を行使した正常な活動だ」 (時事)
と発言した由.「日本側が主張する中間線の向こう側から掘っても,日本側にあるガスまで吸われてしまうではないか」という日本側のかねてからの懸案事項の存在そのものを認めず,今後も考慮はしないという意思表示と見ざるを得ません.もっとも,外交部からの公式コメントなど待つまでも無い.その点については協議初日に「日本が心配するようなことはない」の一言で片付けられてしまっている.
 前回(10/21)にも書いたように,中国側がデータ公開に応じない態度を見せた時点で協議を打ち切って引き揚げて来るべきだった.もともと今回の協議を提案して来たのは中国側です.先方から何ら新しい提案が無いまま,従来どおりの見解の繰り返しをただ聴いて帰って来るような能無し役人らに給料を支払う為に,私は税金を払っている訳ではない.日本より遥かに低い国力しか持たぬベトナムでさえ 中国を向こうに回して あれだけ堂々たる外交をやっているというのに,我が日本外交の この不甲斐無さと来たら どうでしょう.何故こんな時こそODAカードを切れないのか.
※参考:中国が南沙諸島の資源共同開発を提案、ベトナムは反対 ─読売 10/08

 そもそも協議開始の1週間前にあたる10/18付の外務事務次官会見記録を見ても,
仮に、日本側の排他的経済水域内において鉱区が設定されているということが事実であるとすれば、当然のことですが、中国側に対し外交ルートで抗議や申し入れを行うという段取りになるかと思います。
我々としては、先ずは春暁の問題について、中国側から情報の提供があることが極めて重要であると考えています。
などの紋切り型の答弁に終始しており,「中国側がデータ提供の要求に応じなかった場合にはどういう対処を視野に入れているか」については一言も言及が無い.中国側にとっては痛くも痒くもない内容.これでは「知らぬ存ぜぬの一点張りに限る」とタカを括られるのは当然です.町村外相の発言を聴く限り,ガス田問題については鞏固な意思表示の姿勢を感じますが,相変わらず外務省は笛吹けど踊らずの状態なのでしょうか.

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 上の中国外交部報道官と同じく26日に,日本側首脳陣が閣議後の記者会見で行なった発言を列挙してみると─

◇中川経産相
「そもそも中国から協議しようと提案があったので、新たな話があるかと思った。何のために中国が協議提案したのか分からない」 (毎日)
「(中国側から)情報提供もないし、(日本が主張する)日中中間線も認めない。誠意がない」
「時間稼ぎに協力するつもりは毛頭ない」 (以上 読売)
「何のために中国側が協議を提案してきたのか分からない。まったく不可解だ」
「粛々とやるべきことはやる。(現場海域での)試掘や開発権の認可についても否定しない」 (以上 朝日)
「時間ばかり浪費するようであれば意味がない。我々としては時間稼ぎに協力するつもりは毛頭ない」 (日経)
◇町村外相
「十分な情報提供が行われたとは考えない」
「いままでと同じことをやっていていいのかと率直に思う」 (以上 朝日)
「回答がこの程度だったということは不十分だと言わざるを得ない」 (日経)
「一般的な地質の説明はあったが、具体的な情報提示はなかった。不十分だと言わざるを得ない」
「今までと同じことばかりやっていていいのだろうかという率直な思いはある」 (以上 時事)
◇細田官房長官
「話し合いを継続し、今後とも協力しあえるところがあれば協力することが基本だ」 (日経)

官房長官が一番腰が引けているようでは心許ない限り.日本の国家主権が冒されているのを目の当たりにしながら,なおも中国側の既成事実作り&その為の時間稼ぎに手を貸してどうするのか.

 そういえば,さる23日には毎日が「東シナ海ガス田開発:政府、「200カイリ」主張も」という記事を載せていました.
 中国は今年6月の日中外相会談でガス田の共同開発を提案してきた。しかし、日本政府は「中国の真意が不明」として回答を留保している。政府内には「日本側の海底により多くの資源が埋蔵されている可能性が高いという研究がある中、共同開発は割に合わない」との意見も強い。
 ただ、政府内でも「上海までパイプラインを引き、中国に売るのが現実的」と共同開発の受け入れで政治決着を模索する考えも浮上している。その場合は、日中の配分比率をどうするかといった難問が待ち構えている。
 最終的に共同開発で妥結するのかどうか, どちらを選ぶにせよ,境界線確定の問題を棚上げしたままでは日中間の配分比率だって決めてみようが無いわけです.ここのところをはっきりさせないまま,中国側の時間稼ぎにズルズルと付き合っているというのが 最も良くない.
 そもそも「日本側から200カイリ内は全部日本のEEZ」などという出方にしても そうです.「相手が吹っ掛けて来ているなら こちらは値切らなくては」というのは交渉事の初歩の初歩ですから 分からなくもないですが,交渉が決裂した場合に日本が切るべきカードをちゃんと用意しておかないまま ただ大きく出て見せても,そんな子供騙しが中国人に通用するとは思い難い.
 協議前日である10/24付の産経の社説「ガス田問題 強い姿勢で中国に当たれ」が
…日本はガス田に関するデータ提供を再三、求めてきたが、中国は応じていない。実務者協議ではまず、中国に十分なデータを出させる必要がある。この要求が受け入れられない限り、中国の共同開発提案に応じてはならない。中国のペースに乗せられてしまう恐れがあるからだ。
 最近、中国が中間線近くの日本側海域でも、鉱区開発を計画していることが明らかにされた。日本の海底資源がさらに侵食される恐れがある。日本は事実関係を質(ただ)し、中国に計画の撤回を強く求めるべきだ。
と書いていましたが,蓋を開けてみれば中国側は案の定こんな態度.昨10/27付の読売の社説「[日中ガス協議]海洋資源と主権をどう守るか」は
 「海洋強国」を目指す中国は、七〇~八〇年代に南シナ海で、外交的な権利主張から海洋調査、海軍艦艇派遣、部隊駐留の順で、海洋権益を広げてきた。東シナ海でも、すでに海洋調査や艦艇派遣を頻繁に繰り返している。
 こうした状況に手をこまぬいていてはならない。日本としては、まず資源の正確かつ詳細な調査を急ぐべきだ。自前のデータも持たずに、中国側と対等の交渉を進められるはずがない。
と書いています.その通りでしょう.某新聞が さる20日付の社説「ガス田開発――日中協議で打開を急げ」の中で
 問題は、日中両国が角を突き合わせていても感情的な亀裂ばかりが広がり、事が前に進まないことだ。
 中国側は共同開発を提唱しているが、日本側は、先行した中国の提案に乗れば損をするかも知れないと慎重だ。日中協議は、こうした問題に糸口を見いだすきっかけにもなり得るだろう。
 中国の経済発展もあってエネルギー需給が逼迫(ひっぱく)し、原油が高騰している。新たなガス田開発がうまくいくなら、日中にも国際社会にも望ましいことだ。
 むろん、両国が原則論でただちに妥協できるとは思えない。東シナ海の水域問題を国際司法裁判所に持ち込む考えも、今は日中双方にない。ならば当事者である両国が「示談」によって、事態を前に動かすしかない。
などと盛んに中国側の共同開発案をプッシュしているのを見ても分かるように,このまま日中二国間での「示談」など続けていても 得をするのは中国側ばかりです.やはり最終的には《出るところに出て決着をつける》しかないのではないか.その為にも自前のデータを用意しておくのは基本中の基本.今後日本政府には
  1. ODA即時停止の本格的検討に入ること.
  2. 中国側から如何なる妨害を受けても,日本側の独自の海底探査は頑として続行すること.
  3. 必要に応じて海保・海自の艦艇を出動させ,調査船の護衛にあたらせること.
  4. 日本の主張するEEZに侵入した中国側調査船については,所属が官か民か軍かを問わず 《1.追い払う 2.拿捕・臨検する 3.沈める》のいずれかの措置を取ること.
  5. 北朝鮮に対して行なったのと同様の人権決議案を 将来的には中国に対しても可決するよう,今のうちからアメリカに働きかけておくこと.
  6. 尖閣諸島領有権をめぐる台湾との協議を早期に行ない,中国にも参加を呼びかけてNoと言わせておくこと.
と,最低でもこれくらいはやって見せてほしいものです.

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 おまけ.
 つい先ほど,「おとこのおばさん」という不思議な名前のblogで見つけた記事を読ませていただきまして,そこで知ったのですが,衆議院議員・たけまさ公一(民主党)氏のHPに こんな記述が.

石油備蓄は日本政府90日、中国政府3日!
朱首相には私から石油公団の民営化に伴い、日本の石油備蓄基地の一部を中国の備蓄分として使用する提案を行いました。

はぁ? (゚Д゚ ;)
オイオイ ワルイ ジョウダンハ ヤメテ クレヨ
キミハ ドコノ クニノ セイジカ ナンダイ?

 記述中に「朱首相には…」とあることからも分かるように 上のページに載っている表は どうやら3年ばかり前の数字らしいですが,そうですか,石油の禁輸を3日続ければ干上がりますか,かの大陸は.採算がどうとか言っていられないお家の事情というのがあるのでしょうかね.
 こんな貧血デブ(?)を相手に かれこれ半世紀以上にわたって頓首の礼をとり続けているわけですか,我が日本外交は.その昔「米帝は張り子の虎」と豪語していた何処かのゲリラの親分を,少しは見習いたいものです.
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by xrxkx | 2004-10-28 18:57 | 時事ネタ一般