【東シナ海ガス田開発】持ち駒が薮中だけとはあんまりだ
 先月から 採り上げよう採り上げようと思いつつ なかなか書けずにいた 東シナ海ガス田開発のこと.25日に日中間で実務者協議を行なう方向で調整中のようですが,ここ数日来 動きが慌しくなって来ているようです.
 さる10/18に 駐日大使・王毅が記者会見を行い,その中で むろんガス田開発問題にも言及しました.ロイターの記事がよくまとまっていますが,御丁寧に人民日報では先の王毅発言を記事4つに分けて報じています.

『中日関係の一つの基礎、三つの目標=王毅駐日大使』
『靖国問題は「内政」の範囲を超える 王毅駐日大使』
『中国に「反日教育」などはない=王毅駐日大使』
『東中国海中間線は双方の合意ではない=王毅駐日大使』

参考)
殿下さま沸騰の日々『てめーらなめんなよっ!』 19日

今回の王毅発言に至る経緯を ざっとまとめておきますと,
  • まず,ロイヤル・ダッチ・シェルとユノカルの両者が春暁ガス田開発プロジェクトからの撤退を発表したのが 09/28.
  • 「春暁鉱区」の海底資源が中間線を跨いで分布しているのを 中国が既に20年ほど前に把握していたことが報じられたのが 10/07.
  • ハノイでの外相会談の席で,中国側からガス田開発問題についての政府間協議を申し入れて来たのが 10/09.
    ちなみに,このとき李肇星は国連改革には触れたものの靖国参拝には言及しなかったという.
    ※この件についての町村外相の談話(12日)
    「実務者協議を立ち上げたいと中国側から(日中外相会談で)提案があり、応じることにした」
    「中国側が提案してきたのだから、何らかの情報提供はあるのではないか」 (以上 毎日
  • 中国が日本側水域でガス田開発の計画を進めていることが発覚したのが17日.
    同日の共同通信の報道は「東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国政府が新たなガス田開発の権利を中国企業に与えたとの情報を日本政府がつかんだ」という表現.
    ※中川経産相(17日)
    「日本のEEZの複数カ所で(中国による開発)鉱区設定の情報がある」
    「EEZ無視は友好的でない」 (以上 共同
    ※杉山秀二・経産次官(18日)
    「確認の上、事実なら削除するよう外交ルートを通じ求めていく」
    (実務者協議開催時期のめどは)「早ければ今月中」 (以上 共同
 こうした中,今日になって こんなニュースが入りました.
東シナ海のガス田開発権付与 中国「把握していない」 政府、さらなる調査要求へ ─産経 2004/10/21
 中国が日本の主張する東シナ海の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の石油会社にガス田開発権を与えたとされる問題で、中国外交部は事実関係についての日本政府の照会に「把握していない」と回答してきたことが二十日、分かった。
 政府は、二十五日に北京で行われる実務者協議で、この問題についてのさらなる調査を中国側に求める。さらにパイプライン建設が進んでいる「春暁鉱区」などについてのデータ提出を改めて求め、日本側の資源が侵食されていることが判明すれば、開発の中断を求めていく方針だ。
 今回、政府が問題視しているのは、東シナ海のガス田開発を多く手がける中国海洋石油総公司(CNOOC)がインターネット上で公開していた開発計画で、すでに同社のホームページからは削除されている。
 この計画を政府が分析したところ、中国側が日本の抗議を無視する形でパイプライン建設を続けている「春暁鉱区」の東側一カ所、北東側三カ所の少なくとも四カ所の開発鉱区が、日本が引く日中中間線よりも日本側の水域にはみだしていることが分かった。
 中国政府は過去に、これら日本側海域の試掘などを調査名目で実施済み。そのため、日本政府は中国側が本格的な商業開発に動き出す可能性が高いとみている。
 一方、「商業上の理由」で東シナ海のガス田開発からの撤退を決めたロイヤル・ダッチ・シェルなどの国際石油資本が、中国政府のあいまいな対応を事業継続困難の判断基準にしたという関係者の見方もある。
 日本側の掴んだ情報については 当然ながら中国側は知らぬ存ぜぬの一点張りで押し通すつもりでしょう.中国側が本気で「対話による解決」を望むなら,日本側の求める海洋調査に関する情報開示に応じないわけがありません.
 それにしても,「さらなる調査を中国側に求める」とは あまりにも生ぬるい.
 日本側EEZ内での開発計画について事実関係を糺すのは当然としても,春暁鉱区その他についても開発の即時停止くらいは要求して見せること.
 今までの海洋調査のデータについても,事前に大使館なり何なり通して中国側に通達の上 今回の実務者協議の席で確実に提出させるよう念を押しておくこと.
 それでも中国側が言を左右にして情報開示に応じない場合には協議など打ち切り,中国がやっているのと同様の採掘を日本側でも直ちに着手することを,協議開始に先立って宣言しておくこと.
 それくらい断乎たる姿勢で臨まないことには交渉にならない.

 一方で「対話による解決」などと嘯きつつ,今こうしている間にも中国は着々と日本の海底資源を盗む為の実力行使を行なっているのです.中国側がそんな真似に出られるのも,対話以外の方法による解決というオプションを初めから持とうとしない日本外交が完全にナメられているからであるのは言うまでも無いでしょう.「対話による解決」などという中国側の言い分を額面どおりに受け取っての,交渉決裂に備えての外交カードすら持たずに臨む交渉なら,いっそやらぬがマシです.
 これは皮肉でも何でもありませんが,かの朝日が昨日付けでさっそく「ガス田開発――日中協議で打開を急げ」などという社説を載せて 中国側が顔をほころばせそうな「大きな視野に立った知恵」とやらを説いていたのを見れば一目瞭然でしょう.
 …資源問題は国家の基本戦略と深くかかわる。日本側が神経をとがらせるのは当然だろう。
 問題は、日中両国が角を突き合わせていても感情的な亀裂ばかりが広がり、事が前に進まないことだ。
 (中略)
 日本と中国が協力して、地域の経済発展を引っ張ってほしい。東アジアの国々からそんな声が強まっている。両国が海洋権益の絡む難問に道筋をつけられれば、そうした期待に応えることになる。
 中国の経済発展もあってエネルギー需給が逼迫(ひっぱく)し、原油が高騰している。新たなガス田開発がうまくいくなら、日中にも国際社会にも望ましいことだ。
 両国の対立をあおるのではなく、そんな大きな視野に立った知恵を、政界にも産業界にも期待しよう。
 だから中国側が打つべき手を全て打ち終えるまで専ら「対話」をやっていろ,と,人民日報日本語版は例によって言いたいらしい.だいたい日本側,特に外務省が中国と対等の立場で「角を突き合わせ」てみせたことが今までに一度でもあったか,と逆に問いたいですね.評価に値する毅然たる対応をしているのは中川経産相くらいではないか.「酔夢ing voice」の18日付の記事で,執筆者の西村幸祐さんが
メジャーが支那の東シナ海プロジェクトから撤退するとすかさず支那大使が東シナ海開発で実務者協議と秋波を送ってきたが、片手で握手を求めながらもう一方の手で拳骨を握るという、外交の原則を支那は貫いている。今日の官房長官談話ではこの点ですでに日本はまた遅れを取っている。外務省の病気とも言える平和幻想は、北朝鮮の拉致に60年代から40年以上日本が侵略され続けていてもまだ醒めない。

少なくともベトナム並みの支那に対しての毅然とした態度を日本政府は見習うべきだ。本当に情けない国になったものだ。
と述べておいでですが,全く同感です.何しろ相手は 日本の主張するEEZ内での海洋調査を日本に無断で行なっておきながら,さる7月に日本が同様の調査を始めた途端に日本大使を呼び付けて抗議するような国です.一方で「話し合いによる解決」を言いながら,日本側が要求する海洋調査結果の開示には一切応じようとしないまま「共同開発案」を逆提案して来るような国です.

 嗚呼それなのに,19日付の産経の記事によれば,わが日本側はあの薮中アジア大洋州局長を出すのだそうですよ.こんな心許ない人選では,残念ながら今回も「子供のお使い」に終わるのは目に見えている.下手をすれば 先月のメジャー撤退というアドバンテージも水泡に帰しかねない.
 事は単なるカネ勘定では済まない,日本の主権の掛かった問題です.断乎たる姿勢で臨む以外にありません.向こうが真剣に対話に応じる見込みが薄い以上,事と次第によっては武力衝突も辞さないだけの覚悟で外交をやってもらわなくては 国民が困るのです.
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by xrxkx | 2004-10-21 20:18 | 時事ネタ一般