相次ぐ脱北者駆け込み事件に思う
 昨日(2004/09/30)読んだニュース.

米国人学校に脱北者9人駆け込み 上海、連行される ──産経 2004/09/30 18:06

 ご存知のように,ここのところ中国国内では脱北者による第三国施設への駆け込み事件が頻発しています.9月だけでも
  • 01日: 北京 日本人学校 29名
  • 27日: 上海 アメリカンスクール 9名
  • 29日: 北京 カナダ大使館 44名
と3回も続いている.
 この中で,上の記事中で触れているカナダの場合は 学校ではなく大使館への駆け込みだったので,中国の警察権が及ばない(おまけ1参照).それで中国当局がカナダ側に脱北者らの身柄の引渡しを求めているわけですが.
 読売の記事によれば,中国側は「出国を認める方針を明らかにした」などと書いているけれども,これはややフライング気味.外交部のコメントは「中国は国内法、国際法、人道主義の原則に基づいて問題を処理する」と言っているだけ.これ自体は 北朝鮮への身柄引き渡しの可能性を否定するものではない.APの記事では「he didn't give any indication of their fate」と言っています.
(もっとも,アメリカンスクールに逃げ込んだ9名についても,2名釈放というニュースが今日付で朝鮮日報に上がって来ていましたが)

----
 ところで 今回のカナダ大使館の件,韓国国内でも「중, 대사관 진입 탈북자 인도 요구 (中国,大使館侵入脱北者の引渡しを要求)」という短い報道(ソースがYTNなので おそらくTVニュースのテキスト起こし)が昨日上がって来ていましたが,その記事に 昨日から今日にかけて 何と読者のコメントが260件ほども寄せられています.ざっと一通り目を通してみたのですが,ときどき「引渡し」を「インド」と早とちり(註:両者は韓国語では同音)したのか 何やらトンチンカンな意見を書いている半文盲がいるのはご愛嬌として,大部分は
  1. 「中国の要求は理不尽だ」とする怒りの声
  2. 「脱北者の身柄をどうすればよいか」をめぐる,紛糾した論議
の2つに分けられます.

 1番については,こうした駆け込み事件の第一の被害者は中国なのだという点が 韓国人たちの頭からすっぽり抜け落ちてしまっていると言わざるを得ない.中国にだって,こうした脱北者をおいそれと難民認定できない《お家の事情》があるもともと不法入国で他国に迷惑を掛けているのは朝鮮人の側なのにも拘らず,どうも こういう時に韓国人は えてして身内に甘い.

 面白いのは,その一方で 2番の「脱北者の今後の扱い」に関して 「韓国で受け入れるべき」という主張が 驚くほど少ないことです.「北に返してしまえ」とか,ひどいのになると「そのままカナダに移民させろ」などと虫の良いことを言い出す者までいる.
我々(南)だって生活は苦しいのだ
というのが その理由の殆ど全てです.傍観者の立場から言わせてもらえば,もう「知るか」と.「お前らの不景気まで よその国に尻拭いさせる気か」と言いたくなる.
 こういうとき,国内での韓国人たちの反応は NaverやHanmirといった《日本人がよく来るサイト》でしばしば見掛けるよそ行き愛国ぶりとは かなり温度差があります.前にも書きましたが,日頃「統一は民族の悲願」などと美辞麗句を並べておきながら,かつてあれほどもてはやした「帰順者」(おまけ3参照)を 今では厄介者扱いです.脱北者らが韓国社会に適応して行く上での困難とか あるいは韓国社会で受ける差別については,例えば脱北記者が語る「脱北者の定着問題」 (朝鮮日報 2004/07/28) という記事に 姜哲煥なる北出身の記者が詳述しています.
 もっとも,その一方で 「南北分断はアメリカのせい」などという安っぽい民族主義センチメンタリズムに脳みそまで冒されている こういう韓国人が 最近は多いようですので,脱北者についても「アメリカが支援するのは当然」くらいのつもりでいるのかも知れない.ことほど左様に韓国人という人々は責任意識に欠けている.

----
 こうした事件が頻発する中,中共が今後どういう対処の仕方をするかは ちょっとした見ものになります.上述のように中国は脱北者を難民認定していない以上,既に国内に入って来てしまった分については 取り得る選択肢は「北に送還」「不法入国者として国外退去させる形での 第三国への身柄引き渡し」のいずれかでしょう.むろん,前者を取れば ただでさえ人権問題という外交上の弱味を抱えている中国の立場が更に悪化しますから,中共当局としてはこれは避けたいのが本音でしょう.あとは如何に北に駄々をこねさせず,中国の面子を潰さず,西側との関係に支障を出さずに 脱北者らを追い出すか,その点にのみ中共は力を注げば良い.彼らほどの外交巧者にとって,これ自体は さほど難しい問題でもないかも知れません.
 ただ,こうした脱北者が 現在の年間1000人規模で今後も収まっていてくれるという保証は何も無い.今後の北朝鮮の貧窮もしくは政情不安の程度によっては,北からの大量の難民流出の事態は 案外早く訪れるかも知れません.何しろ自国民3万6000人を相手に これだけの措置を平気で取れる国なのですから,いざという時は ああした《北東アジアのお荷物》も 是が非でも中朝国境で食い止めてもらいたいものです.

◇ おまけ ◇
  1. 2002年の瀋陽の日本領事館に 同様に脱北者が駆け込んだ時には 中国公安は躊躇なく踏み込んで来ました.日本の外務省からも 例によって形ばかりの抗議があっただけで,中国側の責任問題についてはうやむやのままです.このこと一つとっても,ルール違反に対して毅然たる対応を取れない日本外交が 如何に中共からナメられているかが分かるでしょう.
  2. 私が最も納得行かないのは「どうして脱北者らは初めから韓国大使館・領事館なり韓国人学校なりに行かないのだろう」という点でしょうか.もしや 昨今の韓国政府の対北軟弱外交について 彼らも予め何らかの情報を得た上で,「そもそも南の政府は我々を保護してくれるだろうか」という点に不安を懐いているのでしょうか.いずれにせよ,ただでさえ不法入国先の中国という第三国に迷惑を掛けているのに,この上《第四国》である日本やらアメリカ・カナダまで巻き込んでもらいたくないですね.
  3. 以前は「脱北者」よりは「帰順者」という言葉のほうがよく使われていました.「帰順」という言葉を避けるようになった事情については,「「脱北者」は「自由民」 韓国統一省が呼称公募」(共同 2004/09/22) などを参照.もっとも,一時期は北朝鮮から韓国に入国する経路により「帰順」と「脱北」を使い分けていたという話も聞きます.

[PR]
by xrxkx | 2004-10-01 20:58 | ここが変ニダ韓国人