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【常任理事国入り問題】 韓国各紙の論調
 日本の国連安保理常任理事国入り意思表明をめぐる,ここ数日間の韓国メディアの論調.まぁ,概ねご想像通りです.09/01にも触れたように,中国とは異なり韓国の場合は日本の常任理事国入りの可否に関する発言力は微々たるものですので,言いたいなら言わせておけば良いと言ってしまえばそれまでですが.
※ 朝鮮日報のだけは日本語版が出ていました.中央・東亜は社説やコラムでは扱っていないようです.

[社説] 日本の常任理事国入り 道徳的障害を乗り越えなくては ──朝鮮日報 2004/09/22 20:12 (原文 同日18:45)
 日本の小泉純一郎首相は昨日、国連総会で「日本は、国際平和と安全に主要な役割を果たす意思と能力がある」とし、「国際社会から高く評価されていると私は信じる。わが国の果たしてきた役割は、安保理常任理事国となるにふさわしい確固たる基盤になるものだ」と述べた。日本は常任理事国入りを狙うドイツやブラジル、インドとともに「お互いに立候補を支持する」という共同声明まで発表した。
 国連安保理の常任理事国条項は、第1次世界大戦以後、世界の平和を維持するため発足した国際連盟が「1国1標主義」、言い換えれば世界政治の現実的力学を反映できない構造のため無力化したという教訓から生み出されたものである。1945年に国連が発足してから60年が経った世界の現実は、当時とは様変わりしたのが事実であるだけに、その変化した現実を国連が反映すべきというのが、安保理常任理事国改編の名分である。
 実際に、今年の日本の国連分担金280万ドルは、米国の363万ドルに次ぐもので、他の常任理事国4か国の分担金合計220万ドルよりも多い。発展途上国への政府開発援助(ODA)も、年間約100億ドルに達し、米国に次ぐ第2位である。国連の平和維持活動にも多くの経済的・軍事的支援を行っている。
 にもかかわらず、日本が常任理事国になる十分な資格を備えているとは言いがたいのが現状だ。現在の常任理事国である米国やロシア、中国、英国、フランスは、第2次世界大戦の戦勝国としてその資格を獲得したのが事実だ。しかし、単に戦勝国であるからではなく、その戦争がファシズムという世界悪を相手にした道徳的戦争であり、この善悪の対決を勝利に導いたという道徳的名分がその基底に横たわっているのである。
 つまり、日本の安保理常任理事国資格審査においても、日本の国力と国連に対する経済的な寄与のみならず、道徳的姿勢が問題にならざるをえないのである。しかし、この道徳的基準については前世紀に日本が起こした戦争被害国だけでなく、相当数の日本国民もあっさりとは同意しがたいはずだ。
 小泉首相が隣国の批判を尻目に、第2次世界大戦のA級戦犯が合祀された靖国神社を堂々と参拜し、それを日本の伝統と慣習として合理化しようとしているのが、その証拠である。
 日本が世界政治で主導的な役割をし、そのためには国連の常任理事国入りが必要だとしても、その資格基準は日本自らが名乗り出るよりは、日本から被害を受けた国々が世界の現実を国連に反映するため、あるいは日本から道徳的更生意志が見られ「もう日本が常任理事国になる時期だ」と支援してくれる環境を作り、そうした段階を踏むことが順序と言えるのである。

[社説] 日本,安保理常任理事国の資格は無い ──ハンギョレ 2004/09/22 20:57 (原文)
 小泉純一郎日本総理が,国連総会の演説で自国の安保理常任理事国入りの意思を表明した.彼は日本がこれまで国際社会の平和と安全,国連活動に寄与した点を踏まえれば常任理事国となる資格は十分だと強弁した.
 これは日本が今まで行なって来たこと,行なわねばならぬのに行なわなかったことと食い違う厚顔無恥な主張だ.一言で言うなら今の日本には常任理事国入りを語る資格が無い.
 日本は過去の侵略の歴史を徹底的に反省し清算するどころか,合理化することに没頭して来た.軍隊慰安婦が存在したという事実すら認めないのがその代表的な例だ.第2次大戦の戦犯に対する稱頌(訳註:讃え敬うこと)も公然と行なわれている.特に小泉総理は戦犯らの位牌が安置されている靖国神社に憚りも無く参拝している.自衛力以上に軍事力を強化し,平和憲法改正を目指すなど,軍事大国化・覇権主義の勢いをも加速化している.侵略の歴史を美化した歴史教科書も編纂し,独島(訳註:竹島のこと)領有権主張などを通じて領土的野心をあらわにしているのも見逃し難い.こうした国が国際平和を守って行く核心的な地位を占めてはならない.日本が国連に支払っている財政負担金がアメリカに次いで多いからと言って,常任理事国になる権利があると思ったら大間違いだ.中国と北韓(訳註:北朝鮮のこと)が日本の常任理事国入りに反対するのは当然だ.
 国連は来年で創設60周年を迎える.51ヶ国で発足した加盟国数も191ヶ国に増えた.アメリカ・中国・フランス・イギリス・ロシアなど(訳註:ママ)5ヶ国が独占して来た常任理事国体制に問題が多いのも事実だ.特にアメリカは国連を無視してイラクに侵攻することで混乱を激化させた.安保理の権威と信頼を高めるには,こうした事態を防ぎ得る牽制装置を備えるとともに,多くの開発途上国・低開発国を含め代表性と民主制を強化すべきだ.わが政府も小泉発言に対する怒りや反対見解表明とともに,国連改革に積極的に賛同することを望む.

[社説] 日 安保理常任理事国の資格はあるのか ──ソウル新聞 2004/09/23 10:34 (原文)
 日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りの意志を公式表明した.小泉純一郎総理は昨日,国連総会での演説を通じ「日本はこれまでの役割に鑑みて常任理事国となり得る」と主張した.国連活動に物質的・政治的に大きく寄与したからには,常任理事国の「資格」を備えているという意味だ.日本は同様に常任理事国入りを狙うドイツ・インド・ブラジルなどと歩調を揃えている.
 国連および安保理の改編は時代の要請だと思う.国連加入国は1945年の創設当時の51ヶ国から191ヶ国に増えた.少数の強大国が全世界の主要問題を思いのままに取り仕切る国連の体制は現実にそぐわない.地域を代表し,開発途上国・低開発国の声を反映する必要がある.国連のアナン事務総長が各国の指導者16名に委嘱して結成した「著名人士委員会」は,来る12月1日までに国連改革方案に関する報告書を提出するという.常任理事国改編方案も具体的に論議されるのは確実だ.
 我々は日本の常任理事国入りに嘴を差し挟むつもりは無い.だが日本が国際社会から「指導国家」として遇される為には,見過ごせないことがある.まず韓国・北韓・中国など近隣諸国との関係から円滑に整理することだ.日本政府は過去の植民地侵略行為についての徹底した清算どころか,むしろ機会あるごとに歴史歪曲行為にいそしんでいる.靖国神社参拝・教科書歪曲・領土紛争などで外交摩擦を起こしながら世界平和の担い手を以て任じようとするのは矛盾した態度だ.「常任理事国(訳註:「~の座」のこと)は金では買えない」という中国外交部スポークスマンの言葉は何を意味するか.日本は常任理事国入りに先立って国連憲章に記された「敵国」の汚名から脱すべく努力を傾けるべきだ.

 また,社説ではありませんが こんな報道も流れていました.

●日本の国連常任理事国入りに対する各国の反応 ──世界日報 2004/09/23 01:35 (原文)
 日本の国連安全保障理事会常任理事国入りについて,アメリカ・ドイツ・イギリスなど主要国が支持または黙認しているのに対し,中国は強く反発している.
 中国の政治指導者らとメディアは,日本を「資格未達国家」だと攻撃し,「ドイツはこれまでの60年間,徹底して過去の歴史を反省し,被害国に賠償している」と指摘した.これに合わせて中国の胡錦涛・党総書記兼国家主席は22日,日本の小泉純一郎総理の度重なる靖国神社参拝を強く非難した.
 北京駐在大使館(訳註:どこの国のか不明)は この日の声明を通じて このような胡主席の発言内容を明らかにした後,両国関係改善の為にはこの問題を解決する必要があると強調した.これに先立ち,孔泉外交部スポークスマンは21日の記者会見を通じ,「国連安保理は会社の理事会とは違う」と反対意思を表明した.
 日本の細田博之官房長官は22日,過去史問題について「常任理事国となることと この問題とは 性格が異なると考える」として「我々は多くの国と異なる独特の方式で国際安全保障に寄与することができる」と述べた.
 一方アメリカは,日本の常任理事国入りを支持している.消息筋は,ブッシュ大統領が21日に小泉総理の国連演説に先立って(訳註:小泉総理と,だろう)会見した席で,日本の常任理事国入りを支持する立場を再確認したと伝えている.
 安保理常任理事国中,中国を除いてはイギリス・フランス・ロシアも日本の立場を支持しているとAFP通信が22日報道した.
 イギリスは日本の常任理事国入りについて積極的な支持の意思を表明した.ビル=ラメル外務次官は最近,アジア特派員らとの記者会見で「日本の常任理事国入りを支持する」と確認している.
 フランスは日本を含め特定国家の常任理事国入りに反対しないが,拒否権まで与えるのには否定的な立場だ.
 同様に常任理事国入りに名乗り出ているドイツ・インド・ブラジルも,21日の声明を通じて「常任理事国候補国は互いに支持し合っている」と明らかにしている.
 こうして見ると,大方の予想通り ハンギョレの論調が最も尖鋭であると同時に,その報道姿勢のいい加減さが一目で見て取れます.こうした場合,韓国側が持ち出すのは決まって「歴史歪曲」「靖国」「教科書」「植民地」「慰安婦」「領土問題」などですが,それらについての上の社説の扱いは いずれも容易にその嘘を暴露可能なものばかりですので,ここでは繰り返しません(後で愚かな韓国人や中国人,もしくは日本のプロ市民でも闖入して来れば別だが).

 「国連安保理は会社の理事会とは違う」「常任理事国の座はお金では買えない」などという中国の言い分をわざわざ引いて来なくてはならないことからも分かるように,彼らとて 日本が国連の運営の為にどれだけの寄与をしているかは認めざるを得ないわけです.だからこそ朝鮮日報などのように「道徳的障害」を言い立てたり,戦前の日本をナチになぞらえるような嘘八百を唱えたりし続けなくてはならない.それをやめた途端,自らの国力に対する応分の負担を避けて来ている自分たちの立場が危うくなるからです.
 そもそも韓国といえば 今や曲がりなりにもOECD加盟国ではないか.日頃は「先進国の仲間入り」だの「IT強国」だのと威勢の良い御託を並べつつ,都合の良い時だけ「開発途上国の声を反映させよ」だの「地域を代弁」だの言い出すのは,いい年をした月給取りが子供料金で地下鉄に乗るようなもので みっともないことこの上ない.

 もっとも,世界日報の報道ぶりを見ても分かるように,日本の常任理事国入りに反対しているのは 韓国・北朝鮮・中国の極東三馬鹿のみであることを,むしろ韓国メディア自身が図らずも暴いてしまっているのは興味深い.韓国が日本の常任理事国入りを妨げようと思うなら,あとは中国にすがるしか方法が無いことは 彼らも分かっている筈.韓国が中国寄りの立場を取って日本の常任理事国入りに反対すること自体は 日本にとって何ら差し障りは無い.無理して韓国などを味方に付けようとするよりは,後日別の形で借りを返したほうが良い.
 この点は中国に対しても同様です.一昨日も書きましたが,日本としては今回の常任理事国入りは中国の妨害によって不成立に終わるだろうという見通しのもとで行動したほうが良いでしょう.むしろ 最初の一回くらいは流れてくれたほうが日本にとっては良いのではないかとすら,私は考えています.
 最も良くないのは,中国が日本の常任理事国入りを承認することと引き換えに日本に対して何らかの外交的譲歩──領土問題であれ,経済・技術「協力」であれ──を求めて来た場合に 日本政府がこれに安易に応じてしまうことでしょう.私が最も危惧するのは この点です.中国に対しては,韓国のような《どうでもよい国》に対する場合よりも遥かに強硬な姿勢が必要です.

 最後に,韓国から離れ 安保理改革の行方について 一言だけ触れておきます.
フランスなどは 新規参入する常任理事国に拒否権を与えることには慎重な姿勢をとっているそうだが,実際 拒否権の無い常任理事国など 意味があるだろうか?
という点ですが,私は これについては
 日本が現在の常任理事国が持っているのと同等の権限を持つことには必ずしも拘る必要は無い.
 それよりは むしろ既存の常任理事国が持つ権限を今後制限して行く方向で考えたほうが良い.これには カナダなどのような「常任理事国という制度そのものに反対」という立場の国々との連携が特に有効だろう.
 言うまでも無く,その目標とするところは 中国の発言力を抑えるにある.
という立場に立ちます.つまり,日本は常任理事国入りによって自身の発言力を高めるよりは中国の発言力を削いで行くことに力を注いだほうが良いということです.この点を 憲法や自衛隊法の改正への弾みをつけるという国内の問題と並ぶ 日本の対国連戦略の柱とすべきだと考えます.
by xrxkx | 2004-09-24 19:52 | 時事ネタ一般