【国家保安法改廃論争】 盧武鉉発言以後の動き・その1
 9月に入ってからというもの,韓国核開発疑惑ネタばかり追い掛けていて(+ 嘘つき中国人退治にかまけていてw), 国家保安法改廃論争の行方について全然ご紹介できませんでした.
 核開発疑惑のほうも 11月のIAEA定例理事会を待つ形に落ち着きそうですし,不良外人のほうも そろそろ《詰み》でしょうから,この辺で 国保法をめぐる その後の動きをおさらいしておこうと思います.

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※国家保安法改廃論争に関する過去のエントリ----

 国家保安法改廃論争に関する韓国国内の報道は,09/05の盧武鉉による廃止論支持発言を境に 再び増え始めており,その後 かつての国会議員や閣僚など 「元老」と呼ばれる人々までが動き出し,廃止賛成・反対それぞれの立場に分かれて結集し,宣言文を出すなどしており,例によって収拾の着かないことになって来ています.
 改廃論争をめぐる その後の経緯については,例えばこちらの中央日報の記事などがよくまとまっているでしょう.

 ここまでの流れを追ってみると,まず国家人権委が国保法廃止勧告を出したのに対し,憲法裁判所・最高裁とも 「国保法は合憲」という判定で 議論が真っ二つに分かれていました.で,その後,
  • 09/05 盧武鉉 「廃止が望ましい」発言
  • 09/09 保守派元老ら 「自由と民主主義守護の為の9・9時局宣言文」発表
  • 09/16 進歩派元老ら 「国家保安法廃止を促す共同宣言」発表
  • 09/16 保守派元老ら 「時局宣言9・9の会」結成へ
と続いている模様.
 この「元老」なる人々,実際に政局または輿論への影響力がどの程度あるのかについては おいおい見て行くことにして,続編初日の今日は,国保法改廃論争についての韓国紙の社説から,日本語で読めないものを2つご紹介しておきます.

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[社説] いま社会元老が為すべき事 ──ソウル新聞 2004/09/17 10:32 (原文)
 どの時代であれ,社会の葛藤が深まると社会元老を尋ねることとなる.最近,国家保安法改廃・過去史糾明問題がイデオロギー論争へと拡大し,国内が喧しい.性向こそ異なれ,社会元老級人士らが意見を言い合うのは ある意味では当然だ.しかし,社会元老と呼ばれるには,生きて来た前歴が恥ずかしくないものでなくてはならない.そうした意味では,わが社会が元老と仰ぐに足る方々が果たしてどれほどおられるかを思うと複雑な思いがする.
 何よりも,社会元老は国家社会を統合し発展させる道を示さなくては,言論による恭敬は得られない.去る9月の保守派寄り元老1400余名による時局宣言には適切でない面があった.国保法廃止反対を超え,6・15南北共同宣言破棄までも主張したのは行き過ぎだった.今までの南北関係改善を無かったことにし,冷戦対峙時代に帰ろうとする主張には無理があった.彼ら保守元老は 先頃 運営委員会を設立するなど 常設組織を持とうとしている.全国の市・道を回って時局講演会を開く計画も明らかにしている.
 社会構成員の多様な意見を収斂し,それらの接点を探ってやるのが,政界・国会に与えられた課題だ.しかし与野党は逆に葛藤を煽り,勢拡散(訳註:「与野党間の国保法改廃をめぐる争いを激化させること」だろうが,あるいは「与野党とも事故の勢力拡大を図ること」かも知れぬ.不詳)に没頭している.ここで元老らが意見表明という線を超えて 政治的勢力集めに加勢したなら,国がどこへ向かうやら心許ない.昨日は進歩派寄りの元老らが国保法廃止を求める行動宣言を発表した.保守元老らを迎え撃つだとか,闘争・デモとかは自制するのが望ましい.
 国保法をめぐる賛否両論は あらかた表明された.この問題で これ以上社会を真っ二つに割っていてはならない.あたかも国保法という名称が消えれば直ちに国が滅ぶかのように国民らを不安がらせてはならない.元老らは未来に向かう知恵を与えねばならぬのであり,誤った過去を擁護しようとしていては歴史的評価は得られない.無制限闘争に乗り出し,勢力拡大に熱中する政界を穏やかにたしなめ,国会に於いて対話によって妥協点を見出して行くような雰囲気を作ってやるのが 元老らの為すべき事だ.


[社説] 元老らも保守・進歩の勢力争いをするのか ──中央日報 2004/09/16 21:30 (原文)
※ 本稿執筆時点(09/18)で 日本語版にはこの社説は上がって来ておらず,skipされている.
 進歩派寄りの元老らが「国家保安法廃止を求める元老共同宣言」を発表した.彼らは「過去,国家保安法に基づいて 国民を監視・圧迫した人士らから 保安法廃止反対発言が飛び出している」と非難した.1週間前,保守派寄り元老らが「自由と民主主義守護の為の時局宣言文」を発表したことに対する対応だ.
 現政権の執権後,イデオロギー対立・勢力争いが危険レベルを超えているが,今や元老らまでが保守と進歩に分かれて こうした対立を再燃させているのだから,恥ずべき国の姿だ.
 元老らが社会の重大事案について意見を述べるのは望ましいことだ.彼らの多様な体験と経綸の才は 社会発展の助けとなる.そうであるには,何よりまず 元老が元老らしくあるべきだ.
 保守元老らが1500余名も署名したのは,彼らなりに国家の将来を心から案ずる心が以心伝心で集まったためだろう.だが,6・15南北頂上会談を否認し,一部人士らが盧武鉉大統領弾劾の必要性にすら言及したのは,常軌を逸している.これらのことから声明の趣旨は明らかだ.
 進歩元老らも大同小異だ.相手を守旧冷戦勢力と誹謗し,「過去」を引き合いに出して沈黙を強要するのは見苦しい.「あなた方には口を聞く資格も無い」と決め付ける意識の向こう側に,彼らの傲慢さが垣間見える.
 保守元老らが全国を回って 安保時局講演や決議大会を行なうとのことだが,これは自制すべきだ.「声明に追加署名があり,賛同者が1600名を超えた」という発表はまた何なのか.両陣営間で元老引き込み合戦の様相すら呈しているということだ.
 元老らまでが本格的な勢力争いと敵味方分けに出て 何をどうしようと言うのか.元老らの言行は千金の重みを持つべきだ.そうでなければ元老として遇することは出来ない.かつて産業化(訳註:韓国の経済成長期の,の意だろう)を率いた保守元老と,民主化を主導した進歩元老が,互いに指さし合い非難するなら,若い世代がそこから何を学び得るだろう.相手に対する配慮と節度は民主社会を成り立たせる最小限の徳目だ.





─参 考 資 料─
北工作員の活動を抑止 「国家保安法」廃止望ましい 韓国・盧武鉉大統領
──産経新聞 2004/09/07 02:42
【ソウル=久保田るり子】韓国の盧武鉉大統領が五日、北朝鮮を「反国家団体」と規定し北朝鮮工作員らの活動を封じ込めてきた「国家保安法」について、「廃止するのが望ましい」と断言した。同法の是非をめぐる論争はいま韓国の国論を二分する争点に浮上しており、大統領の発言で今国会最大の焦点となるのは必至の情勢だが、その行方には北朝鮮も並々ならぬ関心を示している。
 盧大統領は民放テレビの特別番組で「国家保安法は政権に反対する人を弾圧する法律として使われてきた」と明言。同法を「遺物」として「鞘に収めて博物館に入れるべきだ」と語り、「必要なら刑法などで補い、同法は廃止すべきだ」との立場を鮮明にした。
 廃止論者の多い与党ウリ党は六日、党首の李富栄議長が「南北和解の雰囲気を朝鮮半島で確認することになる」と全面支持を表明。党内意見の調整や安保不安に応えるため代替法による補完などを含めた党論を早急に出す方針を出した。
 一方、一部改正は認めても法体系として原則維持を主張する野党ハンナラ党は、大統領の発言を「南北首脳会談開催に向けた北朝鮮へのご機嫌取り」と非難し、対策を協議する緊急議員総会の開催を決めた。
 一九七〇-八〇年代の韓国民主化運動で保安法による逮捕歴のある与党ウリ党議員が四月の総選挙で多数当選、「国家保安法は暗い時代の悪法」との発言を繰り返したことから、同法をめぐる是非論が浮上。これに対し、野党や保守陣営は、軍事政権時代に起きた同法運営上の人権侵害は認めながらも、九〇年代以降は拡大解釈などは起きていないとし、むしろ「北朝鮮の工作活動を抑止する法律」を廃止する危険性を訴えている。
 一方、北朝鮮は韓国での廃止論をあおる声明などをたびたび出している。今月四日にも「南北関係が危うくなったのも、対話相手のわが共和国を認めず、血をわけた同族を敵と規定した国家保安法が原因」(民族和解協議会スポークスマン談話)と、「同法廃止=対話」を強調した。
 国家保安法については、政府機関で人権保護を検討する「国家人権委員会」が八月末、強制力はないものの「全面廃止」を勧告。その直後に最高裁判所が同法違反の判決文で廃止論を批判し、「北は依然、反国家団体」と断定するなど、韓国の国論は真っ二つに割れている。

保安法廃止「老-老対決」へ (中央日報 2004/09/16 18:38)
 国家保安法の廃止をめぐって、元老の間でも意見が食い違っている。進歩派元老71人は16日、ソウル貞洞(ジョンドン)の大韓聖公会聖堂で「国家保安法廃止を促す共同宣言」を発表した。それらは「保安法が廃止されれば韓国社会が即時に共産化される、といった具合の主張のため、国民が不安がっている」とし「人権じゅうりんと反民主主義の歴史を抱えている保安法は、廃止すべき悪法」だと主張した。
 声明には、尚志(サンジ)大・姜万吉(カン・マンギル)総長、ソウル大・李相禧(イ・サンヒ)名誉教授、韓勝憲(ハン・スンホン)元監査院長など71人が参加した。それらは、また「独裁時代に民主主義をじゅうりんした政権に積極参加したり、民主化運動を抑圧した人々が、最近、保安法廃止に反対し、国論分裂に率先している」とし、保守派元老を非難した。
 半面、9月9日の時局宣言を主導した保守派元老もこの日、ソウル獎忠洞(ジャンチュンドン)のソウルクラブで会合し、保安法廃止に反対するとの立場を再確認した。会合に出席した元老13人は「体系的な保安法廃止反対運動を繰り広げるため、今月9日の時局宣言に参加した元老を中心に『時局宣言9.9の会』を作る予定」だと伝えた。

イ・スギ記者 < retalia@joongang.co.kr >

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by xrxkx | 2004-09-18 14:12 | 時事ネタ一般